ライター : macaroni編集部

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教えてくれた人

中川政七商店 フードアドバイザー・調味料ソムリエプロ / 神谷よしえさん
大分県宇佐市出身。母が設立した「生活工房とうがらし」を、2015年に「株式会社生活工房とうがらし」として継承。食を軸として“人と人を繋ぎ、産地と料理人を繋ぐ”をモットーに、全国各地で食にまつわる講演やセミナー、催事などをおこなっている。

2019年9月より中川政七商店初のフードアドバイザーに就任。2021年春には、奈良県(ならまちエリア)に『よしえ食堂』をオープン予定。趣味はおにぎりを握ること。Facebookページの『ごはん大好き』は、世界に6万人のフォロワーを持つ。

食のプロをも虜にする“マダムゆず”の柚子胡椒

Photo by 中川政七商店

柚子のスッキリとした爽やかな香りと唐辛子のピリリとした辛味が、食材の風味をより引き立たせてくれる「柚子胡椒」。鍋や汁物の薬味として使われることも多く、特に肌寒い季節には、定番の調味料として活躍しているご家庭も少なくないでしょう。

そんな柚子胡椒の魅力を世界中に普及させるべく活動されているのが、神谷よしえさん。神谷さんがプロデュースした柚子胡椒は、三ツ星シェフをはじめとする食のプロたちからも注目を浴びているそうです。まずはその理由について伺いました。

Photo by 中川政七商店

神谷さん:
私が手掛ける柚子胡椒は、自身が厳選した素材(柚子、唐辛子、塩)をキットにし、ご自宅で手軽においしい柚子胡椒を完成してもらうものです。

毎年9月の1カ月間だけ旬を迎える青い柚子を使用した柚子胡椒は、フレッシュな香りと味わいの強さが特徴。調理していく工程から楽しめる色や香りを“知ってもらいたい!体験してもらいたい!”との想いを突き詰めていったら、完成品ではなく素材キットとして販売するのが一番よいかなと、この形になりました。

そもそも香りや風味を楽しむための調味料である柚子胡椒は、“旬”を意識して作ることが大切です。キットにした理由も、みなさんが作り上げる瞬間の一番良い香りが部屋中に漂っているのを感じてもらい、その体験を含めて五感すべてで感じ取ったものを、“食”の記憶の中で風景として残してもらいたいという想いからきています」

Photo by 中川政七商店

神谷さんの柚子胡椒を味わったほとんどの方がリピーターとなり、翌年の販売時期を心待ちにしているといいます。また、そんな神谷さんの想いや柚子胡椒に魅了された有名三ツ星レストランのシェフや料理研究家たちからのオーダーも絶えず、毎年あっという間に完売。“マダムゆず”と呼ばれる所以は、そのあたりにあるのでしょうか。

神谷さん:
「2012年に、とある有名フレンチのシェフが料理雑誌の取材で柚子胡椒のことを聞きたいと訪ねてこられたんです。当時の私は柚子胡椒をPRすることに全身全霊をかけていて、その日はネイルも緑、財布も車も緑といういで立ちで(笑)。それを見たシェフが“マダムゆずだね”と言っていってくれたことがきっかけです」

神谷さんはその後、シェフに許可をとり、シェフ公認“マダムゆず”と名乗ることに。今では広く知られるようになったそうです。

伝承料理研究家の娘として柚子の里に生まれて

Photo by 中川政七商店

柚子胡椒の伝道師として、幅広く活躍されている神谷さん。柚子胡椒の普及に携わることになったきっかけは、何だったのでしょうか。

神谷さん:
「私の母は、家庭科教師として伝承料理(次世代に伝えていきたい料理)を研究をしていたんです。母の研究をそばで見たり、母方の祖母からも日常的に食に関する知識や料理を学んだりすることが多く、気がつくと、“食”の世界が身近にありました。

また、私の出身である大分県宇佐市院内町は、西日本一の柚子の産地でもありました。あるとき、県から“宇佐市の高齢化が進み産地をPRする元気がない、産地の衰退を止めてほしい”という依頼をいただいたんです」

Photo by 中川政七商店

神谷さん:
「良いアイデアはないか考えた結果、柚子胡椒が大分県発祥といわれていること、大分ではどの家庭でも柚子胡椒を手作りしていることがヒントに。柚子胡椒を売るのではなく『ゆずごしょうキット』を作り、“柚子胡椒の制作工程も含めて普及させよう!”というところにたどり着きました。

今でも、はじめて院内町の柚子を口にしたときのおいしさは忘れません。惚れ惚れするくらい美しい柚子の実。まさに柚子に恋をした瞬間でした。『ゆずごしょうキット』に欠かせない“ハンザキ柚子”は、院内町余谷にある佐藤農園で作られています。無農薬で丁寧に手入れされて育てられた柚子は、通常であれば苦味を感じる“皮”がとにかくおいしくて。特に11月頃、黄色く熟したハンザキ柚子の皮の味には衝撃を受けました」

11月は柚子がもっともおいしくなる季節

Photo by shutterstock

柚子は9月が旬と伺いましたが、“柚子が一番おいしくなるのは11月”というのはどういうことでしょうか。

神谷さん:
「柚子は緑色から黄緑色へ、そして黄色くなります。青い柚子は表面にハリがあり、皮にピッと爪を立てるとシュワッと香りの粒が飛び出て部屋中が柚子の香りに包まれるのが特徴。そして、季節の変化とともに色を変えた柚子は中の実も完熟し、11月には美しい黄色い柚子に育ちます。ぷっくり大きく育った柚子は、皮と実の間に隙間ができたことによって弾力がつき、フルーツの甘みも強まるんですよ。

特に無農薬で丁寧に手入れされて育てられた柚子は、通常であれば苦味を感じる“皮”がおいしいのです。私自身一番衝撃だったのは、黄色い柚子の皮を剥いてお醤油をつけ、これをおかずにすると聞いたこと。半信半疑でしたが、白米だけのおにぎりと一緒に食べたら、言葉にできないほどの味わいでした!想像だにしない柚子の食べ方に心を打たれましたね」

Photo by 中川政七商店

神谷さん:
「柚子胡椒といえば青い柚子で作った柚子胡椒が一般的ですが、黄色い柚子で作った柚子胡椒の味はまた格別。そのおいしさをたくさんの人に知ってほしいので、私は黄柚子胡椒の作り方を広める活動をしています。

9月に作られたフレッシュな緑色の柚子胡椒を食べてから黄柚子胡椒を食べると、同じ木から摘んだ柚子とは思えないほどの味の違いに驚いてもらえると思いますよ」

素材選びがカギとなる「黄柚子胡椒」

Photo by 中川政七商店

お話を伺えば伺うほど、気になって仕方がない黄柚子胡椒。材料は自分でも簡単にそろえられそうですが、素材選びのポイントとは?

神谷さん:
「柚子胡椒は材料、作り方ともシンプルで手軽に誰でも作ることができるぶん、素材のおいしさがダイレクトにあらわれます。大事なのは、いかに旬を見極めるか。

柚子は5~6月頃に白い花を咲かせ、小さな実をつけます。その中から摘果した実は青い柚子として流通し、そのときに木に残された柚子が黄色い柚子として大切に育てられ11月に収穫されるのです。12月〜1月にかけて店頭に並んでいる柚子は、このとき収穫したものを冷蔵保存したものが多く、やはり風味や香りは落ちます。

おいしい黄柚子胡椒を作るなら、11月に収穫したての鮮やかなレモンイエローの柚子を使うのがおすすめ。そう、まさに今なんですよ!」

Photo by 中川政七商店

「黄柚子胡椒」の味わいが気になる

普段私たちが口にしている柚子胡椒は、9月に旬を迎える青い柚子を使って作ったものであること。黄柚子胡椒とは11月にもっともおいしさを増す黄色い柚子を使って作るものだということ。そして、ぞれぞれの柚子胡椒の魅力とおいしさについて、神谷さんからたくさんのお話を伺うことができました。黄柚子胡椒がどんな味わいなのか、とても気になりますよね。

そこで次回は、黄柚子胡椒の作り方やアレンジレシピを神谷さんからさらに詳しく伺います。どうぞお楽しみに。
取材・文/鎌上織愛
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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