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子どもの偏食のメカニズムとは
毎日の子どもの食事。多少の好き嫌いは誰でもあるものですが、あまりにも偏っていると栄養のバランスが心配ですね。
そこで、子どもの食育や栄養にくわしい帝京科学大学の上田玲子先生に、子どもの偏食のメカニズムや上手な付き合い方を教えていただきました。
子どもに偏食が多い理由は、本能的な不安にあった!
野菜を食べない、好き嫌いが多いなど、子どもの偏食が気になるパパママも多いはず。「いつまで続くのか」「必要な栄養がきちんと摂れているのか」など心配は尽きませんね。
なぜ子どもには偏食が多いのでしょうか。
上田先生は偏食の根本的な原因は「食体験が少ないこと」だと指摘します。小さいときほど口にするものが生死や成長に直結するため、食べてよいかどうか本能で判断をしているそうです。
子どもが好きな味=体に必要なもの
「味は“5原味”と呼ばれる、甘味・うま味・塩味・酸味・苦味の5つに大きく分けられます。赤ちゃんには生まれながらに好き嫌いがあり、いちばん喜ぶのが甘味です。
人間にとって甘味は『ここにエネルギー源があるよ』というお知らせのようなもの。甘味の元となるブドウ糖などの糖分は心臓を動かしたり、泣いたり動いたりするのに必要です。
そのため、甘味は生きていくのに必要な味として、自然と好むようになっているのです。」
「うま味も、元となるイノシン酸やグルタミン酸などのアミノ酸がたんぱく質として筋肉など体をつくるのに必要なものなので、やはり赤ちゃんは喜びます。」
このように、甘味・うま味は体に必要なものとして喜ぶ赤ちゃんですが、塩味・酸味・苦味は体に必要がないものとして認識しているのだとか。
「人間に必要な塩分は1日に1.5g程度とほんの少しでOK。そのため、塩味は赤ちゃんは特別好む味ではありません。
一方、酸味は食品の腐敗を知らせる味で、苦味は自然界では毒物の味。本能的に危険と感じて、赤ちゃんは嫌がります。」
食体験が少ない赤ちゃんや子どものうちは、本能的な感覚によって食べ物の好き嫌いが大きく左右されるものなのですね。
そのほか食べ物の食感や温度の影響も
味のほかにも、食べさせているものが歯などの成長に合っていないケースも嫌がることが多いそうです。
「奥歯まで生えそろうのは3歳くらい。それまでは噛み砕いたり、すりつぶしたりする必要があるものは食べにくいため、嫌がります。
また、咀嚼力も弱いので、レタスなどの薄くてぺらぺらしたものは噛んでからまとめて飲み込むことが上手にできず、嫌がる場合が多いですね。」
「また、冷たすぎたり熱すぎたりして不快だったり、見慣れないものだと『これは食べて大丈夫…?』という不安を感じて嫌がる場合もあります。」
食体験が少ない赤ちゃんや子どものうちは、食べ物の味はもちろん、食感や温度、見た目など、ちょっとした違いにも敏感に反応しがち。
繰り返し与えるうちに食べられることもあるので、同じ食材でも調理方法やあげるタイミングを調整してみることが大切です。
偏食は放っておいても大丈夫?栄養バランスは?
偏食が続くと体への影響が心配になりますが、上田先生によると「○歳までは大丈夫」という科学的根拠のある目安はないので、子どもが食べないからといって放置してしまうのはよくないそうです。
とはいえ、にんじん、納豆、玉ねぎ、ピーマンなどが嫌いだった子どもが食べられるようになる年齢は意外に遅く、平均で10歳。
80%の子が食べられるようになるのは15歳という研究結果もあるとのこと。食材によっては、食べられるようになるまで、意外と時間がかかるようです。
偏食の期間が長引くと、栄養バランスが気になりますが、食べられない食材だけを気にするのではなく、食品を栄養素ごとにわけたグループで考えると良いそう。
「ある食べ物が食べられないと、その食べ物に含まれる栄養素がまったく摂取できないと思いがちです。
しかし、食べ物は『6つの基礎食品群』に分けられ、同じ食品群の食べ物であれば、ほぼ同じ栄養を含んでいるのです。」
6つの食品群とは「魚・肉・卵・大豆製品」「牛乳・乳製品・海藻・小魚」「緑黄色野菜」「淡色野菜・果物」「穀類・芋類・糖分」「油脂類・多脂肪食品」のこと。
「たとえばピーマンがダメでもにんじんが食べられれば、同じ緑黄色野菜グループのものを食べられているので栄養的にはOKです。
お子さんの食べられる食材が少ない場合には、今食べることができる食材が含まれる食品群や、不足を補える食材を保護者が知っておくと良いですね。」
今すぐできる!子どもの偏食対策
できることなら子どもの偏食は早めに治したいもの。家庭ですぐにできる対策や心構えをご紹介します。
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