ライター : chika

管理栄養士 / 公認スポーツ栄養士 / 調理師

羅臼昆布(らうすこんぶ)とは

羅臼昆布は、知床半島の南側にある羅臼町沿岸でとることができる昆布。羅臼町の周辺海域はとても栄養が豊富で、高品質な昆布が育ちます。採取できる海域がとても狭く、地元でも手に入りにくいほど希少なのだとか。高品質、希少であることに加え、ほかの昆布よりも製造工程が多く、昆布の中でもっとも高額で取引されています。

見た目は黒褐色または薄青い橙色とむらがあり、立派な大きなサイズも特徴的。まさに“昆布の王様”です。

羅臼昆布の味わいや使い方

だしの特徴・味わい

羅臼昆布は昆布の中でも特に濃いだしがとれることでよく知られています。厚みのある濃厚な旨味と甘味を感じる、コクの強さが特徴のだし。香りもしっかりとしていて、やさしい黄色味を帯びます。羅臼昆布の風味と旨味の強さは水出しでも十分感じられますが、火入れするとより濃厚さが増しますよ。

ちなみに、真昆布は上品な香りと甘味の澄んだだし、利尻昆布はほのかな昆布の香りと旨味の強いだし、日高昆布は磯の香りが強く風味や旨味は弱めのだしが特徴です。

向いている料理

とても旨味が強いので、合わせだしよりも、昆布だけでだしをとるのに向いています。しっかりとした濃厚なだしが素材の風味を引き立たせ、少ない調味料でも料理をおいしく仕上げられますよ。煮物や鍋物、麺つゆなど昆布らしい風味を活かせる料理に活用してみてくださいね。

羅臼昆布は、昆布自体にも甘味があり、繊維質もやわらかいため、適当な大きさに切ってそのまま食べてもおいしい昆布です。だしはもちろん、おやつやおつまみとしても羅臼昆布を堪能してみてはいかがでしょう。

羅臼昆布の種類と選び方

「天然」と「養殖」

天然の羅臼昆布は、海底の岩とこすれるため見た目にむらがありますが、だしの出方は群を抜いています。希少価値が高く縁起物としても扱われるため、贈答用や特別な料理のときに使用してみてはいかがでしょう。

養殖のものは大きな葉で、表面に傷がなくキレイで立派ですが、だしをとると味はどうしても天然に及びません。同じ等級であれば、「天然」の方が「養殖」よりも高級品となります。しかし、昆布の中でも濃いだしがとれる羅臼昆布!ご家庭での普段使いであれば養殖でも十分おいしいだしを味わえますよ。

「走り」と「丸羅(後取り)」

羅臼昆布の漁が行われるのは7月半ばから8月末頃。その前半に採取されるものを「走り」、後半に採取されるものを「丸羅(後取り)」と呼びます。

「走り」は、昆布の成長が一気に進む夏の早い時期に収穫されるため、やや薄めで肉質がやわらかく、香りのよい上品な味わいのおいしいだしが特徴。

「丸羅(後取り)」は、肉厚で見た目がしっかりしていますが、風味は劣り、だしも濁りやすくなります。同じ等級であれば、「走り」の方が良質ということになりますね。

「黒口」と「赤口」

表皮の色により、黒褐色の「黒口」と、赤褐色の「赤口」に区別されます。見た目が良い「黒口」の方が「赤口」よりも高価ですが、風味はほとんど変わりません。どちらも香りがよく濃いコクのあるだしが楽しめますよ。

昆布は、厚み・幅・長さ・重さ・色艶などから、5段階の等級に分けられます。希少な羅臼昆布の中でも「天然・1等級・走り・黒口」は最高級で幻の昆布!ご家庭のだし用なら「養殖・3等級」、食用なら「羅(後取り)」で十分です。シーンや用途に合わせて選んでくださいね。

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