ライター : 椛嶋 貴子

管理栄養士

生後10ヶ月の離乳食内容

一食あたりの量

食品種別目安量
穀類全がゆ90g~軟飯80g
野菜・果物30~40g
たんぱく質が豊富な食材
(いずれか1種のみを与える場合の目安量)
魚・肉15g
豆腐45g
全卵1/2個
乳製品80g
(※1)
生後10か月の離乳食一食あたりの目安量は、穀類は全がゆで90gほど、軟飯だと80gほどになります。野菜と果物は合わせて30~40gを目安にしてくださいね。

たんぱく質が豊富な食材は、肉や魚は15g、豆腐は45g、全卵は1/2個、乳製品は80gが目安となっています。いずれか一種類を与えるときの目安量になるので、組み合わせる場合には量を調節しましょう。

味つけ

基本的には食材がもつそのものの味を活かしながら、薄味に仕上げます。家族で食べるものを味つけする前に取り分けるのもおすすめです。

食べ進まないときは、すこし味つけをしたほうが食べるようになる赤ちゃんもいますので、だしを濃いめにとったり、風味づけ程度に味をつけたりしてあげるとよいですよ。(※1)

食べる時間

なるべく生活リズムをつけていけるように、食事も朝、昼、夕と一日3回食としていきます。

準備をするのはたいへんですが、家族と同じ時間に、一緒に食事をする機会を増やし、みんなで食べることが楽しいという体験を積み重ねていけるとよいですね。(※1)

ごはんの固さ

10ヶ月頃の離乳食の固さは、赤ちゃんが歯ぐきでつぶせる、バナナくらいを目安にしましょう。ごはんの固さはそれぞれの進み具合によって個人差はありますが、全がゆ(5倍がゆ)~軟飯(米1に対し水2~3の量で炊いたもの)が目安です。

なかには普通のごはんに近いもののほうが食べ進む子もいます。赤ちゃんの食べる様子を見ながら調整しましょう。(※2)

生後10ヶ月の離乳食におすすめの食材一覧

おすすめの食材

  1. おかゆ、軟飯
  2. パン
  3. じゃがいも
  4. うどん
  5. 赤身魚
  6. レバー
  7. 豆腐
  8. ひきわり納豆
  9. カッテージチーズ
生後10ヶ月頃の固さの目安はバナナ程度なので、やわらかくなりやすい食材を幅広く取り入れていきましょう。ひきわり納豆やカッテージチーズは、ゆでた野菜と混ぜるだけで手軽にたんぱく質を摂れるのでおすすめですよ。

また、この時期は鉄分が不足しやすくなります。赤身魚やレバーなどを取り入れましょう。扱いづらい食材は、ベビーフードを使うのもひとつの手です。(※2,3)

10ヶ月の離乳食は手づかみ食べで自由に楽しく!

手づかみ食べは個人差はありますが、生後9ヶ月頃からはじまります。その後の発育や発達に重要な行動といわれていますよ。自分の手で食べ物を触る、握る、固さを確かめるといった体験は食への興味、関心へつながり、自分で食べようとする「意志」へつながっていきます。

お母さんからすると、まわりは汚れるし、散らかしただけで全然食べられていないなど、意味を見出せないかもしれませんが、赤ちゃんにとってはそのすべてが学びなのです。汚れても気にならない環境をつくり、存分に手づかみ食べさせてあげてくださいね。(※1)

【Q&A】手づかみ食べにおすすめの献立は?

A:手づかみ食べが増える頃には、献立に手に持ちやすいものをひと品以上組み込むのがおすすめです。

主食ならおやきやパンケーキサンドイッチなど。魚や豆腐などのたんぱく質源や野菜は、手に持ちやすい大きさの角切りにしてあげましょう。

【Q&A】10ヶ月の離乳食でおにぎりを与えてもいい?

A:おにぎりは手づかみ食べができるのでおすすめなのですが、全がゆを食べている場合にはおにぎりを与えるのはまだむずかしいかもしれません。

口の発達のスピードは個人差があるので、離乳食の進み具合で判断しましょう。おにぎりにするにはある程度米の硬さが必要なので、軟飯を食べられるようになったらトライしてみてくださいね。軟飯は握りずらいので、ラップで丸めて作るとよいですよ。

【Q&A】10ヶ月の赤ちゃんには母乳やミルクがどれくらい必要?

A:生後10か月になると離乳食の量も増えてきます。それに従い、ミルクや母乳の量は少しずつ減ってきますよ。

母乳の場合は、赤ちゃんが欲しがるだけ与えてください。ミルクの場合は、200mlを5回に分けて与えるのが目安になります。母乳でもミルクでも、食事のタイミングで与える場合は食後に与えるようにしましょう。(※1,4)

【Q&A】赤ちゃんが離乳食を食べないときはどうすればいい?

A:離乳食を食べないときは、無理して食べさせなくても大丈夫です。生後10か月はまだ食べることの練習中と考えてくださいね。食べないからといって、ミルクを多く飲ませたり、食事の間隔を短くする必要はありません。

食べないと心配になってしまう気持ちもわかりますが、その子なりに身長体重が伸びているようなら心配はいらないですよ。(※5)

【10ヶ月の離乳食】おすすめの主食レシピ7選

1. ホットケーキミックスで。小松菜コーンのチーズパン

ホットケーキミックスで作るパンは、ふくらまない心配もなく混ぜるだけなのでトライしやすいのではないでしょうか。材料が食べたことのある食材であれば、10ヶ月の赤ちゃんも食べられますよ。ホットケーキミックスは、原材料がシンプルな赤ちゃん用のものを使うと安心です。

手軽に野菜が摂れて、持ち運びできるのでおでかけのときのおやつにもぴったりですよ。(※3)

2. ひきわりを使って。納豆がゆ

離乳食で使う納豆はひきわりがおすすめ。納豆を食べはじめの頃は、熱湯をかけてねばりを取り除いてあげるとよいですよ。

ひきわり納豆は大豆を砕いて作るので、納豆菌が付着して発酵する面積が大きくなります。そのため、発酵の過程で生成されるビタミンKが粒納豆よりも豊富です。ビタミンKは骨の形成を促す作用があり、丈夫な骨づくりに欠かせないビタミンとされていますよ。(※6,7)

3. お弁当にも。ツナとヨーグルトのサンドイッチ

お弁当を持っておでかけのときには、赤ちゃんが自分で持って食べられるサンドイッチにしてみてはいかがでしょう。ヨーグルトを使うことでさっぱりと食べられます。 持ちやすい小さめサイズにつくるときは、切ってから具をはさむと崩れにくくなりますよ。

4. 苦手でも食べられる?トマトチーズトースト

トマトは刻むのではなく加熱して塗ってあげるのがポイント。

レンジで加熱すると酸味がやわらぐので、トマトが苦手でもこのトーストなら食べられるかもしれませんよ。炭水化物、たんぱく質、野菜をあわせて摂れるひと品です。

5. ビタミンプラス。ほうれん草のフレンチトースト

フレンチトーストの卵液に、ほうれん草のペーストをプラスして。味が大幅に変わるわけではないのでおいしくいただけます。完了期向けのレシピですが、全卵、牛乳を食べていたら比較的心配はありません。砂糖やバターは使わないか、ごく少量がよいでしょう。

ほうれん草には骨の形成を促すビタミンKや、細胞の生産、再生にかかわる葉酸が豊富ですよ。(※7,8)

6. 一緒に食べよう。基本のパンケーキ

プレーンなパンケーキは味つけが控えめなので、材料を食べたことがあれば、レシピ通りの作り方で赤ちゃんの手づかみ離乳食に。大人は好きな味つけをして、家族で一緒に食べられる嬉しいひと品ですよ。

家族と食事を共にできるのは赤ちゃんにも大切な時間です。たくさん焼いて、冷凍保存もできますよ。

7. 素朴な甘み。かぼちゃの食パンプディング

卵液をまとった食パンはしっとりふわふわ、かぼちゃはホクホクに。

生地に砂糖を入れていないので、そのままで離乳食に、大人は好きな味つけで取り分けできますよ。家族みんなで楽しめるひと皿です。なお、1歳未満の赤ちゃんには、はちみつは使用しないようにしましょう。(※2)

【10ヶ月の離乳食】たんぱく質たっぷりの主菜レシピ5選

8. 豆腐でやわらかく。しらすと豆腐のおやき

手づかみ食べに定番のおやき。豆腐が入ってもっちりとやわらかく、噛みちぎりやすくなります。 しらすは扱いが簡単で離乳食に向いている食材。カルシウムやビタミンDが豊富に含まれているのも特徴です。塩抜きして冷凍しておくとさっと使えて便利ですよ。

9. にんじんたっぷり。卵焼き

にんじんをすりおろしてたっぷり加える卵焼き。良質なたんぱく質を含む卵はアレルギーの心配がなければ取り入れていきたい食材です。

手づかみしやすいおかずなのでお弁当にも良いですね。ほかの野菜でもアレンジ可能で幅が広がります。(※9)

10. フライパンで蒸し焼きに。納豆とおかかのココットオムレツ

ココットにいれ、フライパンで蒸し焼きにして作るオムレツです。油を使わず作れて、中までしっかり火を通しても焦げる心配がなく安心。

かつおぶしがだし代わりになり、味つけなしでも旨みが出ますよ。

11. 飲み干せるスープ。あじの青のりつみれ

あじは新鮮なものを使いましょう。刺身用が手軽ですよ。片栗粉と混ぜて作るつみれはふんわり食感でぱくぱくとまらなくなりそう。

あじと青のりの風味が豊かなスープも飲み干してしまうおいしさです。冷凍するときはスープごと保存してくださいね。

12. ひとくちサイズで。ぶり大根

ぶりは刺身用を使うと便利です。下ゆでして臭みをとるのがおいしくいただくコツ。

魚は加熱しすぎるとかたくなってしまうので、大根がしっかりやわらかくなってからぶりを加えましょう。ふっくらと仕上がるので赤ちゃんも食べやすくなりますよ。

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13. 冷凍してストック!さば缶とひじきの煮物

たくさん作って冷凍しておくと便利なひじきの煮物。汁ごと冷凍保存しておくとパサつきを抑えられます。

さばの水煮缶は生のさばを使うより手軽で、うす味がついていてそれだけでおいしいのですが、缶詰を離乳食に使う際には熱湯をかけて塩抜きするのがベターです。(※3)

14. 手づかみで。ツナと青のりのいももち

やわらかく手づかみしやすいいももちは、離乳食の赤ちゃんから大人まで喜ばれるメニュー。ツナの旨みと青のりの風味が焼き目の香ばしさに合います。

表面が固くなり過ぎないように、弱火でじっくり焼くのがポイントですよ。

15. ぱくっと食べやすい。かぼちゃのチーズ茶巾

ラップでくるんで茶巾にしたかぼちゃは赤ちゃんが自分で食べるのにぴったりです。一度マッシュしてあるのでやわらかく食感もなめらかに。おやつにもお弁当にもおすすめですよ。 粉チーズを加えることで味にコクがでて満足感もアップします。

16. あたたまる。具だくさんスープ

野菜をたっぷり使うスープは、栄養をまるごと摂れて体があたたまるので、朝ごはんにおすすめ。

離乳食に使うときは、野菜の旨みだけでもじゅうぶんおいしいので、味つけ前のスープを取り分けましょう。大人用には、味見してみて足りなければ塩をプラスしていくとよいですよ。

17. やさしい味。コーンクリームシチュー

化学調味料を使わず素材の味を大事にしたコーンクリームで作るシチューです。コーンクリームのやさしい甘さととろみで体があたたまります。

やわらかく作った鶏団子は赤ちゃんでも噛みやすく、多めに作って冷凍しておくと忙しいときもすぐに使えますよ。

18. ごまの風味香る♪ ブロッコリーのごま和え

ごまの風味が食欲をそそるブロッコリーのごま和え。ブロッコリーは、持てるように茎を長めに残して切ると手づかみもしやすいですよ。もちろん切ってもOKです。カラフルな野菜を使うと栄養も豊富に、見た目からも元気になれそうですね。

完了期向けのレシピとなっていますが、野菜は赤ちゃんに合わせた大きさと固さにして食べることができますよ。少しだし汁を加えてもよいですね。

19. すりおろしたれんこんで。しらす入りれんこんもち

すりおろしたれんこんとしらすを混ぜて焼く香ばしいれんこんもち。しらすの風味で調味料なしでもおいしく食べられますよ。

表面を焼いたら、かたくならないように蓋をして弱火で中まで火を通しましょう。

20. カッテージチーズで。バナナのチーズ和え

カッテージチーズは低脂肪で、うらごしタイプも売っているので扱いやすく離乳食に向いているチーズです。くせもなく手軽にたんぱく質を摂れるお助け食材。 バナナと合わせるだけで、あっという間にできるうれしいひと品です。

10ヶ月の赤ちゃんと楽しむ食卓♪

10ヶ月の赤ちゃんは自分で食べたい意欲のでてくる頃です。まずは赤ちゃんが自由に自分で食べられるように、食事用のスタイや汚れてもいい服にする、床にシートをしくなどしてこぼしても大丈夫!という環境と心の余裕を準備しましょう。

同じ時間に食事をとるのはむずかしいときもあるかもしれませんが、なるべく一緒に食事をすることで、赤ちゃんの食に対しての意欲や楽しさ、食事を通じて家族とのコミュニケーションを学んでいきます。ご紹介した手軽なレシピも参考に、ぜひ一緒に食卓を囲んであげてくださいね。
【参考文献】
(2023/08/24参照)
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