ライター : 相羽 舞

管理栄養士

女性は要注意。鉄分補給が大切なワケ

鉄分が不足するとどうなる?

女性は月経や妊娠、授乳などがあることから、多くの鉄が必要です。鉄分は血液中のヘモグロビンの材料となり、全身への酸素運搬にかかわっています。そのため、鉄分が不足すると酸素を運ぶ機能が低下し、頭痛やめまい、疲れやすいといった貧血症状をおぼえるおそれが。

特に女性は無理なダイエットで鉄分が不足したり、過度な運動により大量に汗をかくと鉄分を失いやすくなったりするため、積極的に鉄分補給をするようにしましょう。(※1,2)

一日に必要な鉄の量

年齢男性女性
月経あり月経なし
18〜29歳7.5mg10.5mg6.5mg
30〜49歳7.5mg10.5mg6.5mg
50〜64歳7.5mg11.0mg6.5mg
65〜74歳7.5mg6.0mg
75歳以上7.0mg6.0mg
妊娠初期+2.5mg
妊娠中期・後期+9.5mg
(※3)
(※食事摂取基準2020年版における一日あたりの推奨量を記載しています。)
推奨量とは、ほとんどの人が充足する量とされており、一日の摂取量の目安となります。特に女性は月経や妊娠により鉄の必要量が増えるため、月経あり・なしの場合と妊娠中の付加量について定められています。

たとえば、30代女性で妊娠中期の場合、月経なしの6.5mgに加えて9.5mg摂ることが望ましく、一日あたりの推奨量は16.0mgです。

管理栄養士が伝授!鉄分補給のコツ4選

コツ

  1. ヘム鉄が豊富な食材を選ぶ
  2. ビタミンCが豊富な食材と組み合わせる
  3. 鉄の吸収を妨げる栄養素に注意
  4. よく噛んで食べる

ヘム鉄が豊富な食材を選ぶ

肉や魚に多く含まれるヘム鉄は、たんぱく質に包まれ吸収されやすい形になっています。野菜や穀類に含まれる非ヘム鉄に比べて、吸収率が高いのが特徴です。

また、肉や魚にはヘモグロビンの材料となるたんぱく質も豊富なため、ヘム鉄を意識して摂取することで効率のよい貧血対策に役立ちます。(※1,2)

ビタミンCが豊富な食材と組み合わせる

鉄分の吸収を促す栄養素として、ビタミンCが知られています。吸収率の低い非ヘム鉄でも、ビタミンCを含む食品と一緒に摂ることで鉄分の吸収を高められますよ。

たとえば、ビタミンCが豊富なピーマンや水菜と、肉・魚を組み合わせる料理にすると鉄分を効率よく摂ることができます。(※1)

鉄の吸収を妨げる栄養素に注意

鉄分の吸収を促す栄養素がある一方、吸収を妨げる栄養素もあります。コーヒーや緑茶に含まれる「タンニン」や、玄米に含まれる「フィチン酸」、おからや海藻類に豊富な「食物繊維」などは、鉄分の吸収を妨げるため注意が必要です。

鉄分補給を意識する際は、食後のコーヒーや緑茶を控えたり、過剰に食物繊維を摂ったりすることは避けましょう。(※1)

よく噛んで食べる

鉄分の吸収を促す栄養素を摂る以外にも、胃酸の分泌によって鉄分の吸収率が高まることが期待できます。よく噛むことで胃酸の分泌が促されるため、意識して噛む回数を増やすとよいでしょう。

また、酸味や辛味のある食べ物も胃を刺激して胃酸の分泌を促すのに役立ちますよ。(※1,2)

コンビニで買える!鉄が豊富な食べ物・飲み物

一覧

  1. レバニラ炒め
  2. 納豆巻き
  3. さばの塩焼き
  4. 塩ゆで枝豆
  5. ひじきや海藻のサラダ
  6. 鉄分入り飲むヨーグルト
コンビニで買える食べ物や飲み物も、鉄分補給を意識して選ぶとよいですよ。肉や魚に多く含まれるヘム鉄は吸収率が高いので、レバニラ炒めさばの塩焼きは積極的に取り入れたいおかずです。

納豆や枝豆などの豆類、ひじきのような海藻などには非ヘム鉄が含まれるため、鉄分の吸収を促すビタミンCが豊富なカットフルーツと合わせると効率的に鉄分補給ができます。また、鉄分が強化された食べ物や飲み物を選ぶのも鉄分補給のひとつの手ですよ。(※1,2)

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鉄分補給のレシピを取り入れよう

効率的な鉄分補給には、ヘム鉄を取り入れる、たんぱく質やビタミンCと一緒に摂る、酸味や辛味、よく噛むことで胃酸の分泌を促すといったポイントがあります。特に、野菜や穀類に含まれる非ヘム鉄は、吸収率が低いので食べ方に工夫が必要です。ぜひ鉄分補給に役立つレシピを取り入れてみてくださいね。

※電子レンジはお使いの機種によって加熱時間が異なります。様子をみながら加熱時間を調整してください。
【参考文献】
※4 八訂食品成分表2021|女子栄養大学出版部
(2023/11/27参照)
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