ホール

黒胡椒の実そのままの形状のものを、ホールと呼びます。味つけというよりも、煮込み料理などに加えてじっくりと胡椒の風味を引き出したいときに向いています。ホールのまま鍋に入れるだけで、奥深い味わいにしてくれるんですよ。 また、肉などをマリネする際にマリネ液に加えても、風味よく仕上がるのでおすすめです。挽いていないので香りが飛びにくく、2~3年は持つと言われています。

日本と世界の黒胡椒事情

世界の歴史をも動かした黒胡椒

世界中の料理に使われている黒胡椒。原産国はインド南西部のマラバル地方で、紀元前500年代に栽培が始まったという、古い歴史を持っています。現在はベトナムやインドネシア、ブラジルなど、たくさんの熱帯地域の国で生産されているんですよ。 高級品として珍重されたため、胡椒の獲得を求め多くの国の歴史を動かしました。十字軍の遠征やヨーロッパの大航海時代なども、胡椒を目的としたものだという説があります。ヨーロッパは肉食が多いため、食材の保存や臭い消しなどに胡椒を必要としていたのでしょうね。

日本では一時黒胡椒が消えた?

洋食に比べると、黒胡椒を使用することの少ない和食ですが、日本にも早くから黒胡椒が伝来していました。奈良時代には中国から黒胡椒が渡来していたといいます。その後オランダから黒胡椒を輸入するようになると一般的にも広まり、江戸時代にはうどんの薬味として人気となり、人々に親しまれるように。しかしその後七味唐辛子の人気が上回り、黒胡椒は姿を消してしまいます。 その後、洋食文化が急速に広まった戦後、黒胡椒が料理に使用されるように。飲食店だけでなく、家庭の食卓にも普及するようになり、ポピュラーなスパイスとして日本でも愛されるようになりました。

黒胡椒だけじゃない!豊富な胡椒

青胡椒

胡椒の実が熟す前、まだ緑色の状態で収穫をし、フリーズドライさせたものを青胡椒といいます。フリーズドライのほか、塩漬けにしたものもありますよ。青胡椒とは言いますが実際の色は緑色をしていて、爽やかな辛味と風味が強いのが特徴です。 肉料理と相性がよく、下味に使用したり、色の美しさからトッピングとしても使われることも。生クリーム、ブランデー、フォンドボーなどと合わせても風味が増し、お料理をおいしくしてくれます。

編集部のおすすめ