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肉もフライパンも冷たいまま!?
この記事は、三越伊勢丹が運営する、らしさに出会える、食メディア「FOODIE」の提供でお送りします。
「肉を常温に戻す」「フライパンに入れたら強火で○秒」など、上手に焼くにはさまざまな「コツ」が必要とされているステーキ。でも、細かい決まりを気にすると調理中に慌ててしまいがち。結果、せっかくいいお肉を奮発しても、残念なステーキに仕上がってしまうことが……。
「目の前の素材と向き合おうとせず、常識にとらわれて『ステーキとはこういうものだ』という思い込みで作ろうとするから失敗してしまうんです」
そう語るのは、伊勢丹新宿店I’S MEAT SELECTIONの岩田晴美シェフ。肉のプロである岩田シェフ自身、少しでも美味しいステーキにアップデートできるよう、日々試行錯誤し続けているのだとか。
そんなシェフがたどり着いた、慌てることなく美味しく仕上がるステーキの焼き方の新常識を教えてもらいました。
【新常識1】肉は常温に戻さない。あらかじめ塩・コショウしない
一般的には肉を冷蔵庫から出し、常温に戻してから焼きはじめる……とされていますが、今回ご紹介する焼き方では冷蔵庫から出してそのまま焼いてしまっても問題ないと岩田シェフ。
「今回は熱したフライパンで一気に焼き上げるわけではないので、中が冷たくても熱を通すうちにきれいなピンク色に仕上がります。冷蔵庫から出したらそのまま焼いてしまってOKです」
また、あらかじめ肉に塩・コショウをふるのは常識と思っていましたが……。
「塩を最初にふりかけると浸透圧で肉汁が出てしまいます。食べた時に舌に塩気を感じるための味付け、ということを考えても塩は最後にふるのが合理的ですよね。また素材がよければ、臭みを消すための香辛料は不要です」
【新常識2】冷たいフライパンにマリネした肉を投入
ステーキを焼く際の油は牛脂が推奨されることが多いですが、今回はオリーブオイルを使います。しかもフライパンに入れる前に肉全体をマリネしてしまうというのだから驚きです。
「オリーブオイルは肉の中に浸透せず、表面をコーティングしたままとどまる油。肉にまんべんなくまぶして焼くことで、ふっくらとした仕上がりになるんです」
そして、その肉をなんと冷たいままのフライパンへ!
「冷たいままの状態からじっくり火を入れていくので、慌てる必要がありません。すべてセッティングしてから火をつける工程に入るので、落ち着いて焼くことができますよね」
【新常識3】音と色を確認しながら焼く
フライパンに肉を入れたら、強火で焼きはじめます。焦らず、ジュワジュワと焼ける音を聞きながら、フライパンの底面の色の変化を見逃さないよう目を凝らしましょう。
「何℃で何分、ではなく、美味しそうな焼き色に仕上げるのがゴールです。フライパンから肉を離さず、トングなどで押して回転させながら油を肉の下までゆきわたらせます。
途中、余計な油をキッチンペーパーで吸い取るのも忘れずに。フライパンの表面に満点の星のようにぽつぽつとキツネ色のメーラード反応が現れたら、肉の焼き面も同じ色になっているという目安。
ここで肉を返しましょう。片面だけ焼き色をしっかり付けたら、裏面は軽く焼き色を付ける程度でできあがりです」
【新常識4】味付けは、まずは塩のみで
焼いた肉をいったん寝かせるという過程も、「付け合わせなど食卓まわりを準備していると自然と時間が経ってしまうため」不要だそう。そしていよいよ食卓へ。味付けは、まずはシンプルな塩のみで楽しんでみてください。
「質のいい和牛肉は、濃厚なソースよりも、シンプルに塩のみで肉そのものの味わいを楽しんでほしいです。塩は、ミネラル分が多いものがおすすめ。食べる直前に表面にふりかけ、塩の粒子が残っているうちに召しあがってください」
味に変化をつけたくなったら、とろける脂と相性抜群のわさび醤油もおすすめです。
常識にとらわれず、素材と向き合うこと
見てください、このピンクに輝く肉の焼き色。フライパンに入れて何秒、ひっくり返して何秒……と、数字に追われずとも目の前の肉の状態と対峙するだけで、こんなに美味しそうなステーキに仕上がるんです。
「レストランとご家庭での違いはもちろん、ご家庭ごとにも調理環境はまったく異なりますよね。ですので、何℃で何分という数字を気にするのは無意味なんです。音と色、匂いなど五感を使って美味しそうに仕上げることを目指してください」
ステーキのコツは、ずばり肉そのものの状態をしっかり観察すること。プロのシェフがたどり着いた究極にシンプルなステーキの焼き方を、ぜひ真似してみてください。
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