■焼き型によって、焼きたての食感が変わる?

●先生 「違いといえば…! 今回は、同じ配合の生地を2種類の型で焼き上げたいと思います。一つは、フィナンシェの定番“インゴット型”。もうひとつはマドレーヌを焼くときに使う“マドレーヌ型(シェル型)”です!」
▲写真上・上:マドレーヌ型(シェル型)、下:インゴット型 ●祐梨子 「先生! 初歩的な質問かもしれないのですが、フィナンシェはなぜ“インゴット型”で焼くのでしょうか?」 ●先生 「“インゴット”とは、英語で金塊という意味。諸説ありますが、フィナンシェの色や形が“金の延べ棒=インゴット”に似ているからと言われています。 そもそも“フィナンシェ”とは、卵白ベースの焼き菓子のことを指すんですけどね」 ●祐梨子 「そうだったんですか! では、どうして先生は“マドレーヌ型”でも焼くのですか?」 ●先生 「今回は祐梨子ちゃんに、実際に食べ比べてもらいたくて。 角がなく丸みを帯びた“マドレーヌ型”と、角がある“インゴット型”では、焼きたての食感が全く異なるんです! この違いが味わえるのも、焼きたてだからこそ!」 ●祐梨子 「違う型で焼いたときの違いも、試食で体験できるなんて、うれしいです!」

■ポイントを押さえたところで、さっそく実践!

●祐梨子 「“焦がしバター”の色付け具合や、生地と合わせるときの温度が、焼きたてフィナンシェの食感や風味に大きく影響しているとは知りませんでした。また、ベーキングパウダーや焼き型ひとつで、口当たりが変わることにもびっくり! 教わったコツさえ押さえておけば、とっても簡単に作れそう!」 ●先生 「そうなんです。コツといっても、難しいテクニックはありません。 フィナンシェ作りは工程がとってもシンプル。だからこそ、一つひとつのポイントをおさらいしながら丁寧に作っていきましょう!」 ●祐梨子 「わ~、とっても楽しみ♪ 先生、よろしくお願いします!」

■「フィナンシェ」の作り方

■材料(インゴット型 8個分)

【プレーン】 ・無塩発酵バター … 70g ・卵白 … 80g(L玉約2個分が目安)  ・上白糖 … 70g ・ベーキングパウダー … 1.5g ・バニラオイル … 適量 ・アーモンドパウダー … 25g ・準強力粉 … 30g(今回は、『鳥越製粉』の「フランス」を使用) ※卵白は冷凍保存しておいたものでも可能。その場合は、使用するとき冷蔵庫内に移して解凍しておく。 ※今回は上白糖を使用。転化糖(ぶどう糖と果糖との等量混合物)が含まれているため、生地をしっとりさせる効果がある。 ※アーモンドパウダーには、“皮付き”“皮なし”“コーンスターチ入り”“純”のものがある。どのタイプを使うかは好みだが、今回はバターの香りを引き立てたいので“皮なし・純”のものを使用。 ※薄力粉ではなく準強力粉(フランス)を使うことで、しっかりとした生地感に仕上がる。 【フィナンシェ・ショコラ】 ・準強力粉 … 20g ・ココア … 10g(今回は無糖タイプのものを使用) ※粉以外の材料は、【プレーン】と同様。 ※ココアパウダーは、使うメーカーによって焼き色が変わる。風味や色合いが変わりやすい粉なので、直射日光の当たらない涼しいところで保管しておくこと。

■今回使用したキッチンツール

・熱伝導のよい銅やステンレス素材の厚手の鍋 ・粉ふるい ・ホイッパー(今回は大と小を使用) ・ゴムベラ
《型》今回は、以下2つの型を使用。 ・マドレーヌ型天板(8個付) ・インゴット型天板(6個付) ※上記は一例。 ※型付きの天板はメーカーによって1個あたりの容積が違う。テフロン加工の型を使用する場合は、空焼きしないように、生地は全ての型に流し入れること。(空焼きすると型が傷みやすいため)。 ※余った生地は小さいカップや単品用(写真上・右)で焼くことを推奨。 ※鍋は、焦げの色が見えやすい色味を推奨。

■下準備

・型にバター(分量外)を塗って冷蔵庫へ入れておく。(型の素材によるが、バターを塗っておいた方が、キレイに型から外しやすくなる。また、塗ったバターが溶けてゆるんだ状態で流し込むと生地と一体化してしまうため、型は焼く直前まで冷蔵庫で冷やしておく)
・アーモンドパウダー、準強力粉、ベーキングパウダーは、合わせてふるっておく。(写真・左) ・【フィナンシェ・ショコラ】の場合は、粉類を合わせてふるった上から、茶こしを使ってココアパウダーをふるう。(写真・右)

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