ライター : ☆ゴン

数の子とはなにの卵のこと?

数の子とはニシンの魚卵

ニシンの魚卵を数の子と呼ぶのは、わりと知られていることです。ニシンは傷みやすい魚なので、昔から身を三枚におろして天日干しに、卵巣は天日干しや塩漬けにし保存食にしていました。昭和後期には、黄色いダイヤと呼ばれて価格が高騰し、社会問題になった時代も。

販売されている数の子は、加工法によって3種類に分けられます。現在はほとんど見かけない昔ながらの「干し数の子」、塩漬けした「塩数の子」、調味した「味付け数の子」の3つです。この記事では、もっともポピュラーな塩数の子について解説します。

名の由来とおせちに入れる意味

秋田や青森県ではニシンを、地方名でカドと呼びます。その子である卵巣を「カドの子」と呼び、それがなまって「かずのこ」に。これに「数の子」の漢字が当てられたとする説や、一度に数多くの卵を産むからとする説など、名の由来には諸説あります。

正月のおせちに数の子が欠かせないのは、卵をたくさん産むことから、子宝や子孫繁栄を願うという意味合いが。また、おせちの重箱に詰める3種の祝い肴のひとつで、邪気を払うという意味がこめられた縁起物なのです。

数の子の産地と旬の時期

かつては北海道を中心にニシンが大量に獲れましたが、近年は気候変動や漁業資源の減少などで、ニシン漁自体がすっかり衰退。現在は、北海道の一部で獲れるニシンの国産数の子もありますが、ほとんどが海外からの輸入物です。

おもな輸入先はカナダ、アメリカ、ロシア、中国、韓国など。太平洋産ニシンの卵は、決着力が強く固まるので、塩数の子の原料にします。大西洋産ニシンの卵は決着力が弱く、固まりにくく割れやすいため、味付け数の子の原料にすることが多いようです。

国産ニシンは春の産卵に向けて、北海道沿岸に近づくので「春告魚」の名が。そのため、希少な国産数の子は春が旬といえますが、輸入数の子の旬に関してはこの限りではありません。

数の子を上手に塩抜きする方法

濃度0.5%(水1Lに塩小さじ1杯が目安)の薄い塩水入りの保存容器に、塩数の子を入れて冷蔵庫で8時間ほど漬けこみ。時間がたったら、塩水を捨てて数の子の薄皮をむきます。もう一度薄い塩水を作り、同じように塩数の子を漬け、少し塩分が残る程度になれば塩抜きが完了です。

塩を抜きをしすぎると苦味が出るので注意が必要。塩を抜きすぎた場合は、濃度1%の塩水で漬けなおし、塩気を戻すと良いですよ。

おせちに欠かせない数の子の味付け

Photo by macaroni

だし汁やしょうゆ、酒、みりんなどを煮立たせた、甘めのつゆに塩抜きした数の子を漬けます。つゆは、市販の白だしと水を沸騰させて作ったものでもOK。数の子に塩気があるので、しょうゆは控えめがおすすめです。フタ付きの保存容器に入れて、冷蔵庫で半日以上漬けます。

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