ライター : ☆ゴン

この記事でわかること

「藻塩」は海藻と海水から作られる塩。日本の塩製造の歴史は古墳時代に始まり、藻塩焼きから現代の製法に至るまで変遷してきました。藻塩は通常の塩と比べてミネラルが多く含まれており、味わいもまろやかです。レシピや通販で購入できるおすすめ商品も紹介します。

藻塩とはどんなもの?読み方は?

藻塩の読み方は「もしお」です。日本の塩製造の歴史は、古墳時代の藻塩焼きがはじまり。万葉集にも「玉藻刈りつつ、藻塩焼きつつ」と詠まれています。そこから、玉藻(海藻)と海水で作る古典的な製法の塩を、普通の塩と区別して藻塩と呼ぶのです。

藻塩と塩の違いは?塩の歴史と現代の藻塩

日本では古来より海水で塩を製造

世界の塩生産量の多くを占める岩塩が採れない日本では、海水で塩を作ってきました。原点である藻塩焼きから揚浜式、入浜式や流下式塩田まで、高塩分濃度の「かん水」を作る方法は時代とともに変遷。

それを煮詰める釜も土器から鉄、蒸気式、真空式へと変わります。いずれの製法でも、広大な土地と長い月日、膨大なコストを伴うたいへんな事業です。

その後に、現代のイオン交換膜方式が採用されるとすべてが一変。生産量や精製度、コスパが飛躍的に向上し、安定して供給されるようになります。

藻塩を含む天然塩は味がまろやか

一般的に販売されている食塩は、塩化ナトリウム含有量が99%以上に精製された純度の高い塩。はっきりと塩味を感じる調味料で、あらゆる料理に幅広く使われています。

しかし製塩の自由化により民間業者が参入すると、従来の製法にこだわる、いろんな塩が出回ることに。そのなかでも、海藻と海水で作る古代の藻塩焼きを再現したような、ミネラル豊富でまろやかな藻塩が注目を浴びるのです。

藻塩の効果

藻塩には一般的な塩よりも、ミネラルが多く含まれているのが特徴です。例えば、骨や歯をつくるカルシウムやマグネシウム、体の浸透圧を調節するカリウム、新陳代謝にかかわるヨウ素などです。

また、一般的な塩より食塩相当量が少ないため、同じ量を使用しても塩分を控えめにすることが可能です。しかし、藻塩を使う場合でも、塩分のとり過ぎにならないよう使う量には気をつけましょう。(※1,2,3,4,5,6)

古代の藻塩焼きをもとにした藻塩の作り方

海藻は、葉に気泡がついた様子が玉のように見えることから、昔から玉藻と呼ばれていたホンダワラを使用。その海藻を海水が入った容器に浸し、引き揚げて乾燥させ、また浸すを2~3日繰り返して、高塩分濃度のかん水を作ります。それを土器釜で煮詰めて、底にできあがった結晶が藻塩です。

メーカーによって使用する海藻や海水、製法が異なりますが、食塩のように白色ではなく、淡いベージュ色なのが一番の特徴。

塩分濃度は食塩の99%以上に対して、藻塩のほうは94%前後です。カルシウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルは、食塩の数倍も高いため、まろやかで旨味のある味わい。ほかの調味料を加えなくても、藻塩だけでもおいしいと定評があります。

おすすめの藻塩の使い方

藻塩は、食塩のように角が立った塩辛さではなく、マイルドな味と旨味を持つ調味料として人気があります。塩おにぎりはもちろん、寿司の酢飯に入れると風味の良い仕上がりに。ステーキ、焼肉につける岩塩の代わりや、白身魚の刺身に藻塩をつけてもおいしいですよ。

ただしスイーツの甘さを際立たせるために入れる場合は、注意が必要。独特の風味が、デリケートな甘さを邪魔するかもしれません。はっきりと塩味を楽しむスイーツならOKです。

【主菜&主食】藻塩で作るレシピ3選

1. 藻塩がよく合う。水だこのすだち塩カルパッチョ

すだちのさわやかな香りと酸味、藻塩の旨味が際立つ、水だこのカルパッチョです。ドレッシングをかけたら、冷蔵庫で少しなじませておくのがポイント。加える藻塩は少量ながら、独特の風味が水だこのおいしさを引き立ててくれます。

2. ほのかな海藻風味がおいしい。鶏もも肉の唐揚げ

藻塩は鶏の唐揚げにもよく合います。酒としょうがすりおろしも加えて、鶏もも肉にもみ込むだけのシンプルな味付け。下味によくにんにくすりおろしを入れますが、藻塩を使う場合は、風味が飛んでしまうので避けるほうが無難です。

3. 香り高い大人の味わい。せり入りの藻塩おにぎり

おにぎりを作るとき、食塩に代えて藻塩を使ってみてください。いつもとひと味も、ふた味も違うおいしさに、きっとびっくりするはずです。レシピでは独特の香りとほのかな苦味、色鮮やかなせりを加えて、大人の味わいに仕上げています。

【副菜&漬物】藻塩で作るレシピ3選

4. おつまみにピッタリ!藻塩をかけた炒めぎんなん

いちょうの種子であるぎんなんは、熟れた実が落ちる秋が旬。殻の中の核を食用とします。いろんな料理に利用しますが、そのまま藻塩をつけておつまみにしても美味。レシピでは殻を割って調理しますが、殻のまま炒っても良いですよ。

5. 海と土の風味。藻塩蒸しごぼうのごまダレ和え

土の香りがするごぼうに、ほのかに海藻の風味がある藻塩で下味をつける、野趣あふれる料理です。あとは蒸して、ごまダレを絡めるだけなので簡単。レシピでは新ごぼうを使っていますが、普通のごぼうの場合はアク抜きをしてください。

6. いつもとちょっと違う。ラディッシュの即席漬物

薄切りしたラディッシュの身と葉で作る、インスタント漬物のレシピ。漬物といえば塩が基本の調味料ですが、これを藻塩に代えるだけで、いつもと違う味わいを楽しめます。ラディッシュのほか、大根や白菜などで作っても良いですね。

【調味料&アイス】藻塩で作るレシピ2選

7. 藻塩のまろやかさが決め手。手作り柚子こしょう

普段は市販品を利用する柚子こしょうを、家庭で手作りしてしまう珍しいレシピです。青唐辛子と青ゆずの材料ふたつを、ペースト状にするだけで完成。調味料に藻塩を使用することで、風味豊かな柚子こしょうができあがります。

8. クセになる味わい。藻塩バニラアイスクリーム

スイーツは甘いものばかりではなく、塩味を効かせたアイスクリームやクッキーが、意外と人気があります。そんな塩アイスを藻塩で作るユニークなレシピ。藻塩を少し加えるだけで、バニラの風味とクリーミーな味わいがより際立ちます。

通販で買える藻塩のおすすめ商品3選

藻塩で料理の味がワンランクアップする

塩は人体に必要不可欠な成分で、古くからどの国でも、製造販売を統制してきました。日本では専売公社が、塩とたばこ事業を一括管理。たばこ事業の民営化で塩の専売が廃止されると、民間で塩を製造するようになるのです。

世の中のグルメブームにのって、市場にはさまざまな塩が登場。とくに藻塩は、まろやかでミネラル豊富な塩として注目を浴びています。そんな藻塩を上手に活用して、おいしい料理を作ってみてくださいね。
栄養部分コメント:管理栄養士 池野三奈美
【参考文献】
(2022/06/09参照)
※掲載商品の情報は公開時点のものです。店舗によっては取り扱いがない、または販売終了している場合もありますので、あらかじめご了承ください。

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