6. 野菜を煮込む

Photo by Kanami Maruyama

今回入れた野菜
Bの野菜を煮込みます。キャベツは事前に8分ほどゆでておきましょう。5の煮汁に肉、野菜を入れて、野菜がやわらかくなるまで、蓋をしないでゆっくり約30分煮込みます。野菜はやわらかくなるタイミングがそれぞれ異なるので、煮えすぎないように適宜、取り出してください。

最後に塩加減を調整し、骨髄以外の具材を一緒に温めれば完成です。

フランス式の絶品ポトフが完成!

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フランス式ということで、具材とスープは別盛りにし、定番のバター、ペースト状のフレンチマスタード、フレンチマスタード、ピクルス(コルニッション、小きゅうり)を添えました。

まず肉は、それはもう深い、深い味わいです。ホロホロなのでナイフは必要ありませんでした。煮込んだ部位が多いからか濃厚かつ複雑な出汁が染み渡っていて、我ながら舌鼓を打ちました。個人的には出汁を吸ったテールのゼラチン質の部分とスネ肉が味わい深かったです。

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野菜は旨味をしっかりと吸っていながら、煮込みすぎていないので、ほどよく個性が残りバランスがとてもよかったです。

日本の出汁がそうであるように、素材から丁寧に引き出された出汁は、それだけで大きな存在感があります。家でこんなすばらしい味が出せるのは感動的ですね!

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締めは噂に聞いていた、少し残ったスープを赤ワインで飲むというシャブロルChabrol(シャブロChabrot)に初挑戦。一般的ではないそうですが、知ったからには試してみたいですよね!絶妙な塩味、酸味、甘味のバランスで、はじめてのおいしさでした。クセになり何度も飲んでみたくなりましたが、最後の締めということでまた次回の楽しみにしたいと思います。

本気のポトフを食べたあとのキッチンダイニングは、幸せな香りに包まれていました。ここで感じたのは、「ブーケガルニがいい仕事をしてくれた」ということです。ブーケガルニによって味に深みとコクが出て、肉の臭みが消えて爽やかさがプラスされることを、部屋に残った香りで感じました。

「ポトフ」をたっぷり作って味わいつくす

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たくさんの食材を使って手間隙かけて作ったポトフは、形を変えて楽しめます。作った日の夜はフランス式でしたが、次の日はやっぱり見慣れた日本式(分けないスタイル)で食べました。具材の温かさが長持ちするうえ、盛り付け方に気を配る必要がないのは気楽です。でも、スープの深みはいつもとはやはり違いました。

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それでもまだまだ残るポトフは、カレー粉を加えてカレーに。ベースがすばらしいので、冷蔵庫でしばらく置いておいしくなったカレーのようです。それでもまだスープが残っていたら洋風のお粥にしてもいいですね。身体に染み入るやさしい朝ごはんとして重宝するでしょう。

あなたの「ポトフ」の正解を見つけてみては?

改めてポトフを教えてもらって感じたのは、和食とフレンチはすごく似ているということです。フランスに「旨味」という言葉がなかったとしても、このように肉と野菜から引き出した出汁をベースにする発想は日本に通じるような気がします。家庭で絶品の出汁を取ってシンプルな味付けをするポトフは、ある意味フランス料理の基本の「き」なのかもしれません。今回の経験は料理好きとしてすごくためになりました。

そして、やはり家庭料理であるポトフには正解がありません。その家ごと、または作るシーンや食べる人によっても違っていいはず。だからこそ、奥が深いのだと思います。本場フランス流のポトフを参考に、改めて自分なりのポトフを考えてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
・フランス一流レストランで修行した友人のお話
・フランス語の動画検索(pôt au feu)
・フランス語の動画検索(Potee)※Potee(ポテ)は牛肉ではなく豚肉やソーセージを入れる料理
・「ティエリーマルクス パリ」レシピ(ミシュラン2つ星レストラン、銀座)
 ※現在は閉店
・「ル・コルドン・ブルー」校の書籍(約125年の歴史あるフランスの料理専門学校)
・「マルディ・グラ(Mardi Gras)」レシピ(肉系フレンチの名店、新橋)
・「dancyu」2021年2月号(プレジデント社)
・料理百科事典

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