ライター : つゆくぼみえ

料理探求人&フードライター

愛知県出身&在住。三河と尾張地方を縦横無尽に動き回り、美味しいものを求めて食べ、自宅で再現し、書き記すことがライフワーク。お酒全般にも目がありません。

1. ソースでは表現できない世界観「味噌カツ」

「とんかつソース」という商品名があるように、とんかつにはソースをかけるのが一般的です。しかし、名古屋を中心とした中部圏では「味噌カツ」が市民権を得ています。

その要因として挙げられるのが、三河出身の徳川家康が愛した「八丁味噌」。豆のみで醸造した八丁味噌が生活に根付き、その愛はとんかつにまで及んだようです。

甘じょっぱい味噌ダレが、豚の脂と衣をマイルドにコーティング。ソースでは表現できない世界観を創出します。

味噌カツを全国に紹介した「矢場とん」

味噌カツの始まりは、終戦直後の屋台で、土手鍋の味噌ダレに串カツを浸して食べたこととされています。

秘伝の味噌ダレを開発し、昭和22年に名古屋の矢場町で開業したのが「矢場のとんかつ」。地元の人気店となり、いつしか略して「矢場とん」と呼ばれるようになりました。

わらじとんかつ

1,400円(税込)
「矢場とん」の味噌カツは、ドロっと濃いタレではなく、サラリとした味噌ダレに浸して提供されます。

数あるメニューのなかでもインパクトがあるのが「わらじとんかつ」。文字通りわらじを連想させる表面積を誇り、ボリュームたっぷり。味噌ダレのほか、ソースで楽しむこともできます。
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2. 煮込み尽くしてもアルデンテ「味噌煮込みうどん」

ところ変わればうどんも変わる、といっても過言ではないほど、地方色が表れるうどん料理。

「味噌煮込みうどん」は、名古屋人がこよなく愛する「八丁味噌」ベースのダシに、塩なしで打った極太うどんを、ゆでずに直接入れて煮込むのが基本です。初めて食べた方は「麺の中心まで火が通ってない!」と驚いたのでは?これは生煮えではなく、味噌煮込みうどんの特徴です。煮込み尽くしてもアルデンテの状態が続きます(実験済み)。

ただし、名古屋人でもやわらかい麺を好む方は多数。皆ひいきのお店をもち、「私は〇〇のダシが好き!」「俺は〇〇の麺が好み」と、味噌煮込みうどんが話題にのぼれば、談義に花を咲かせます。

名古屋の家庭料理をブラッシュアップした「山本屋総本家」

大正14年に名古屋の下町・大須で開業した「山本屋総本家」。名古屋の家庭で作られていた味噌煮込みうどんをブラッシュアップし、名古屋名物にした立役者です。

うどんに使う小麦粉は国産100%。塩を入れずに打ち、生のまま味噌ダシに入れて煮込みます。フタをせずに煮込むことから、土鍋のフタは穴が空いていない特注品。提供するときにかぶせ、食べるときには小皿代わりになるスグレものです。

フタを開けると、味噌の奥深い香りとともに湯気が立ちのぼり、食欲をそそります。

親子煮込うどん

1,709円(税込)
かしわ(鶏肉)と卵が入るから「親子煮込うどん」。鶏肉の旨味が味噌ダシにうつり、コクのあるスープに仕上がります。ゆで上げずそのまま入れた麺は芯の強さを誇り、いつまで経っても伸びないのが特徴です。

また、提供時の卵は半熟状態ですが、グツグツと煮込むうちに白身と黄身に火が入り始めます。好みのタイミングを見計らって食べましょう。最後まで卵を残しておき、白いご飯にのせて食べるのもおすすめです。
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