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カルシウムの働き
1. カルシウムと骨の関係
カルシウムは、体内にもっとも多く含まれているミネラルです。なんと、成人の体内には、約1kgあるんだとか……!
カルシウムの99%は骨や歯に存在しており、カルシウムの貯蔵庫ともいわれています。
役割は大きく2つあり、1つは、なんといっても、じょうぶな骨づくり。
骨はずっと同じ状態ではなく、じょうぶな骨でも、古くなると弾力を失ってもろくなってしまいます。カルシウムは、骨吸収(古い骨が壊されること)と、骨形成(新しい骨が作られること)に関わり、骨の生まれ変わりを助けているんですね。
成長期だけでなく、成人でも骨は生まれ変わっています。20〜44歳で最大骨量を迎えると、骨がつくられる勢いは徐々に衰えていきます。
骨がもろくなると、骨粗鬆症のリスクが高まることに。カルシウムの摂取は、骨粗鬆症の予防という面からもとても重要です。(※出典1,2,3)
2. カルシウムの生理的作用
カルシウムの大切な役割のもう1つは、生理的作用の調整。
筋肉の収縮と拡張、筋肉の機能、神経の伝達、細胞内のシグナル伝達やホルモン分泌などに、カルシウムが必要なんですね。
骨に貯蔵されたカルシウムは、必要に応じてカルシウムを骨に取り入れたり、血液中に溶かし出したりして、からだの各組織に送り出しています。
血液中のカルシウム濃度は、一定の範囲内になるように調整されていて、食事からのカルシウムが足りない時は、骨に貯蔵されたカルシウムで補っているんですよ♪(※出典1,4)
カルシウムが不足するとどうなる?過剰摂取は?
そもそもカルシウムは足りている?
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1日当たりの推奨量は、成人男性で650〜800mg、成人女性で650mg。(※出典5)
平成29年の国民健康・栄養調査によると、成人男性の平均値は、約500mg、成人女性の平均値は、約490mgです。全体的に不足傾向といえますね。(※出典6)
カルシウムの摂取が不足していても、血液中のカルシウムは一定に保つ必要があります。もし血液中のカルシウム濃度が下がってしまったら、心臓の動きが悪くなり、脳の働きにも支障が出て、生命の危険が起こるからです。(※出典7)
慢性的なカルシウム不足になると、骨から血液中へのカルシウム溶出が過剰になり、余分なカルシウムが血管などに沈着する原因に。
この状態は、カルシウムパラドックスと呼ばれ、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病につながるといわれています。(※出典1)
成長期に不足すると、骨や歯の形成障害や、高齢期の場合は、骨がもろくなる骨粗鬆症を引き起こす原因になります。
カルシウムの過剰摂取は問題ない?
逆に、過剰に摂取するとどうでしょうか。実は、カルシウムは、一般的な食生活では、摂り過ぎることは、まずありません。気をつけたいのが、サプリメントなどでの過剰摂取です。
カルシウムを過剰に摂取すると、便秘や、高カルシウム血症を引き起こす原因になります。
高カルシウム血症になると、食欲不振や嘔吐などの消化器症状や、脱力感、精神症状などが起き、重症化すると、昏睡や心停止になることも。(※出典1)
1日あたりの上限量を超える摂取が長く続くと、腎臓結石などのリスクも増大します。
まだ研究が必要ですが、サプリメントなどでカルシウム摂取量が多いと、前立腺がんや、心疾患のリスクが増大する可能性も示されていて、過剰摂取はおすすめできません。(※出典4)
18歳以上の耐容上限量は2,500mg。17歳以下は決められていませんが、これは十分な根拠がないため。多量摂取の安全性を保証するものではないので、注意してくださいね。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。