ライター : 和田明日香

食育インストラクター / モデル

Profile

和田明日香/食育インストラクター、モデル
1987年4月17日生まれ。東京都出身。3児の母。7年前、キャベツとレタスの違いもわからないまま、料理愛好家・平野レミの次男と結婚。コツコツ修行を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家として活動中のほか、情報番組のコメンテーターや、コラム執筆、CM出演など、幅広く活躍する。

なめられがちな最強コンビ?

Photo by macaroni

子供の好き嫌いの話をするなら、この野菜を避けては通れません。今回の主役は、「ピーマン」です。
かつて、こんな言葉が流行していたそうです……「頭がピーマン」と……。お察しの通り、「頭のなかがスッカラカンの何も考えていない人」という意味の悪口。ピーマンが嫌われ者だからって、悪い例えに使われちゃって。胸が痛みます。が、ピーマンは悪くない!ああして中身がスッカラカンでいてくれるからこそ、肉詰めができたり、輪切りにしてピザやサラダに華を添えたり、できるのだから!

Photo by macaroni

ちなみに、「頭ピーマン」とセットで使われていたという、「耳ちくわ」。話を右から左にするりと流してしまう人のことを言うようです。これは、情報過多の現代を生きる私たちにとっては、むしろ必要な能力ですが……。
とにかく、ピーマンとちくわが揃えば、最強のコンビだっていうのに。両者ともに千切りして、ごま油で炒めて、白ごまをたっぷりとかければ、それだけでおいしいきんぴらになるのだから、悪く言わないでやってほしいのです!
無駄にアツくなってしまいましたが、それぐらいわたしはピーマンが好きです。歯ざわりのいい生のピーマンと、加熱されてトロトロのピーマン、人格が全然変わるのもおもしろいじゃないですか。

特別じゃないけど特別なレシピ

Photo by 和田明日香

じゃことピーマンをごま油で炒める「じゃこピー」は、我が家では超定番の副菜です。ピーマンをシャキシャキに仕上げる火加減と、ベストな味付けを追求したくて、一時期、3日に1回ぐらいのペースでつくっていました。
もうしつこいかな、家族がかわいそうだなと、思い始めた頃。その日も懲りずにじゃこピーを炒めていると、キッチンに長女がやってきて、クンクンとにおいを嗅ぎました。「またじゃこピー!?」なんて文句が飛んでくるのを覚悟しましたが、長女は、「あー、わたしの好きなにおいだ。じゃこピーでしょ」と、にこにこ。
ただのじゃこピー。きっと、世の中に発信するほどのレシピではありません。でも、長女のお気に入りになってくれたら、それだけでわたしにとっては特別なレシピ。野菜売り場で、色の濃い元気なピーマンを見かけると、その日のことを思い出して、つい手にとってしまうぐらい、嬉しいできごとでした。

「頭はピーマン」ぐらいがちょうどいい

Photo by macaroni

地味で、ありきたりで、名前もつかないようなおかずほど、つい何度もつくってしまって、歴史ができていたりするもの。誰にも褒められなくても、むしろ飽きられたとしても、そういう味こそ、家族にとってホッとする味になるんだと思います。
ちなみに我が家のじゃこピー、ピーマンは半ナマの状態で仕上げます。高音の油がさっと回り、歯ざわりがよく、塩気もきいていれば、サラダと炒め物のおいしいとこどりといった感じで、苦味も感じず食べられます。って、その塩梅が難しいから、3日に1回つくっても納得がいかなかったわけですが……。
ピーマンの厚みや柔らかさによって切る太さを変え、ジャッという油の音を頼りに火加減を、塩加減はじゃことのバランスをみて醤油を焦がしながら……、と、細かいポイントはいくつかありますが、説明通りを意識するよりも、繰り返しつくって感覚でコツを掴む方が確かです。難しいこと考えず、頭はピーマンで。それが一番大事かもしれません。

来月取り上げる野菜は「ゴーヤ」。次回をお楽しみに!

文・構成/和田明日香、編集/山川俊行(macaroni編集部)、スタイリング/浜千代明里( macaroni編集部)

悩みすぎて発売が1週間延期!? 和田さん初のエッセイ新発売

ITEM

子どもは相棒 悩まない子育て

¥1,211〜

単行本:176ページ 出版社:ぴあ(2018/7/10)

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