「味噌汁」という呼び方が生まれたワケ

「味噌汁」という呼び方が生まれたのは江戸時代のこと。この時代には味噌も大量に作られ庶民にとってもなじみのある食材になっていました。

ただ、庶民は宮中の言葉である「おみおつけ」を知らなかったため、味噌を溶いた汁物のことを「味噌汁」と呼ぶように。このようにして、「おみおつけ」と「味噌汁」という言葉が存在するようになったんですね。

おみおつけと味噌汁の違い

「おみおつけ」と「味噌汁」はどちらも味噌を溶いた汁物を指す言葉。違いは言葉の発祥や歴史にあります。

これまで見てきたとおり、「おみおつけ」は宮中の女房詞が発祥の言葉で、「味噌汁」は江戸時代に庶民の間から生まれてきた言葉です。

もともと味噌は宮中など上流階級で食べられていた贅沢品で、味噌を溶いた汁物は「おみおつけ」と呼ばれていました。時代が下り味噌・味噌汁が庶民に広がると、「味噌汁」という言葉が生まれ広まった……という経緯ですね。

このように、両者には発祥や言葉が生まれたタイミングに違いがあります。

おみおつけは方言?

「おみおつけ」という言葉は、主に東日本で使われます。西日本でいう「味噌汁」を、江戸っ子は「おみおつけ」と呼ぶのが一般的です。

そのため「おみおつけ」は東京弁ではないかともいわれますが、前述のとおりこれは女房詞(女房言葉)。室町時代初期頃から宮中に使える女房が使い始めた丁寧で上品な言葉です。方言ではなく、古い時代からの中央語ということになります。

女房詞で使われていた「おみおつけ」が略されて、特に京阪神では味噌汁のことを「おつけ」と呼ぶようにもなりました。

たまには「おみおつけ」と呼んでみよう

多くの日本人にとって「お味噌汁」のという呼び名は当然のもの。「おみおつけ」の言葉の語源や、味噌汁との違いなどについては諸説ありますが、昔から人は、健康でいるための食材を作り出し、大切に保存して活かすことに努力してきたことが伝わってきます。

毎日のお味噌汁をいただくとき、たまには「おみおつけ」と呼び、伝統を守ってきた人たちに思いを馳せるのもいいかもしれませんね。
▼日本人なら知ってて当然?
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