「マグロ」と「カツオ」の違いとは

マグロとカツオはどちらも赤身の魚で、刺身で食べることが定番で「似ている魚」という印象をもつ方も多いのではないでしょうか。

このふたつの魚にはさまざまな共通点があるものの、生態系や見た目のほか、食べ方や栄養価が異なります。具体的にどんな違いがあるのか、マグロとカツオの特徴を比較しながら詳しく見ていきましょう。

マグロとカツオの違いは？記事のまとめ

マグロとカツオはサイズが異なり、マグロのほうが大きい
カツオは鮮度が落ちやすく、刺身をたたきにすることが多い
マグロは脂がのっており、カツオよりカロリーが高い

1. 分類や生態系の違い

分類学から見ると、マグロは「スズキ目サバ科マグロ属」、カツオは「スズキ目サバ科カツオ属」に属します。

マグロ属の種はクロマグロやミナミマグロ、キハダ、ビンナガなどさまざま。一方でカツオ属の種はカツオの1種のみで「1属1種」という点が特徴的です。

マグロとカツオはいずれも広い水域を移動するため「高度回遊性魚類」と呼ばれます。カツオは北緯40度～南緯40度の大西洋・太平洋・インド洋に幅広く生息する一方、マグロは種によって分布が異なります。たとえばクロマグロは温帯域、キハダは熱帯域に暮らす魚です。

違いまとめ

マグロは「スズキ目サバ科マグロ属」に分類され、クロマグロやミナミマグロなどさまざまな種がある
カツオは「スズキ目サバ科カツオ属」に分類され、種はカツオの1つのみ

2. 見た目の違い

Photo by 菅智香

マグロとカツオは体長や重さに大きな違いがあります。マグロのなかで一番大きい種であるクロマグロは体長が2.5m、重さが400kgを超えることも。一方でカツオの体長は最大で1m、体重は20kg程度です。

また、腹部の模様が異なります。カツオの白っぽい腹部には銀色の縞模様がありますが、マグロにはありません。

マグロの刺身は大トロ・中トロ・赤身で色が異なり、脂ののっている大トロや中トロは薄い赤色やピンク色に見えます。一方、カツオは背側・腹側どちらも濃い赤色です。

違いまとめ

マグロのサイズは2.5m、400kgを超えることもある
カツオのサイズは最大で1m、20kg程度とマグロより小さい
マグロの刺身は赤色～ピンク色、カツオの刺身は濃い赤色

3. 味わいの違い

マグロの刺身は部位によって味わいが変わりますが、いずれもくせが少ないのが特徴。とくに大トロや中トロは脂身の甘味や旨味が楽しめます。大トロや中トロの食感はやわらかいですが、赤身はやや噛みごたえがあります。

一方、カツオの刺身はマグロと比べると酸味やくせを感じる場合が。背側・腹側で味わいが異なり、腹側はカツオ特有のくせが少なく、さっぱりとしていて食べやすいです。

カツオの刺身のなかでも「カツオのたたき」は皮をあぶっているため香ばしくなります。また、薬味を添えることでくせが軽減されますよ。

違いまとめ

マグロの刺身は旨味・甘味をバランスよく楽しめる
カツオの刺身は旨味のほか酸味・癖がある

4. 食べ方の違い

Photo by 菅智香

また、マグロの刺身は寿司のネタとして人気ですが、カツオの刺身は鮮度が落ちやすく寿司ネタにはあまり適していません。

マグロとは異なり、カツオの刺身は「たたき」にするのが定番です。皮をあぶって薬味を添えることで、カツオ特有のくせや生臭さが軽減されるため、理にかなった食べ方だといえます。

また、カツオを酢飯と合わせるときは「手こね寿司」にするという食べ方があります。手こね寿司は三重県の郷土料理で、タレに漬け込んだ刺身を酢飯の上にのせて作ります。

カツオとは異なり、マグロは「かぶと焼き」や「ねぎま鍋」などといった加熱して作る郷土料理もあります。

違いまとめ

マグロは寿司、かぶと焼き、ねぎま鍋など食べ方がさまざま
カツオは刺身のほか、たたき、手こね寿司にして食べる

5. 栄養素の違い

種類	カロリー	タンパク質	脂質	鉄分	DHA
マグロ	115kcal	26.4g	1.4g	1.1mg	120mg
カツオ	108kcal	25.8g	0.5g	1.9mg	120mg

（※1,2,3,4）

マグロとカツオはいずれもタンパク質が豊富な魚で、タンパク質量に大きな違いはありませんが、マグロのほうがややタンパク質量が多いです。

脂質の量はマグロのほうが多く、カツオの約3倍です。このためマグロのほうがややカロリーが高く、カツオのほうがヘルシーな魚だといえます。

また、カツオのほうが鉄分を多く含み、同量で比較するとマグロの約1.7倍です。鉄分を多く摂りたいときはカツオを選ぶとよいでしょう。

なお、DHAの量はカツオとマグロで同じで、違いはありません。（※1,2,3,4）