ライター : 渡辺 りほ

管理栄養士

レバーの食べ過ぎは危険?

レバーといえば、鉄を多く含む食材として知られています。日本人女性の貧血の原因は、鉄欠乏がもっとも多く認められています。そのため、鉄は貧血対策に欠かせません。

レバーに含まれる鉄は、吸収率が高い「ヘム鉄」です。含有量が多いため、効率よく鉄を摂取できます。(※1)

栄養たっぷり

レバーは高たんぱくで低脂質なうえ、ミネラルやビタミンが豊富に含まれています。たとえば、豚レバー100gあたりのカロリーは128kcal、ビタミンA含有量は13,000μg、鉄含有量は13.0mgです。

一日あたりの摂取推奨量と比較してみましょう。ビタミンAは18歳〜29歳男性で850μg、同年齢の女性で650μg、30歳〜49歳男性で900μg、同年齢の女性で700μg。鉄は18歳〜49歳男性で7.5mg、同年齢の女性で月経がある場合は10.5mgです。豚レバー100gを摂ると鉄とビタミンAの摂取推奨量を超えるため、栄養価が高い食べ物だということがわかりますね。

ほかにもビタミンB2やビタミンB12、葉酸、ビオチン、銅などが豊富です。ビタミンB2は皮膚の健康維持を助ける作用があり、女性にとってうれしい栄養素です。(※2,3,4,5)

でも食べ過ぎには注意!

独特の食感と味で苦手だという人もいますが、焼き鳥屋やビストロではレバーを使ったメニューは根強い人気を誇っています。お酒の席や、家でも好んで頻繁にレバーを口にしている人も多いのではないでしょうか。

しかし栄養価の高さゆえに、レバーを食べ過ぎることは、かえって健康に悪影響を与えることになってしまうかもしれません。とくにレバーにはビタミンAが非常に多く含まれているため、ビタミンAの過剰摂取による健康被害を引き起こすおそれがあります。(※3)

レバーの食べ過ぎはなぜ体に悪いの?

体に悪い理由

  1. ビタミンAの含有量がすごい!
  2. 食べ過ぎると不調の原因に

ビタミンAの含有量がすごい!

ビタミンA量
鶏レバー14,000μg
豚レバー13,000μg
牛レバー1,100μg
レバーにはビタミンAが豊富に含まれています。100gあたりの含有量を見てみましょう。

ビタミンAはレチノール・レチナール・レチノイン酸という3つの成分に分類されます。ビタミンAは目や皮膚の健康維持に関わり、暗い場所での視力の維持に必要です。また、体内でビタミンAに変わる「β-カロテン」には抗酸化作用があります。ビタミンAが不足すると暗いところで目が見えにくくなるほか、皮膚・粘膜の乾燥や角質化、免疫機能の低下をもたらします。

ビタミンAの一日の推奨摂取量は成人男性で850~900μg、成人女性で650~700μgなので、レバーがいかに多くのビタミンAを含んでいるのか分かりますね。また、一日あたりの耐容上限量は成人男女ともに2700μgです。(※2,3,6)

食べ過ぎると不調の原因に

目や皮膚の健康維持に関わるビタミンAは、小腸から吸収されたのち、肝臓で貯蔵されます。レバーを食べ過ぎてビタミンAを過剰に摂取すると、ビタミンAの過剰症になるおそれが。頭痛や脱毛、筋肉痛などさまざまな体調不調が現れます。レバーの食べ過ぎが体に悪いと言われるのには、このような理由があるのです。(※3,6)
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