【歴史・ルーツ】ベーグルとパンの違い

日本では「ベーグルとパンはどちらも海外から輸入されたもの」という認識がありますよね。それぞれの歴史を知ることで、レシピや素材に隠された文化的な背景も学べます。ここではベーグルとパンの歴史の違いについて解説していきますので、それぞれのルーツに触れてみましょう。

ベーグルの歴史・ルーツ

ベーグルの誕生には所説ありますが、有力な説のひとつとして13世紀のポーランドを発祥とするものがあります。当時、現在のポーランドにあたる東ヨーロッパに住んでいたユダヤ人のパン屋が、キリスト教徒のためにパンを焼き始めたことを始まりとする説です。

当時のキリスト教徒は、時期によって脂肪分が多い食べ物を控える必要がありました。そこで登場したのが、パンと比べて脂肪分が少ないベーグルです。その後、東ヨーロッパの近代化・都市化にともなってベーグル人気もどんどん拡大していきました。

パンの歴史・ルーツ

パンの歴史は古く、現在から6,000〜8,000年ほど前の古代メソポタミア文明まで遡ります。当時はパンの原型として、小麦粉を水でこねて焼いたものを常食していました。「発酵」の調理法が偶然発見されたのは、古代エジプトだったといわれています。

発酵パンはさらに古代ギリシャへ伝わり、専門家としてパン職人の仕事も広まっていきました。古代ギリシャで地位を確立させたパンは、その後ヨーロッパ・アジア・アフリカへ伝わり、世界中の多くの人々の主食として伝えられていきました。

【日本への伝来】ベーグルとパンの違い

現代の日本では、ベーグルとパンも大衆的に受け入れられています。ベーグルもパンも、小麦粉や水をこねて作るというルーツは一緒です。しかし実際に日本に受け入れられるようになるまでには、大きな差がありました。文化が輸入された背景に注目しつつ、日本とベーグル・パンとの関係性について学んでみましょう。

ベーグルの日本への伝来

東ヨーロッパからアメリカにも伝来しブームを拡大したベーグルですが、日本に伝来したのはごく最近です。日本で初めてベーグル屋がオープンしたのは、1980年代前半だといわれています。アメリカのジャーナリストが日本にベーグルを広めるために、東京・広尾に店舗をオープンしました。

しかし日本では、ベーグルの流行はすぐには訪れませんでした。現在のようにベーグルが大衆に認識されたのは、1990年代後半といわれています。理由は「健康ブームの到来」と考えられており、パンよりヘルシーなベーグルは多くの世代に受け入れられました。

パンの日本への伝来

パンが日本に伝わったのは戦国時代といわれています。1543年に種子島に漂着したポルトガル人によって、鉄砲とともにパン文化が輸入されました。つまり私たち日本人が言葉にする「パン」とは、英語ではなくポルトガル語。

パンは長年の間「外国人向けの食べ物」として日本で作られており、日本人の食卓にも広まったのは明治時代の文明開化がきっかけといわれています。とくに銀座木村屋が1875年に発売した「あんパン」が大ヒットしたことが影響し、現在も人気のバラエティー豊かな菓子パンが定着していきました。
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