ライター : 桑原恵美子

フードライター

秋田県生まれ。34歳で編集業界に入り、44歳でフリーライターデビュー。「日経クロストレンド」でトレンド系取材記事、「ぐるなびdressing」で料理店取材記事、「PETomorrow」(小学館)…もっとみる

家系ラーメンとは何なのか?評論家が詳しく解説

多くのファンに愛される「家系ラーメン」の特徴や発祥などについて話をうかがったのは、ラーメン評論家の山本剛志さん。

2000年放送の「TVチャンピオンラーメン王選手権」で優勝し、全国47都道府県で1万5,000杯以上を食破、現在も年に700杯前後のラーメンを食べている、生粋のラーメンマニアです。

「家系ラーメン」の歴史や魅力、おすすめ店について教えてもらいました。

Photo by 山本剛志

山本剛志(やまもと たけし)/ラーメン評論家 KADOKAWA「ラーメンwalker」百麺人。アメブロ「ラーメン評論家 山本剛志のら~マニア共和国」を毎日更新。「合同会社山本たけし総合事務所」を設立し、ラーメン情報の提供やアドバイザーとしても活躍中

発祥は吉村家!家系ラーメンの歴史や由来とは?

Photo by 山本剛志

「そもそも“家系”とは、1974年に神奈川県で創業した『吉村家(よしむらや)』を源流としたラーメン店のことで、『~家』という店名をつけることが多かったことから“家系”と総称されるようになりました。

もともとは、横浜エリアだけで食べられている”知る人ぞ知る”ラーメンだったのですが、1980年代のラーメンブームによってじわじわ知名度が上がっていきました」

六角家の「ラーメン」

「全国的に知られるようになったのは1994年、『新横浜ラーメン博物館』がオープンした際、『吉村家』の流れを汲む『六角家(ろっかくや)』が横浜代表のラーメンとして出店したこと。

さらに人気が爆発的に広がったのは1999年に、『吉村家』が横浜駅近くに移転することになったとき、テレビ番組で特番が組まれたことがきっかけでした」

「家系ラーメン」にはどんな特徴がある?

Photo by 山本剛志

吉村家の「ラーメン」
「家系ラーメンというと、『豚骨醤油味』とざっくり紹介されることが多いのですが、『吉村家』のラーメンは、創業者の吉村実さんが、当時ラーメンのスタンダードとされていた東京風の醤油ラーメンと、まだ全国的になじみが薄かった九州のとんこつラーメンのいいとこ取りを目指して生み出したものです。

ですから実は、東京風の醤油ラーメン同様、鶏ガラをたくさん使っていて、特に『吉村家』では豚骨より鶏ガラのほうが多いと言われています。

また、寸胴をいくつも使い何日もかけて作ったスープを炊き続け、さらにブレンドしながら濃度を一定に保っているのも家系ラーメンの特徴です。

家系のラーメン店は通し営業が多いのですが、これはずっと寸胴につきっきりでスープを炊き続けなければならないから。ラーメンスープの作り方としては非常に複雑で、手がかかっているのです」

Photo by macaroni

「また、『吉村家』が『酒井製麺』(大田区)特注の麺を使用していることから、『家系=酒井製麺』というイメージも強くあります。中太でモチモチした独特の食感の麺が、力強いうまみのスープとよく合うからでしょう。具は、チャーシュー、ほうれん草、海苔が一般的です。

ただ実は“家系“とひとくちに言っても、人によってさまざまなとらえ方があります。元祖の『吉村家』に影響を受けていることが前提ですが、現在はさまざまなスタイルがありますし、定義があいまいになってきています」

一般的なとんこつラーメン、二郎系ラーメンとはどう違う?

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左からとんこつラーメン、二郎系ラーメン
「一般的なとんこつラーメンと違うのは、前述したとおり東京ラーメンの要素も濃く入っていること。また家系は麺の固さ、味の濃さ、油の量をカスタマイズできることも特徴です。

『二郎系』もアレンジはできますが、『マシ』『マシマシ』と呼ばれるアレンジが一般的。それに対して、油や醤油の量を減らすこともできるのが、家系の大きな特色のひとつと言えます。特に油の量で、味の感じ方はかなり変わりますから!」

家系ラーメンの広がる系譜「直系」「壱系」「CPS」とは?

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「吉祥寺武蔵家」の「ラーメン」
『吉村家』の公式サイトによると、その味を受け継ぐラーメン職人は、直弟子・孫弟子を含め300人にも及ぶと言われています。そのなかで、『吉村家』が公式に『直系』の認定を与えているのは、2021年10月現在6店(杉田家、はじめ家、厚木家、高松家、上越家、環2家)のみです。

『吉村家』出身者のなかにも、元祖の味をベースにしつつ違う魅力を探るべく、さまざまに枝分かれしています。『出身者の店の出身者……』という形で枝分かれしていった店のひとつとして、新中野からスタートし都内で多店舗展開している『武蔵家』があります。『吉村家』の味よりも豚骨の味を立たせて、さらに濃厚にした印象。

その『武蔵家』出身の店主が、さらに個性的な味の『武道家(ぶどうか)』を立ち上げ、その系統も店舗を拡大しています」

壱六家の「らーめん」

「やがて家系ラーメン店が増えると、ブランド名に“家系”と付いてはいても、『吉村家』とは無関係の店も登場し始めます。『壱六家』から始まる『壱系』と呼ばれるラーメン店もそのひとつ。

『吉村家』で特徴的な鶏ガラよりも、豚骨が印象的で濃厚な『CPS(クリーミーポタージュスープ)』とも呼ばれています。

さらにセントラルキッチンを採用し、FC(フランチャイズチェーン)で店舗展開をしている『町田商店』などでは、従来の家系ラーメン店とは異なり、塩味や味噌味のラーメンも提供しています。

こうした展開に疑問を抱く方もいるかもしれませんが、家系ラーメンを食べられるお店が日本全国に広がるということに意味があるとも考えられます」

マニア直伝!横浜家系ラーメンを120%楽しむ方法

Photo by 山本剛志

輝道家の「ラーメン」とライス
「『吉村家』は創業当時、神奈川県新杉田の産業道路沿いにトラックを駐車できる店を出していました。ターゲットがトラックドライバーだったので、朝から食べられるような営業時間で、汗を流すドライバーさんたちにおいしく食べてもらいたいと思って、味も濃厚にしていたと思われます。

また、体力を消耗するドライバーさんにお腹いっぱい食べてもらいたいと考え、ライスもメニューにありました。家系ラーメン店の多くがライスを提供しているのは、そんな歴史があるのです」

Photo by macaroni

「そうした家系ファンたちから広まったのが、スープに海苔をひたし、それでごはんをくるんで食べる方法。おいしいので、ぜひ試してみてください。

また、卓上にたくさん調味料を用意しているお店も多く、ひと通り入れてみて、どれを入れたらどうなるかを自分の舌で確かめ、好みの方向を見つけるのも楽しいですよ」
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