ライター : 相羽 舞

管理栄養士

柿の食べ過ぎによるデメリット・症状

柿を食べ過ぎると

  1. 下痢や腹痛をおこす
  2. 便秘をおこす
  3. 体が冷える
  4. 柿胃石ができるおそれ

下痢や腹痛をおこす

柿には食物繊維が含まれており、100gあたり1.6gと豊富です。食物繊維は、適量であれば便の排出を促したり、腸内環境を整えたりといったはたらきが期待できますが、摂り過ぎは下痢をひきおこすおそれが。特に下痢につながりやすいのが、水溶性食物繊維の摂り過ぎです。

生の柿に含まれる水溶性食物繊維は100gあたり0.2gと多くはないものの、干し柿では100gあたり1.3gと多いため、注意が必要です。(※1,2)

便秘をおこす

食物繊維のなかでも、不溶性食物繊維の摂り過ぎは便秘につながるおそれがあります。生の柿に含まれる不溶性食物繊維は100gあたり1.4g。適量の不溶性食物繊維の摂取は、便のかさを増やし、腸を刺激して便秘対策に役立ちます。しかし摂り過ぎた場合は、便が大きくなったり固くなったりして腸に詰まりやすくなるおそれが。

特に、すでに便秘気味の人は、便秘対策として食物繊維を多く摂る傾向にあるといわれているため、気をつけましょう。(※1,2)

体が冷える

中医学における薬膳の考え方では、食べ物には体を温める性質と冷やす性質、どちらでもない性質があるとされています。柿は体を冷やす果物に分類されており、余分な熱を取る作用がありますよ。そのため、柿の食べ過ぎによって体が冷えてしまう場合も。

体の冷えが気になる場合は、干し柿を食べるのがおすすめです。水分が抜けた干し柿は、体を温める性質に変わりますよ。(※3)

柿胃石ができるおそれ

胃石とは、胃の中で十分に消化されずに、かたまりとなって留まっているもののことです。日本国内でもっとも多いのが、柿の食べ過ぎによるものとされています。柿には胃酸と混ざるとかたまりやすい成分があり、胃石となって残りやすいのです。

胃石ができると胃痛や食欲不振の原因となるため、柿が好きでよく食べる人は注意しましょう。(※4)

柿を食べ過ぎると太る?

柿は100gあたり63kcal、糖質量は14.3g。ほかの果物と同量で比べると、りんごやぶどうと同じくらいのカロリー、糖質量です。

果物はビタミンやミネラル、食物繊維を摂るのに役立ちますが、糖質が多く、食べ過ぎると中性脂肪が増えたり、肥満につながったりするおそれがあります。では、柿の適量はどのくらいなのか確認してみましょう。(※1,5)

柿の食べ過ぎってどれくらい?

一日の果物摂取量の目安は、可食部200g程度。柿の場合は、中~大きめのサイズ1個ほどが目安です。

前述した「柿胃石」ができた人では、柿を毎日2~3個食べていた人が多かったとの調査報告があるそうです。そのため、毎日2個以上食べていると食べ過ぎの症状が出るおそれがあります。また、柿ばかりに偏らず、いろいろな果物を食べることが大切ですよ。(※4,6,7)

適量なら体にいい!柿の栄養と効果

効果

  1. 便秘対策に役立つ「食物繊維」
  2. 免疫機能にかかわる「ビタミンC」
  3. 老化対策に役立つ「β-カロテン」
  4. ナトリウムを排出する「カリウム」
適量の摂取であれば、柿には便秘対策に役立つ食物繊維をはじめ、健康維持に役立つ栄養が多く含まれています。免疫力を高めるビタミンC、抗酸化作用によって老化の原因となる活性酸素を除去する、β-カロテンなどのビタミンも豊富。

また、ミネラルの一種であるカリウムは、ナトリウムを排出することで塩分の摂り過ぎによるむくみ対策に役立ちますよ。(※1,2,8,9,10)

柿の食べ過ぎに注意しよう

柿は食物繊維が豊富で、適量であれば便秘対策に役立ちますが、食べ過ぎると便秘や下痢につながるおそれが。また、柿は体を冷やす食べ物といわれ、冷えやすい人は注意が必要です。

柿の成分が胃酸と混ざってかたまりを作る「柿胃石」ができる人は、柿を毎日2個以上食べていることが多いようです。一日に2個以上食べることは避けましょう。柿は適量なら健康維持に役立つため、一日1個を目安に食べてくださいね。
【参考文献】
※1 八訂食品成分表2021|女子栄養大学出版部
(2022/10/13参照)
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