ライター : 丸山夏名美

食いしん坊ライター/料理研究家

日本の「ポトフ」とフランスの「ポトフ」は違う?

Photo by Kanami Maruyama

『えびノ干シ塩(鳥取県、つづお食品)』で作ったポトフ。フランスではポトフは牛肉を使ったもので、このように豚肉やソーセージを使うものは「Potee(ポテ)」と呼ぶそうです
こんにちは!浅草住まいの食いしん坊ライター、丸山です。

「ポトフ」は野菜がたっぷり食べられてヘルシーなうえ、肉からも野菜からも出汁が出ておいしいですよね。日本では簡単な家庭料理として親しまれていますが、じつはとても奥が深い、美しい料理なんです。

この記事では、多くの日本人のポトフの概念を覆すような話と作り方をご紹介します。
フランス版の検索エンジンで「pôt au feu(ポトフ)」を打ち込むと、牛の骨髄やスネ肉がスープと別に盛り付けられていることが分かる 出典:Yahoo!Franceの検索結果より
ポトフに興味を持ったのはつい先日、とある食雑誌の記事を読んだときのこと。一流のフレンチシェフ3名(全員フランス出身の方)がポトフについて侃々諤々(かんかんがくがく)と意見を交わしている内容だったのですが、“数種類の牛肉の部位を使う”“最後はスープに赤ワインを入れて飲む”など知らないことがたくさん書いてありました。さらに、紹介されているレシピでは、なんと5種類の牛の部位と骨髄を使って煮込んでいるのです!

「もっと詳しく知りたい!」という思いから、5年間フランスに住みながら料理学校と本場の一流シェフの下で料理の修行を積んできた友人に、ポトフについて教えてもらうことにしました。そして彼女の知見や体験談、伝統的な料理本のレシピ、フランス語の動画検索などから、それらを元にしたポトフを作ってみました。

フランス式ポトフの基本

ミシュラン星付きのレストランや有名店のレシピなどはさすがにさまざまな工夫が凝らされていますが、多くのレシピはほぼ下記の流れで作られているようです。

作り方

1. 肉の下処理をする(血や汚れがついている場合のみ)
2. 肉をタコ糸で縛る
3. 肉の灰汁を取る(一度煮こぼしてスープをこす)
4. 肉、出汁のための野菜、ブーケガルニなどを煮込む
5. 肉を取り出してこす
6. 野菜を煮込む

盛り付け方・食べ方

1. 肉・野菜をよそう
2. つけ合わせのバター、フレンチマスタード、ピクルス(コルニッション)を添える
3. スープを楽しむ(後日スープだけ楽しむこともある)
4. スープが残り少しになったところで赤ワインを入れて味わう

(シャブロルChabrol、またはシャブロChabrot。あまり一般的ではないそう)

下処理をしたり、灰汁をとったりという手間が面倒に感じる場合は、工程を省く場合も。ただ、肉をコトコト煮込んだ出汁で野菜を煮込みながら味を染み込ませるという流れは、日本で親しまれているポトフと同じです。

初体験!本気でポトフを作ってみた

星付きフレンチのシェフのレシピや、フランス語で出てくる動画レシピを参考に、本気のポトフを作ってみました。

材料

・牛テール……450g
・牛バラ肉……400g
・牛スネ肉……400g
・牛骨……400g
A 玉ねぎ……1個
A 人参……1/2本
A トマト……1個
B 人参……大1/2本
B 玉ねぎ……1個
B 下仁田ネギ……1本(ポロネギの代用)
B 新じゃがいも……小7個
B キャベツ……小1個
・パセリ、ローズマリー、タイム……適量
・ローリエ、クローブ……適量
・塩、粒胡椒……適量
・バター、フレンチマスタード、ピクルス(コルニッション)……適宜

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