キーウィは共食いをする!?

こちらのショッキングな写真をごらんください!なんと、キーウィがキウイを食べています……。大きく「CANNIBALISM」(カニバリズム。「共食い」の意味)と書かれていますね。「共食いだー!」と、ネット上で話題になった画像なのです。それにしてもキーウィのひながかわいすぎる! キーウィは普段、長いくちばしで地中にいるミミズや昆虫の幼虫、果実などを探して食べています。ニュージーランドで穫れるジューシーな果実「キウイ」もまた、キーウィの好物のようですね。

森の王様の使いである

どこかマヌケな雰囲気でかわいらしいキーウィですが、ニュージーランドの「マオリ族」の間では、キーウィに関する立派な伝説が残っているんですよ。

ある日、森の王が森の中を歩いていると、木々がとても病んでいることに気がつきました。地面で暮らす虫たちによって食べられていたのです。森の王は、空の王である実の兄に「このままでは森が死んでしまう」と相談をしました。

これを聞いた空の王は、空に住む鳥たちを一堂に集めました。そして、「地上で虫を食べて森林を守ってくる鳥はいないか?」と問いかけたのです。 しかし、どの鳥も口を開くことはありませんでした。そこで、空の王はキーウィに頼んでみました。すると、キーウィは空の王の願いをきいて答えました。「参ります」と。

森の王と空の王はたいそうよろこびました。しかし、キーウィが地上で生きていくには翼を捨て、強い脚を持たなければいけません。元々、キーウィは美しい羽毛、翼を持っていたのです。ふたりの王は、地上へ降りる覚悟があるか、改めてキーウィに確認しました。するとキーウィは「参ります」と答えました。

これに対し空の王は「大いなる犠牲によって、森でもっとも愛される鳥となるだろう」と賛辞を送りました。
こうして、キーウィは現在の素朴な見た目になり、願いに応えなかった鳥も「キーウィを見習うように」と綺麗な羽を奪われてしまったのでした。

美しい森を守るために自らを犠牲にする、キーウィ、男らしさすら感じられますね。王たちの要請を断ったばっかりに美しい翼を奪われ、キーウィほどの人気者にはなれなかったほかの鳥たちが少々不憫ではあります……。ニュージーランドにはキーウィのほかにも「プケコ」「タカへ」などの飛べない鳥がいるのです。

ニュージーランドのシンボル!

マオリ族の伝説が残っていることからも、キーウィがニュージーランドの人々からたいへん愛されていることがわかります。コロンとした丸いフォルムに、鳥なのに飛べないというギャップ。そんな個性的な愛らしい鳥は、ニュージーランドのシンボルでもあります。 現地の人々は、自分のニックネームを「キーウィ」と名乗ったり、しばしば「私はキーウィ」だと言います。これは、個性的な鳥「キーウィ」に親しみを込めて、自分自身のことも表しているんですよ。

「キーウィな夫」って?

「キーウィ」の卵はとても大きいとご紹介しました。自分の体重の1/5もの重さの卵……。とても1羽では温めることができません。基本的にキーウィはオスが卵を抱いて温めますが、つがいで寄り添って一緒に卵を温めることも多いんですよ。 キーウィは、巣づくりや子育てまでオスがすることが多いので、家事に積極的な男性のことを、ニュージーランドでは「キーウィ・ハズバンド」と呼びます。キーウィのような夫、ぜひ見習いたいですね。

絶滅の危機に瀕している……

温厚でキュートな鳥、キーウィ。ニュージーランド中で愛されている、国を象徴する鳥ですが、なんと絶滅の危機に瀕しているのです。 キーウィに空を飛べる羽がないのは、ニュージーランドが天敵のいない環境だったためです。しかし、ネコやネズミが移入し、キーウィの雛が食べられるようになってしまったことや、人間がキーウィを食用に捕まえるようになってしまったことにより、激減してしまったのです。マオリ人がキーウィを見つけたときは1000万羽ほどいたとされていますが、現在では3万羽ほどだと言われています。

日本では「天王寺動物園」で見られる!

とってもデリケートなキーウィは、ニュージーランド以外ではなかなか見ることができません……。ガッカリしたキーウィ好きに朗報!日本国内でも、キーウィに会える場所があるんですよ。 大阪市のJR天王寺駅から歩いて10分ほどの「天王寺動物園」で、キーウィに会うことができます!日本で唯一キーウィを飼育している動物園です。普段は夜行性動物舎にいますが、園のホームページでは、明るい場所で元気に遊ぶキーウィの姿も楽しめますよ。ぜひチェックしてみてくださいね。
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