ライター : とも

子育てフードライター

伝統的な和食の常備菜「しぐれ煮」とは?

常備菜として人気の「しぐれ煮」。少し濃いめの味付けはごはんにぴったりですよね。しぐれ煮は、貝や肉にしょうがを加えた佃煮の一種です。具体的にどのような材料が使われ、いつ頃から食べられていたのでしょうか?

材料

しぐれ煮には、あさりやはまぐりなどの貝類や薄切りの牛肉が使われることが多いです。味付けは砂糖としょうゆをベースにした甘辛いものが一般的。もともとははまぐりを使った佃煮をしぐれ煮と呼んでいましたが、現在は肉や野菜を使ったものもしぐれ煮と呼んでいます。

お店やご家庭によっては、これらにごぼうや玉ねぎを加えたり、豚こま肉や鶏肉を使ったりすることがありますよ。

発祥

しぐれ煮の歴史は古く、戦国時代頃といわれています。現在の三重県桑名市は当時からはまぐりの産地でした。関ケ原の戦いで勝利した徳川家康に献上されたのが、桑名のはまぐりを使ったしぐれ煮だったと考えられています。

その後もはまぐりが旬を迎える初冬になると、桑名から江戸へ献上するのが風習とされていました。現在でも、桑名市ははまぐりの名産地として知られています。

名前の由来

しぐれ煮の名前の由来にはいくつかの説があります。ひとつは、桑名市で獲れたはまぐりが「しぐれはまぐり」と呼ばれていたことが由来という説。

もうひとつは、後撰和歌集に記されていた和歌が由来という説です。はまぐりの旬である冬の訪れを詠んだ「神無月 降るみ降らぬみ 定めなき しぐれぞ冬の 初めなりけり」にちなみ、名づけられたと考えられています。

ほかにも、初冬に降る雨「時雨(しぐれ)」の時期にはまぐりが旬を迎えるから、という説から、しぐれ煮を「時雨煮」と表すこともあります。

「しぐれ煮」と「佃煮」の違い

しぐれ煮は佃煮の一種なので、大きく分けると同じものです。違いは、しぐれ煮にはしょうがが使われていること。また、発祥の地にも違いがありますよ。前述の通り、しぐれ煮の発祥は三重県なのに対し、佃煮の発祥は東京都です。

「しぐれ煮」と「大和煮」の違い

しぐれ煮に似た料理に「大和煮(やまとに)」があります。大和煮は明治時代に誕生したとされる常備菜で、肉やくじらなどを砂糖やしょうゆ、しょうがなどで甘辛く煮付けるのとが特徴。

調味料はしぐれ煮に似ていますが、味わいは大和煮のほうがやや濃いめです。しぐれ煮が薄切り肉を使うのに対し、大和煮は大きめにカットした肉を使う点にも違いがありますよ。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ