銅鍋、10円玉を使って緑青を作る

Photo by Yasuaki Watanabe/UP inc.

梅を青くするのが、緑青(ろくしょう)と呼ばれる青色の溶液。銅鍋を用意し、内側に濃口しょうゆを塗って少し置けば、緑青ができます。

青梅の甘露煮作りには銅鍋の使用が推奨されていますが、神谷さん曰く、銅鍋がない場合は10円玉20枚ほどに濃口しょうゆを塗って置いておくことで代用可能だそうです。

よく洗って消毒した10円玉に1枚ずつ本醸造しょうゆを塗ると、30分ほどで緑青ができますよ。

緑青が作れたらその銅の溶液と梅を一緒に鍋に入れます。10円玉の場合も同じです」

じっくりと火を入れ、同じ作業を根気よく繰り返す

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梅と銅の溶液を入れたら、ひたひたになるまで水を張り、ごく弱火で50℃まで火を入れます。

「梅の実は、じっくりと火を入れることで、果肉がやわらかくなります。一気に温度が高くなってしまうと梅の皮が破れる原因に。火加減がとても重要なので、温度計を使いましょう」

冷やして50℃まで火を入れる作業を3回繰り返したら、水を入れ替えます。そして今度は約80℃まで火を入れ、冷ましては水を替えます。これを3回繰り返します。

「90℃くらいになると、梅が鍋の中で踊りだし、皮が破れてしまいます。

火を入れて冷ます作業を繰り返すことで、梅の実から酸味と銅が抜け、黄色からきれいな青色へと色が戻ります。ちょっと手間ではありますが、梅の酸っぱさが苦手な方はこの作業を4回おこなうとよいでしょう」

青梅の甘露煮の楽しみ方

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ふっくらとして果肉のやわらかい青梅の甘露煮ができました。青々とした色が清々しく、梅のほどよい酸味がする上品な味わいです。

そのまま頬張るのもいいですが、せっかくの甘露煮は、心ゆくまで堪能したいもの。きれいな色味と風味を生かしたアレンジを神谷さんに聞いてみました。

「青梅の甘露煮は、まろやかな甘さと酸味が格別です。煮崩れたものはカレーの隠し味に使うチャツネに似ています。甘露煮を漬けた蜜をカレーに加えると、子どもでも食べやすい甘口カレーになりますよ。

また、梅はしょうゆやみそとの相性もよいので、加えたり混ぜたりすると梅風味が楽しめます。

梅ジャムも定番でおいしいですが、これからの季節には甘露煮の蜜をかき氷のシロップとして使うのもおすすめです。仕上げに甘露煮をのせると、あっという間に高級かき氷のできあがり。スパイスとして山椒を添えたり粉山椒をふりかけたりすると、少しピリッとした大人のかき氷になりますよ」

先人がこだわった青梅の青さに思いをはせて

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今回ご紹介した青梅の甘露煮は、青から黄色へ、そして再び青へと変わる梅の色の変化を楽しむことができるレシピです。

梅仕事でも梅酒や梅シロップ作りは広く親しまれていますが、青梅の甘露煮を実際に手作りする方はそう多くはないかもしれません。たしかに手間はかかりますが、“青い梅を青いまま”楽しむために先人たちが伝承してきた知恵をぜひ知っていただけたらと思います。心の片隅に留めるだけでも、これまでと少し違った梅雨の風情を感じられるのではないでしょうか。

取材・文/鎌上織愛

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