ちなみに……心太と寒天の違い

心太と寒天、食感も見た目も似ていますが、違いはあるのでしょうか。実はどちらも同じ天草を使っていますが、製法に違いがあります。 心太は、天草を煮て溶かすし固めて作ることは、前の部分でご説明しましたよね。一方で寒天は、ところてんを凍らせたあと乾燥させて作られます。そのため、心太のような磯の風味や香りは少なくなるんです。

地域によって異なる心太の食べ方

酢醤油か黒蜜か

みなさんは心太をどうやって食べていますか?「もちろん酢醤油でしょ」と思った方、「黒蜜じゃないの?」と思った方、実は心太の食べ方は地域によってさまざまなんです。 関東や東北では酢醤油と和がらし、ごまなどの薬味を食べるのが定番のようですが、関西では黒蜜をかけて果物を添えたり、東海・中部地方では三杯酢にごまを添えて食事の小鉢として食べたるのが一般的。四国では、だし汁につけて食べられているようです。

箸一本で食べる

地域によっては、心太を箸一本で食べます。一本だけで食べるなんて器用ですよね。普段の食事はもちろん一膳を使うのに、心太に限って箸一本で食べるのはなぜなのでしょう? ほかにも、お箸が貴重であった時代に、江戸のある店では箸を人数分そろえられなかったことがきっかけです。やむを得ず一本で食べるようになり、江戸っ子の粋な食べ方として広まった説があります。 また、箸二本(一膳)だと力が入りすぎて、心太が切れるから一本になった説、そして江戸時代には高級和菓子であった心太を、わらび餅や羊羹を食べる際に使う黒文字(楊枝)で食べていた名残から、箸も一本だけ使う地域があるという3つの説が残っています。

暑い日でもおいしく食べる

心太(ところてん)の漢字について、心の字が使われるようになった理由もわかりましたよね。作り方や見た目の理由が混じることで、今となっては「なんで?」と思うようになった心太(ところてん)の漢字。食べる機会があれば、話のネタになりそうですね。 全国で食べられている人気の心太も、地域によっては食事のひとつであったり、お箸一本で食べたりなど、いろんな食文化があることも興味深い点。よかったら、食べ方についてもいろいろと試してみてくださいね。
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