ライター : macaroni 編集部

豆皿&レシピを紹介するのは…

フードアドバイザー・調味料ソムリエプロ / 神谷よしえさん
大分県宇佐市出身。母が設立した「生活工房とうがらし」を、2015年に株式会社生活工房とうがらしとして継承。食を軸として“人と人を繋ぎ、産地と料理人を繋ぐ”をモットーに、全国各地で食にまつわる講演やセミナー、催事などをおこなっている。趣味はおにぎりを握ること。Facebookページの『ごはん大好き』は、世界に6万人のフォロワーを持つ。
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豆皿と一緒に旅してみませんか?

Photo by 中川政七商店

小さいけれど食卓を華やかに彩ってくれる、縁の下の力持ち的存在の豆皿。しかし、あまりにもたくさんの種類があるので、どれを選べばよいかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この連載では日本全国各地の魅力的な豆皿を毎月ご紹介していきます。日本の工芸をベースにした暮らしの道具の数々を取りそろえている「中川政七商店」とともに、フードアドバイザーの神谷よしえさんが、各地の郷土料理を季節に合わせてアレンジしたレシピと豆皿の魅力を教えてくれますよ。

神谷さん:
「豆皿は手頃な価格で手に取りやすい反面、使い方や組み合わせ方がむずかしいという声をよく耳にします。でも、豆皿を使いこなせるようになると料理がとても楽しくなるんですよ。

種類の異なる豆皿をいくつか組み合わせて使うと、食卓が華やぎます。とはいえ、あまりにバラバラだと統一感がなくなってしまうので、豆皿はテイストや素材を合わせることがポイントです。

コロナ禍が深刻化した今、以前のようには気軽に旅行へ出かけることができません。そんなときだからこそ、魅力的な豆皿を通しておうちで日本全国を巡る旅をしてみましょう!」

節分には日本の美しい漆器の豆皿を

Photo by shutterstock

神谷さん
「節分は、毎年立春の前日におこなわれる伝統行事。鬼を追い払って新年を迎えるという意味合いをもつ日なので、大豆をまいて、イワシや柊を飾ったり恵方巻を食べたりしますよね。そんな節分には、昔から受け継がれる日本の伝統工芸の漆器がぴったりです。

漆器というとお正月やハレの日に使う特別な食器というイメージですが、漆はそもそも水や熱から器を守る補強材としての役割を持つため、じつは普段使いにふさわしい器でもあるんです。近ごろでは若い方々のニーズを意識したデザイン性の高い漆器が増えていて、豆皿もめずらしいものがたくさんありますよ。今回は、そんな漆器の豆皿のなかから特におすすめの3つをご紹介します」

1. 【福井鯖江】越前漆器

Photo by 中川政七商店

神谷さん:
「ものづくりの街と呼ばれる福井県鯖江市。越前漆器は、福井鯖江で古墳時代の末期から約1500年もの長い間受け継がれてきた歴史ある工芸品です。古くから​割烹食器や茶道具などに用いられ、今では主に旅館や料亭などで使われることが多いといいます。

その特徴は、なんといっても落ち着いた光沢や上品で華やかな色合い。美しい刷毛目の模様は、ひとつらなりで途切れない刷毛の跡を残す伝統技法で作られます。一度塗り上げると塗り直しができないことから、洗練された技術が必要だといわれているんです。刷毛目がまっすぐ切れることなくついた模様とつやは、漆器の中でもまさに逸品といえるでしょう。

この豆皿の作り手である漆琳堂(しつりんどう)さんからは、『RIN&CO.』という現代のニーズに合わせたカジュアルで新しいタイプの漆器も出ています。普段の生活に取り入れやすいデザインがたくさんあるのでおすすめです」

越前の煮豆文化を楽しむ「ゆず豆」

Photo by あんりちこ

神谷さん:
「大豆の煮物は産地関係なく日本全国で親しまれていますが、越前漆器の産地である福井県には、甘い煮豆の食文化が根付いています。ちなみに福井は、県民の平均寿命が全国第2位という長寿県。もしかすると、煮豆の文化が何か関係しているかもしれませんね。

そんな甘く煮た大豆にゆずジャムかゆずマーマレードを加えると、香り豊かなひと品に。また、ゆずの黄色は食卓に彩りを添えてくれます。お好みで塩または醤油を足して、甘じょっぱい味付けに仕上げてみてもいいですね」

材料(作りやすい分量)

・煎り大豆……100g
・砂糖……30g
・ゆずジャムまたはゆずマーマレード……適量
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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