ライター : 渡辺 りほ

管理栄養士

監修者 : 竹内 弘久

杏林大学医学部付属病院 外科医

食べてすぐ就寝するのはおすすめしない

「食後の身体を休める」という意味では、食べてすぐ横になってリラックスするのは悪いことではありません。食べたものを消化・分解するためには、胃腸や肝臓に血液が必要です。

しかし、立ったり、歩いたりしていると肝臓に流れる血液の量が減ります。肝臓に十分な血液を送るには、食後は休むことが大切です。

ただし、胃に負担のかからない向きで横になる、深い眠りにつかないようにするなどの注意が必要。この記事では、食後に横になる際のポイントをご紹介します。(※1,2)

食後に横になるときの寝る向きが大切

ポイント

  1. 右側を下にして寝る(右向き)
  2. 左向きで寝ると胃もたれの原因に

右側を下にして寝る(右向き)

食後は横向きで、身体の左側を上に向けた態勢で寝るのがいいと考えられています。右向きに寝ることで、胃から十二指腸への消化物の移動がスムーズになりますよ。

これは、胃の形が深く関係しています。胃袋はそら豆のような形をしており、口に入れた食べ物は食道を通って胃袋に到達。その後、胃袋の右下にある出口を通り、少しずつ十二指腸へと流れる構造になっています。(※2,3)

左向きで寝ると胃もたれの原因に

身体を左向きや仰向きにした場合はどうでしょう。胃の出口が下方向に向かないため、胃の中の食べ物が流れにくくなります。

その結果、胃の中に消化中の食べ物が胃に残り続けるおそれが。消化不良を起こし、胃もたれの原因になりかねません。(※2,3)

食べてすぐ横になる場合に気をつけたいこと

ポイント

  1. 逆流性食道炎になりやすい人は注意が必要
  2. 横になる時間は30分から1時間
  3. 完全に寝るのは避ける

逆流性食道炎になりやすい人は注意が必要

竹内先生:
「妊婦やBMIが高いかたは、食後に右向きに寝ると、胃の内容物が逆流しやすくなるおそれが。逆流性食道炎になりやすい人は、なるべく食後は横にならないようにしてくださいね。

どうしても横になりたいときは、枕やクッションなどで上体を25cm程度高くしたうえで寝ましょう(※4,5)」
逆流性食道炎とは、胃液や胃の中に溜まった食べ物が食道に逆流し、粘膜に炎症が起きること。胃液に含まれる胃酸は強い酸性のため、胃は胃粘液によってから胃の粘膜を守っています。

しかし、食道にそのような機能はないため、胃酸によって咳やのどの痛み、胸やけなどの症状を引き起こす場合があります。(※6,7)
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