ライター : 満畑ペチカ

調理師ライター

この記事でわかること

食品の冷凍保存方法と解凍方法について解説します。食品を冷凍する際は、真空状態に近づけて冷凍し、急速冷凍することが重要です。冷凍庫内の温度を低く保ち、冷凍焼けを防ぐために頻繁に開け閉めしないようにしましょう。

肉はブライン液に漬けて保存すると、解凍後も食感を保ちやすいです。解凍する際は肉、魚ともに冷蔵庫か氷水を使用し、野菜は冷凍のまま加熱調理するのがおすすめ。ごはんは炊き立ての状態で急速冷凍し、電子レンジで解凍してください。

冷凍焼けとは

一般的に「冷凍焼け」とは、冷凍庫で保存していた食品の表面が白っぽくなったり、変色したりした状態のことを指します。臭くなったり、冷凍庫内のにおいが移ったりした状態も冷凍焼けの一種です。

冷凍焼けの原因は、食品の乾燥と酸化。冷凍食品の乾燥は、食品内で固体として存在していた水分が直接気体になる「昇華」によって起こります。実は、冷凍庫内は外よりも乾燥しているため、昇華が起こりやすい環境なんです。

食品の表面や水分が抜けてしまった部分は、冷凍庫内の空気に触れている状態。食品が乾燥して空気に触れる部分が増えれば増えるほど、タンパク質や油分の酸化が起こりやすくなります。こうして乾燥と酸化を繰り返してしまった結果が、いわゆる「冷凍焼け」です。

霜がたくさんついた状態は?

冷凍食品を長期間保存していると、食品のまわりに霜がたくさんついていることがありませんか?これは冷凍庫を開けたままにしたり、温かい食品を冷凍庫に入れたりして、庫内の温度が上がったことが原因です。ひとくくりに「冷凍焼け」とは言えませんが、食品が劣化している証拠ではあります。

ただし、冷凍のえびや帆立貝などは例外。冷凍のえびや帆立貝には、食材の品質を保つための霜や氷の膜(グレーズ)がついている場合があります。そのほか冷凍の魚介類にもついていることが多いので、食品によって劣化による霜か品質保持のための霜かを判断しましょう。

冷凍焼けしたものは食べられる?

冷凍焼けした食品は、腐っているわけではありません。そのため、食べても体に大きな害はないと思ってよいでしょう。ただし冷凍焼けは食品が劣化した証拠なので、冷凍前よりもパサパサしたり臭かったり、味が落ちたりしていることは確かです。

また、あまりに長期間保存した場合、冷凍庫内の温度変化によって少しずつ食中毒菌が増殖しているおそれがあります。保存期間が1か月以上経った食品は、解凍後すみやかに調理し、しっかり中心部まで加熱して食べてください。

冷凍焼けした食品は、調理方法を工夫すると比較的おいしく食べられます。おすすめはスープや煮物など水分が多めな料理か、酸味が効いた味付け。食感や臭いが気になりにくくなりますよ。

冷凍するときのポイント

食品を冷凍するときのポイントは「真空状態に近づける」「急速冷凍する」「冷凍庫内をできるだけ低温に保つ」の3つです。各ポイントを詳しく解説します。

真空状態に近づける

冷凍した食品が空気に触れていると、その部分から酸化が起こります。また触れる空気の体積が大きいほど昇華も起きやすくなるので、できるだけ食品のまわりを真空状態に近づけて冷凍するのが理想です。

もっともよいのは、専用の機械で真空状態を作ること。ただし家庭では用意がむずかしいので、袋のなかの空気をストローで吸ったり、水を張ったボウルに袋を沈めて空気を抜いたりして、簡易的に真空状態を作り出しましょう。

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