ジビエ料理は地域活性化の手法にもなる

前項でも触れたように、有害鳥獣のジビエ利用は地域活性化の手法にもなります。今までは狩猟後にただ処分されてきた有害鳥獣たちですが、2017年には一般社団法人日本ジビエ振興協会(ジビエ振興)が設立。ジビエ振興の活動により、ジビエを用いた地域活性化の仕組みづくりが現在も推進されています。

食肉利用としての外食産業の活性化だけではなく、地域の雇用増加・観光資源の増加・特産品の展開・新しい食文化の創出など、多くの観点からプラスの価値を生み出せるのもジビエの魅力なのです。

「国産ジビエ認証制度」により良質なジビエが展開中

ジビエの注意点として、野生動物ならではの衛生面・健康面の課題が挙げられます。より安全なジビエが市場に出回るために、農林水産省は「国産ジビエ認証制度」を発表しました。2018年から開始された国産ジビエ認証制度は、食肉処理施設の自主的な衛生管理を推進することが目的です。

国産ジビエ認証制度によって、より安全なジビエの提供と、消費者のジビエに対する安心の確保が推進されています。また制度では商品の差別化が図れる仕組みが取り入れられており、消費者の消費者選択にも役立ちます。

牛肉や豚肉と違う?ジビエならではの魅力

着々と日本全国での認知度を高めているジビエ。しかし「ジビエと普通のお肉の違いがわからない」と感じている人も多いのではないでしょうか?ここでは、牛肉や豚肉とは異なるジビエならではの魅力をご紹介します。ジビエの特徴を学ぶと、食事やメニュー選びがもっと楽しくなりますよ。

秋冬が旬!寒い時期に備えて肉質が高まる

ジビエの旬は、野生動物が脂肪を蓄える秋や冬の季節です。しかし、おいしく食べられるポイントは季節だけではありません。動物によってシーズンはやや異なりますが「交尾期に入る前」はとくに脂がのるとされています。

なぜなら野生動物にとって交尾は一大イベントだからです。とくにオスは多くのメスと交尾して子孫を残すために、普段以上の量の食べ物を食べてスタミナを蓄えます。なかでも鹿やイノシシは、交尾期に入りフェロモンの臭いが生じる直前のタイミングが美味とされています。

家畜の肉では味わえない野性的な旨味

ジビエは、家畜の肉では味わえないような野性的な旨味が魅力です。とくに国産ジビエ認証制度が導入されてからは、処理・管理のプロセスが全国的に画一化されました。適切な工程を経て加工された現在のジビエは、昔よりも臭みが減り素材の味を楽しめるようになっています。

ジビエの味の特徴は動物によって異なりますが、どの肉も非常においしく食べやすく、動物ごとの旨味や食感をそれぞれ堪能できます。血抜きの技術や凍結・解凍方法なども整備されつつあり、個性豊かな肉の魅力を安心して楽しめるのです。

ファーストフードから高級店まで幅広く楽しめる

現代のジビエの大きな魅力として挙げられるのが、ジビエを食べられるシチュエーションの豊富さです。元々は高級食品だったジビエですが、現在はファーストフードでも楽しめます。

過去には「ベッカーズ」や「ロッテリア」などのファーストフード店が、鹿肉を使ったハンバーガーを展開しています。もちろん、高級フレンチやイタリアンでもジビエは顕在。フォーマルなビストロやワインバーなどでも、良質なジビエ料理が味わえます。
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