ライター : 相羽 舞

管理栄養士

バターが体に悪いと言われるわけ

バターは100gあたり700kcalと、カロリーが高い食品です。また、バターに含まれる脂肪酸のうち約7割が「飽和脂肪酸」とされ、摂り過ぎると血中総コレステロールの増加につながります。

そのような理由から、バターが体に悪いと思われがちですが、あくまでも食べ過ぎた場合です。適量を食べる分には問題ありませんよ。(※1,2)

バターとマーガリンの違い

見た目や使い方が似ているバターとマーガリンの違いは、原料や製法、栄養価などです。バターは牛乳から乳脂肪を集めて作られ、マーガリンは食用油に乳成分や食塩などを加えて作られます。

バターは乳脂肪が原料のため、クリーミーで濃厚。バターの風味を活かした料理やお菓子作りに役立ちます。一方でマーガリンは、バターよりあっさりとしているのが特徴です。(※3)

バターの食べ過ぎによる体への影響4つ

体への影響

  1. 胸焼け(吐き気)をおこす
  2. 腹痛や下痢をおこす
  3. 肥満につながる
  4. さまざまな病気リスクが増加する

胸焼け(吐き気)をおこす

バターのような脂肪分が高いものの食べ過ぎは、胸焼けの原因のひとつです。脂っぽい食事は胃の滞留時間が長くなり、胃酸が出続ける状態に。そのため胃の不快感を感じやすくなります。

また、バターだけに限らず、食べ過ぎや飲み過ぎは胃腸に負担をかけるため、食事のバランスや適量を守ることが大切です。(※4,5)

腹痛や下痢をおこす

脂っこいものの食べ過ぎによって消化不良をおこすと、下痢につながるおそれが。特にバターは消化しにくい食品で、50gを消化するのに12時間かかると言われています。

バターをはじめ、脂肪分の多いものは食べ過ぎないよう注意しましょう。(※6,7)

肥満につながる

前述したように、バターは100gあたり700kcalと高カロリーな食品です。バターを食べるだけで太るわけではありませんが、一日に消費する以上にカロリーを摂ってしまうと、体脂肪として蓄えられ肥満につながるおそれがあります。

ちなみに、バター大さじ1杯(約12g)で84kcal、小さじ1杯(約4g)で28kcalです。バターを多く使いがちな方は計量するようにしましょう。(※1,8,9)

さまざまな病気リスクが増加する

バターに多く含まれる飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを増加させる原因のひとつです。血中のLDLコレステロール値が高くなることによって血管が硬くなりやすく、病気のリスクを高めてしまいます。

飽和脂肪酸は肉の脂身やバター、生クリームなどに多いほか、インスタントラーメンといった加工食品にも含まれています。これらをよく食べる方は、量や頻度を減らしましょう。(※2,10)

バターの一日摂取目安量

バターに含まれる飽和脂肪酸は、日本人の食事摂取基準にて、目標量が定められています。成人男女の目標量は一日に必要なエネルギーに対して7%以下。身体活動レベルふつうの30~49歳女性では、飽和脂肪酸として15.9g以下が目標量となります。

バターに換算すると、一日あたり31.4gで、大さじ2杯半ほどです。しかし、一日分の飽和脂肪酸をバターのみから摂取することは考えづらいので、多くても大さじ1杯(12g)程度に抑えることをおすすめします。(※1,9,11)

適量なら体にいい!バターに期待できる健康効果

バターの栄養と効果

  1. 肌を健康に保つ
  2. 体の抵抗力を高める
  3. カルシウムの吸収をサポート
  4. 老化対策に役立つ
バターに含まれる栄養素には、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどがあります。ビタミンAには、肌や粘膜を健康に保ち、細菌に対する体の抵抗力を強めるはたらきがありますよ。

また、ビタミンDにはカルシウムの吸収を促す作用が、ビタミンEは抗酸化作用を持ち老化を引き起こす活性酸素のはたらきを抑えるため、老化対策に役立つ栄養素です。

このように、バターは適量であれば、健康維持に役立つ栄養素を摂れる食品です。食べ過ぎに注意して摂り入れましょう。(※12,13,14)

バターは食べ過ぎないようにしよう

バターは高カロリーで、脂質のなかでも飽和脂肪酸を多く含みます。飽和脂肪酸は、血中のLDLコレステロールを増加させることから、食べ過ぎないよう注意が必要です。また、バターのような脂質の多い食品は胃腸に負担をかけやすく、食べ過ぎは胸焼けや下痢などにつながるおそれも。

しかし、あくまで食べ過ぎた場合のデメリットなので、バターを完全に避ける必要はありません。健康に役立つ栄養素も含まれているので、適度に摂り入れるようにしてくださいね。
【参考文献】
※1 八訂食品成分表2021|女子栄養大学出版部
(2022/09/14参照)
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