ライター : とも

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からすみとはどんなもの?

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からすみとは、魚の卵巣を塩漬けにして圧搾・乾燥させた食品のことです。ナマコの内臓を塩辛にした「このわた」や、うにに塩を混ぜてペースト状にした「塩うに」と並ぶ日本の三大珍味といわれています。

からすみの原料

からすみの材料はとてもシンプル。地域によって日本酒や焼酎を加えることもありますが、基本的には魚の卵巣と塩だけで作られます。

からすみの主な原料はボラという魚の卵巣です。ボラの卵を使ったものは「本からすみ」と呼ばれ、最高級品とされています。日本近海(オホーツク海を除く)や熱帯以外の世界中の海に広く生息しており、産卵期は10〜1月頃。長崎県などのからすみの産地では、10〜11月にかけてボラ漁が盛んに行われます。

ボラ以外にもさわら・さば・たらなどの卵巣を使って作られることもあります。

からすみの味わい

からすみは塩辛く、ねっとりとして濃厚な味わいです。後述しますが、もともとは保存食として作られていたため、塩味が強いのが特徴。独特の旨みがクセになるおいしさです。

からすみの概要

  1. からすみ=魚の卵巣を塩漬けにして圧搾・乾燥させた食品
  2. 原材料はボラの卵と塩。ほかにさわらやさば、たらの卵が使われることも
  3. 塩辛く、ねっとりとした濃厚な味わい

からすみの歴史

からすみが最初に作られたのは、紀元前古代ギリシャやエジプトなど地中海沿岸部という説があります。生の食品を保存する方法のひとつとして、塩漬けや天日干しが考案されたのが始まり。その後、現在のイタリアやフランス、スペインやトルコなどに広がりました。

からすみが日本に伝来したのは安土桃山時代頃。中国から長崎県に伝来したのが最初で、当時はさわらの卵巣で作られていたといわれています。

江戸時代に入ると、日本国内でもからすみが作られるようになりました。当初は、中国から伝来した原料に則っていましたが、長崎県の野母崎地方でボラが多く獲れたことから、その卵巣で作ることに。しだいに長崎県の名産品として日本中に知られるようになりました。

名前の由来

からすみの名前は、中国の墨「唐墨(からすみ)」に形が似ていたことが由来といわれています。冷蔵技術がなかった時代はからすみを常温保存していたため、時間が経つと黒くなり、色も墨に似ていたことも理由のひとつ。

ほかにも、豊臣秀吉にからすみを献上した代官が、「この食べ物の名は?」と尋ねられた際、とっさに「唐墨です」と答えたのが由来という説も。

日本と違う?世界のからすみ

からすみは日本以外にも世界各国で食べられています。台湾では烏魚子(オーヒージー)」といい、中華料理に多く用いられます。表面を軽くあぶってから薄くスライスし、おつまみとして食べることが多い点が日本に似ていますよ。

イタリアのからすみbottarga(ボッタルガ)」は、日本にくらべて塩分が強め。しっかり乾燥しているため、パウダー状にして料理のアクセントに使われることが多いです。

なお、台湾やイタリア産のからすみは国産のものよりも流通量が多いため、比較的安価で購入できるのも特徴です。
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