3. 喫茶店のおもてなし合戦「モーニング」

ドリンクの注文のみで、ゆで卵やトースト、サラダなどのサービスが受けられる「モーニング」。毛織物産業が盛んだった愛知県一宮市で、「はたや(機織業を営む方)」の常連客に、ゆで卵やピーナッツをサービスしたのが始まりとされています。

今ではうどんやコロッケ、茶碗蒸しやケーキをサービスするお店が登場し、ついには一日中モーニングサービスをおこなうお店まで……。各店が負けられない戦いを繰り広げる名古屋は、喫茶店の激戦区。サービス合戦の恩恵を受けない手はありません。

一日中なのにモーニング!?「モーニング喫茶リヨン」

「モーニング喫茶」と聞いて、朝のみの営業と思う方が多いでしょう。ところがこちらのお店、毎日朝8時から午後6時までフルタイムでモーニングサービスを提供しています。名古屋観光の名所的存在で、お店の前には行列ができることも。ドリンク1杯の価格でトーストやプレスサンドが付くとあれば納得です。

モーニング以外にもカレーライスやハヤシライス、オムライスなど、喫茶店の定番メニューがリーズナブルな価格で食べられます。

コーヒー + プレスサンド

コーヒー1杯の値段で、小倉あんのプレスサンドがセットに。朝から活力がみなぎりそうですね。そのほかにも、トーストと卵とカステラのセット、ポテトサラダプレスサンド、ピーナッツクリームプレスサンドなどがあります。
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4. 一度で三度おいしい「ひつまぶし」

三種の神器のひとつ「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」を祀る名古屋の熱田神宮。門前町に加え、江戸時代には東海道41番目の宿場町「熱田宿」が形成され、東海道随一の賑わいを見せました。

このエリアで開業したのが「あつた蓬莱軒」。創業当時から鰻の蒲焼きを看板メニューに掲げ、出前の注文にも快く応じていました。

しかし、運搬中に丼の破損が続いたことから、木製のおひつに数名分の鰻丼を入れる方法を考案。すると、鰻ばかりが減ってご飯が残るケースが増えたため、鰻を刻んでご飯と混ぜて提供したところ、大変評判に。こうして、おひつにご飯と刻んだ鰻を盛り付けた「ひつまぶし」が誕生しました。

一膳目はそのまま、二膳目は薬味と共に、三膳目はダシを注いでお茶漬け風に、と一度で三度おいしい「ひつまぶし」。合理的かつ、おもてなしの心があふれる料理です。

ひつまぶしの元祖「あつた蓬莱軒」

明治6年に宿場町の料亭として開業した「あつた蓬莱軒」。創業当時は鰻の蒲焼きとかしわ(鶏肉)の料理が名物で、出前の注文が頻繁にあったといいます。

先述の通り、丼を破損するケースが増えたため、おひつで出前するスタイルに変更。大きなおひつで鰻とご飯を混ぜて(まぶして)提供したところ、好評を博しました。

現在はひとり用のおひつに盛り付け、思い思いの楽しみ方ができるよう工夫されています。備長炭で焼き上げる鰻と秘伝のタレ、薬味などが相まって、ペロリと平らげてしまうおいしさです。

ひつまぶし

創業当時から継ぎ足し続けた秘伝のタレで焼き上げる鰻の蒲焼き。「串打ち3年、裂き8年、焼きは一生」といわれるように、熟練の技を駆使しています。

栃の木をくり抜いたおひつにアツアツのご飯を盛り、焼きたての蒲焼を刻んでトッピング。フタを開けると、香ばしい芳香が立ち昇り、食欲を刺激します。そのまま薬味と一緒に、お茶漬け風にと、好みを探して行きつ戻りつするのも一興です。
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