ライター : ☆ゴン

唐揚げと竜田揚げ、どこが違う?

唐揚げと竜田揚げ、どちらも好きだという人は多いはず。では、このふたつの料理の違いってご存知でしょうか?いざ聞かれてみると、意外と答えられないものです。この記事では、ふたつの揚げ物の違いについて調べてみました。

竜田揚げの由来は奈良の「◯◯川」?

竜田揚げには、一般的に知られている鶏肉で作るものだけでなく、ほかの肉類や魚を使うものもあります。クセがあってにおいの強い食材を、おいしく食べるための調理法。下味をつけて、片栗粉をまぶして揚げるものを、竜田揚げと呼ぶのだそうです。

名前の由来は、奈良県の北西部を流れる紅葉の名所「竜田川(たつたがわ)」。しょうゆの赤い色と衣の白い色が、川の白波に浮かぶ赤いもみじを連想させるという説です。これ以外にも諸説あり、本当のところは定かではありません。

唐揚げの由来は中国の普茶料理

唐揚げは、食材ににんにくやしょうがで下味をつけ、小麦粉や片栗粉をまぶして、油で揚げる料理のこと。肉や魚のほかに、野菜の唐揚げもあります。

唐揚げは「空揚げ」とも書き、由来は江戸時代に伝来した中国の普茶料理(ふちゃりょうり)。 "とうあげ" とも呼ばれていたそうです。当時の唐揚げはいまと違い、豆腐を細かく切って油で揚げ、しょうゆと酒で煮た料理。普茶料理は精進料理なので納得ですね。

ちなみに、いまの唐揚げに似た料理は、「煎出し(いりだし)」や「衣かけ」と呼ばれていました。

じつは使う材料が違う

唐揚げとは、鶏肉だけでなく、魚であれ野菜であれ、小麦粉や片栗粉を衣にする揚げ物全般を指す言葉。従来は小麦粉を使うのが唐揚げという意見が多数でしたが、いまは日本唐揚協会によって、片栗粉も認められています。

一方の竜田揚げは、衣を厚くするために片栗粉を使用し、しょうゆやみりん、酒などで下味をつけて、油で揚げるものと定義付け。

しかし、両方の材料や調理法に厳密な決まりがあるわけではなく、家庭やお店によって微妙に違いがあることが多いようです。

唐揚げが食卓の定番になった背景

現在の形の唐揚げが、お店で提供されるようになったのは、昭和7年ごろのこと。東京にあった「三笠」という食堂がはじまりです。本店の経営は順調だったものの、銀座支店は営業不振に陥っていました。現状を打破しようと料理長が考案したのが、若鶏の唐揚げだったのです。

第二次世界大戦が終わると、戦後の食料難のなか、国の政策で養鶏場が多く作られることに。とくに養鶏場がたくさんあった、大分県北部で鶏の唐揚げが食べられるようになるのです。それが全国に普及し、家庭の食卓に並ぶようになったのは、ここ30~40年のことだとされます。

北海道では、唐揚げ=ザンギ?

北海道では、唐揚げを「ザンギ」と呼びますが、これはどこに起源があるのでしょうか?ザンギのほうが味付けが濃いという意見もありますが、このあたりも線引きがあいまいなようです。

ザンギの名は、中華料理の「炸鶏(ザーチー)」が由来だとされます。運がつくようにと縁起をかつぎ、字の真ん中に「ん」の文字を入れて、ザンギとしたという説が有力。歓楽街の鶏料理専門店で、骨付き鶏肉を揚げて、ソースを添えて出したのがはじまりだそうです。
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