ライター : 稲吉永恵

野菜ソムリエ / ローフードマイスター / オーガニックコンシェルジュ

いちじくの旬は夏・秋の2回

Photo by 稲吉永恵

春から秋にかけて、果実の中に白い花をつけて肥大するいちじく。プチプチとしたいちじく特有の食感は、花の部分なのです。

いちじくの品種はとても多く、旬の時期は品種によってさまざま。6〜11月まで味わうことができます。いちじくには、冬を越して成長し翌夏に熟す「夏果」と、春に実をつけて秋に熟す「秋果」があるため、旬が年に2回あるとされています。

そのほかに初夏と秋、両方で実を付ける品種もあるんですよ。わたしたちが普段食べているものは、「夏果」「秋果」どちらなのか、それぞれの旬や品種、特徴について見ていきましょう。

夏のいちじく

夏のいちじくの旬は、6月下旬~8月上旬。晩秋に幼花を付けて、翌夏に実り熟します。夏のいちじくは、果実が大きな品種が多く、さっぱりとした甘味が特徴。冬を越してじっくり時間をかけて育つため、味わいは格別ですよ。ただ、収穫期に雨や台風が多いため、流通量が少ないです。

主な品種は、「ザ・キング」や「ビオレ・ドーフィン」、「コナドリア」など。「ザ・キング」や「ビオレ・ドーフィン」は、果実が大きな品種で、さっぱりとした甘さで果肉がやわらかくなめらかです。「コナドリア」は、やや小ぶりの黄緑色で、ねっとりとした食感。熟しても口が閉じたままなのが特徴です。

秋のいちじく

秋のいちじくは、8月下旬~10月中旬ごろに旬を迎えます。春から伸びる新梢に実を付けて、枝の下部から順番に熟していきます。秋のいちじくは、夏果に比べると小ぶりの品種が多く、濃厚な甘味が特徴です。

主な品種は、「蓬莱柿(ほうらいし)」、「ゼブラスイート」、「セレスト」、「ビオレ・ソリエス」など。早生日本種とも呼ばれる「蓬莱柿」はしっとりした上品な甘さで、ほのかな酸味も感じられます。先が裂けやすく、あまり日持ちがしません。

「ビオレ・ソリエス」は、濃い紫色の果実で、糖度が20度以上と甘味が強いです。「ゼブラスイート」は、別名タイガーとも呼ばれ、果実に縞模様が入っているのが特徴。甘味も強く香りもよいいちじくです。

夏秋どちらも収穫できるいちじくも

そのほかに、夏秋どちらも収穫できる品種もあります。日本で一番流通している「桝井ドーフィン」はそのひとつ。「バナーネ」や「ドウロウ」、「カドタ」なども夏秋兼用品種です。

フランスが原産地の「バナーネ」は、バナナのように甘くねっとりとした食感が特徴。夏果は熟しても全体的に淡い緑色で、秋果はうっすらと茶色に色付きます。小ぶりで皮が薄い「ドウロウ」は、甘味が強くすっきりとした後味が魅力。「カドタ」は、かわいいひと口サイズで、蜜が多く甘味がありますよ。

食べごろないちじくの見分け方

見た目の違い

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いちじくは、ふっくらと大きく、皮に張りと弾力があり、傷のないものを選びましょう。品種にもよりますが、全体的に色付いて赤みがあるものがおすすめ。

いちじくは、おしりの先の部分が開いてきたら食べごろです。果実の中の紅い花が見えるくらいが完熟しているタイミングですよ。日持ちはしないので、早めに食べましょう。一方、裂け目が大きくなり、割れているのは熟しすぎです。実がやわらかく、崩れそうな見た目をしています。

香りの違い

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いちじくは熟すと甘い香りが漂います。香りのよいものが食べごろですよ。香りが濃厚でも、果肉がやわら過ぎるのは、熟し過ぎの可能性もあります。表面がぶよぶよとやわらかくなっているものは、避けたほうがいいでしょう。

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