ライター : 稲吉永恵

野菜ソムリエ / ローフードマイスター / オーガニックコンシェルジュ

赤ピーマンとは

赤ピーマンの特徴

Photo by 稲吉永恵

ピーマンは、ナス科トウガラシ属の果菜。トウガラシを品種改良して辛味をなくし、果実を大きくしたものです。ピーマンがアメリカから日本へ入ってきたのは、明治時代になってから。栄養価の高さが注目され、食の洋風化と共に徐々に食卓にのぼるようになりました。

近年、赤ピーマンを店頭で見かけることも増えていますが、赤ピーマンと緑ピーマンはどう違うのか、知らない方も多いのではないでしょうか。実は、赤ピーマンと緑ピーマンは、まったく同じもの緑ピーマンは未熟果で、赤ピーマンは緑ピーマンを完熟させたものなのです。

緑ピーマンは開花後、15~20日ほどして収穫したもの。それに対して、赤ピーマンは開花後、50~60日ほどして収穫したものです。緑から赤になるまで約7週間ほどかかります。赤ピーマンは収穫まで時間がかかり、日持ちもしないため市場に出回る数は少ないです。

赤ピーマンの味わいは、青臭いピーマン臭がなく甘味が強いのが特徴。ピーマン嫌いなお子さんもチャレンジしやすいですよ。

赤ピーマン、緑ピーマン、パプリカの違い

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パプリカもピーマンと同じく、ナス科トウガラシ属の果菜です。パプリカは、ピーマンに比べて肉厚でジューシーな食感で、甘くみずみずしい味わい。色は赤、黄、オレンジのほか、白、黒、緑、紫などがあります。緑や白、紫は未熟果で、完熟すると赤、黄、オレンジになりますよ。

パプリカが日本で流通するようになったのは、1990年代から。1993年に初めてオランダから輸入され、今ではニュージーランドや韓国からの輸入だけでなく、国内でも栽培されています。赤ピーマン、緑ピーマン、パプリカの特徴や味わいの違いは、以下の通りです。

・赤ピーマン:果肉が薄い。緑ピーマンより甘く糖度が高い。シャキシャキ感はない。
・緑ピーマン:果肉が薄い。独特の青臭さや苦味がある。シャキシャキした歯応え。
・パプリカ:大型で肉厚。糖度が高い。やわらかくてジューシー。

赤ピーマンの選び方

Photo by 稲吉永恵

おいしい赤ピーマンは、皮に輝くようなツヤがあり色鮮やか。ヘタ周辺の上部が盛り上がっており、ふっくらとした形のものを選びましょう。ヘタがピンッとしていて、切り口が緑色でみずみずしいものがおすすめ。へこみや変形は味に関係がないので、問題ありません。

切り口が黒いものや、乾燥して皮にシワがあるものは、収穫されてから時間が経って鮮度が落ちています。斑点や傷があるものも避けてくださいね。

赤ピーマンの保存方法

冷蔵保存

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赤ピーマンは完熟しているので、緑ピーマンよりも傷みやすいです。長持ちさせたい場合は、丁寧に保存しましょう。傷みの原因となる水気をキッチンペーパーでしっかり拭きとってから、ポリ袋に入れます。冷蔵庫の野菜室で保存し、なるべく早めに使ってくださいね。

赤ピーマンの冷蔵保存期間は5日ほど果肉部分がやわらかくなっているものは、2〜3日で使い切るのがおすすめですよ。

【保存方法】
1. 赤ピーマンの水気を、キッチンペーパーでしっかり拭き取る(写真1)
2. 赤ピーマン同士が重ならないように、キッチンペーパーで2個ずつ包む(写真2、3)
3. ポリ袋へ入れて、冷蔵庫の野菜室で保存する(写真4)

冷凍保存

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赤ピーマンを長期保存したいなら、冷凍しましょう。1ヶ月程度冷凍保存できます。冷凍保存する場合は、生のままでも軽く塩ゆでしてからでも可能。生でも塩ゆでする場合も、ヘタ、わた、種を取り除き、使いやすいようにカットします。おいしく保存するコツは、傷む原因になる水気をしっかりと拭き取ることです。

使い道は、スープや炒め物、煮物など火を通す料理が向いています。赤ピーマンは日持ちしないので、冷凍保存もうまく利用してくださいね。

【保存方法】
1. 細切りや乱切りなどお好みの大きさに切る(写真1)
2. 20〜30秒ほど硬めに塩ゆでしたら、ザルにあげて冷ます(写真2)
3. 水気をキッチンペーパーで拭き取り、ラップで小分けにする(写真3)
4. 冷凍用保存袋に入れて、冷凍庫で保存する(写真4)

赤ピーマンの栄養素

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緑・黄ピーマンと比べると、赤ピーマンにはビタミンCやβ-カロテンが多く含まれています。100gあたりの栄養価を比較してみましょう。

・ビタミンC
赤ピーマン……170mg
緑ピーマン……76mg
黄ピーマン……150mg

・β-カロテン
赤ピーマン……1,100μg
緑ピーマン……400μg
黄ピーマン……200μg

赤ピーマンに含まれるビタミンCやβ-カロテンの量は、緑ピーマンの2倍以上です。緑ピーマンの代わりに使うことで、栄養価がアップしますよ。

ビタミンCはコラーゲン生成に関わり、皮膚の健康を保つ作用があります。加熱により壊れやすい栄養素ですが、果肉が厚い赤ピーマンに含まれるビタミンCは、熱に強いですよ。

また、β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、目の健康維持に役立ちます。油とともに摂取すると吸収率が高まるので、赤ピーマンは炒め物にするのがおすすめです。(※1,2,3,4)

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