バターの特性をもたないのが「溶かしバター」

Photo by macaroni

バターを液体にした溶かしバターは、これらの3つの性質をもちません。溶かしバターはバターの風味としっとりとした食感をお菓子に与えるため、マドレーヌやフィナンシェを作るときに使います。

電子レンジまたは湯せんで溶かした温かい状態のバターをお菓子の生地に加えると、全体に均一に混ぜ合わせることができて便利です。しかし、一度溶けたバターは再び冷やして固めても、失った性質は取り戻せません。そのため、バターを室温に戻してやわらかくするときは溶かさないよう注意してください。

バターの状態を変えてマフィンで大検証

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バターには3つの特性があり、作るお菓子によって適した状態や作業があることがおわかりいただけたでしょうか。

それでは、実際にバターの状態を変えて3種類のマフィンを焼き、バターの状態が違うとどのくらい仕上がりに違いがでるのかを調べてみたいと思います!

〈基本レシピ〉(マフィン型6個分)
・小麦粉……150g
・ベーキングパウダー……小さじ1杯
・グラニュー糖……100g
・卵……1個
・牛乳……60cc
・バター(無塩・室温に戻したもの)……100g

バターの状態を冷たいバター(13℃前後)、室温に戻したバター(20℃前後)、溶かしバターに変えて焼いてみます。

焼き上がりの見た目を比較

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レシピ通り「室温に戻したバター」で作ったマフィンは、圧倒的に膨らみがよいことがわかります。やわらかいのでクリーム状になりやすく、しっかりと白っぽくなるまで混ぜることができました。そのためよりたくさんの空気を含むことができ、きれいに膨らんだのではないかと考えられます。

「冷たいバター」は非常に硬くうまく混ぜることができなかったため、空気を含ませることができませんでした。「溶かしバター」も同様に空気を抱き込まなかったため、膨らみが悪い仕上がりとなってしまいました。

断面、食感を比較

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ふんわりと軽い食感に焼きあがった「室温に戻したバター」に対して、「溶かしバター」はしっとりとしたマドレーヌなどに近い食感に仕上がりました。高さは出ませんでしたがこれはこれでおいしく焼き上がったのではないかな?と思います。

「冷えたバター」はキメが粗く少しパサついた食感に。冷たいバターを使うことで卵との温度差が激しく、うまく乳化せずに分離した状態になってしまったのが原因ではないかと考えられます。また、「冷えたバター」で作ったマフィンだけ唯一油染みができてしまいました。

バターはレシピどおりに使用するべし!

いつもなんとなくレシピ通りに作ってはいたものの、こんなにも違いが出るとは驚きです。検証の結果、バターはレシピに書いてある状態で作ることがベストだということがわかりました。どの状態でも形にはなりますが、失敗を避け、よりおいしいものを作るためにはバターの特性を理解して丁寧に作ることが大切です。

「パイ生地がきれいな層にならない」、「パウンドケーキが膨らまない」、「クッキーが硬くなってしまう」などのお悩みを抱えている方は、ぜひこれらの特性を参考にしてお菓子作りに挑戦してみてくださいね♪

次回は「バター以外の油脂」について詳しくご紹介していきます。お楽しみに!
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