ライター : 伊藤 千亜紀

フードアナリスト

タイ料理に欠かせない「ナンプラー」

女性だけではなく老若男女に人気のエスニック料理。ちょっぴりスパイシーな味の料理は、インドネシア、タイなどの東南アジア、インド、中近東といった地域に多く料理です。 ナンプラーは、スパイシーなタイ料理に欠かすことのできない調味料。名前は知っているし食べたことはあるけれど、実際どんな味?と聞かれるとちょっと説明しにくい味だったりします。 今回は、この独特な香りと風味を持つナンプラーのルーツや、ナンプラーを使ったレシピなどをご紹介。

ナンプラーとは

ひとことで言うと、ナンプラーとは日本でもお馴染みの「魚醤」の一種なのです。魚醤は東アジアを中心に世界中で古くから使われている調味料で、生の魚を塩で漬け込み発酵させてできる液体をさします。魚の持つ旨味成分が凝縮されていて、料理に適度な塩辛さと深いコクを加えてくれます。

魚を発酵させたものなのでうま味が凝縮されていて、香りも濃厚。この独特な香りが苦手という方も少なくありませんが、ほかの調味料では味わうことのできない深い旨味は、一度味わうとやみつきになるとも言われています。

ナンプラーはタイの魚醤で屋台や大衆食堂にホテルのレストランまで、さまざまな外食店で常備されている調味料です。ちなみにタイ語でnamは「液体」、plaは「魚」なのだとか。

ヌクマムとは違う?

同じ魚醤の仲間でよく知られる「ヌクマム」、ニョクマムなんて呼ばれ方もしている調味料なのですが、こちらは主にベトナムで使われている魚醤です。 ナンプラーとヌクマムは作り方も非常に似ていて、カタクチイワシなどの小魚を多量の塩で漬け込み発酵させてできる液体のことをさします。ヌクマムはナンプラーより発酵度合いが低く、濃い褐色で魚の香りも強いとされています。この辺りはそれぞれの国の好みが反映されているようですね。

しょっつるとも違う?

タイの魚醤はナンプラー、ベトナムではヌクマム。日本の魚醤といえば秋田県ではお馴染みの「しょっつる」ですよね。

こちらも基本的な作り方はそのほかの魚醤と同じです。秋田地方では漁獲量が多く、ほかの魚と比較して臭みが少ないハタハタを主な原材料として作られる魚醤です。現在ではハタハタのほかに、アジやイワシやサバが使われることも多いのだとか。

ナンプラーの味

今までナンプラーなどの魚醤を一度も味わったことがない!という方も少なからずいらっしゃるかと思います。香りや風味が独特と言われるとちょっと尻込みしてしまうものですよね。

ナンプラーはどんな味かと説明するのはなかなかむずかしいのですが、できるだけわかりやすく説明してみようと思います!

ナンプラーも広い意味では醤油の仲間なので、まずは醤油のような塩味と風味を想像してみてください。そこに発酵した魚の風味や旨味をプラスしていきます。イメージはアンチョビやイカの塩辛のような旨味を想像すると良いでしょう。実際に醤油にアンチョビやイカの塩辛を少し混ぜてみても近い風味を体験できます。

ナンプラーを使用した代表的な料理

ナンプラーを使った料理にはどういったものがあるのでしょうか?

代表的なところを紹介すると、タイ風やきそばで知られる「パッタイ」、インドネシア風やきそばだと「ミーゴレン」もメジャーなメニューです。同じ麺でもベトナムの「フォー」どは日本でもよく知られているのではないでしょうか?

そのほかにも、タイでは青パパイヤを使ったサラダ「ソムタム」もよく知られている料理ですね。そしてエスニック料理の代表格「トムヤムクン」にもナンプラーが使われていることが多いのです。

編集部のおすすめ