ライター : agatasei

監修者 : 渡辺 りほ

管理栄養士

この記事でわかること

  1. 適量の飲酒は中枢神経を抑制して眠りを促すが、就床1〜6時間前の飲酒は睡眠の後半部分に影響し、夜中に目覚めやすくなる。
  2. 加齢によりアルコールを分解するスピードが落ちるため、血中アルコール濃度が上がりやすくなり、眠くなることがある。
  3. 加齢による体内の水分量の低下により、アルコールが血中に残りやすくなり、血中アルコール濃度の上昇につながる。
  4. 一日あたりの適度な飲酒量は、純アルコール量約20gが目安。女性や高齢者はアルコールの分解速度が遅い傾向にあるため、中年男性と比べて飲酒量を減らすことが望ましい。
  5. アルコールには利尿作用があり、飲酒は脱水につながるおそれがある。お酒を飲むときは水分補給とミネラル補給を意識するとよい。

お酒を飲むと眠くなる理由

お酒を飲んでいたら、いつの間にか眠ってしまった……という経験はないでしょうか。それは、適量の飲酒には中枢神経を抑制して、眠りを促す作用があるためです。

飲酒は眠りにつくまでの時間を短縮できると考えられていますが、飲むタイミングや量によっては、かえって睡眠の質が悪くなるおそれも。就床1〜6時間前にアルコールを摂ると、睡眠の後半部分に影響し夜中に目覚めてしまうことが知られています。(※1,2)

加齢によってお酒を飲むと眠くなるようになるのはなぜ?

アルコールを分解するスピードが落ちる

アルコールは胃や小腸から吸収され、おもに肝臓で分解されます。アルコールの分解速度は個人差がありますが、中年より高齢者のほうが遅いと考えられています。

傾眠傾向が見られる血中アルコール濃度は、150~250mg/dlです。加齢によってアルコールを分解する機能が落ちると、血中アルコール濃度が上がりやすくなるため、眠くなる場合があるといえます。(※2,3,4)

体内の水分量の低下

加齢に伴い、体内の水分量は低下します。成人の身体の水分量は約60%ですが、高齢者になると約10%減って全体の約50%に。すると、アルコールが血中に残りやすくなるため、血中アルコール濃度の上昇につながってしまいます。

以前と同じ量のアルコールを摂っているのに眠気を感じやすくなった……という場合は、アルコールを摂る量を見直しましょう。(※4,5)

お酒は適量を意識しよう

一日あたりの適度な飲酒量は、純アルコール量に換算すると約20gが目安です。これはビールの場合、中瓶(500ml)1本に相当します。日本酒では1合、ウイスキーではダブル1杯程度です。

ただし、女性や高齢者はアルコールの分解速度が遅い傾向にあります。中年男性と比べて飲酒量を減らすことが望ましいです。ビールを飲む場合、一日あたりに摂る量は缶ビール(350ml)1本を目安にしましょう。(※6)

お酒を飲むときは水分補給も意識!

アルコールには利尿作用があることはよく知られていますが、実は、アルコールの分解にも水が必要です。お酒を飲んだ量よりも、尿として身体から排出される水の量が増えることから、飲酒は脱水につながるおそれがあります。お酒の合間に、水をしっかりと飲むようにしましょう。

なお、水と同時にナトリウムやカリウムといったミネラルも失われています。味噌汁を飲んだり、カリウムが豊富な野菜のおつまみを合わせたりして、ミネラル補給も意識しましょう。(※7,8)

お酒を摂る量を見直そう!

眠りを促す作用があるアルコール。お酒の量を増やしてないのに、眠気を感じやすくなったという場合は、加齢によって、アルコールの血中濃度が上がりやすくなっているのかもしれません。身体へのアルコールの影響が気になる場合は、お酒を摂る量を見直してくださいね。
【参考文献】
(2020/05/18参照)
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