ライター : shucyan

フードアナリスト / 江戸ソバリエ / ソルトマイスター

塩の味はどれも同じと思っていませんか

島国の日本では、昔から塩作りが盛んに行われてきました。わたしたち日本人の感覚としてはお塩は海水からつくるものという意識が定着しているようですが、実はこれは世界的にはマイナーなことなんです。世界の塩の生産量の実に約3分の2が岩塩から作られています。

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海水から作られる海塩・地中から掘り出される岩塩の違いだけでなく、製法や産地の違いで現在はさまざまなお塩が流通されています。その成分や味わい、お料理との相性なども千差万別です。

ソルトマイスターの資格とは?

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文字通り「塩」に関する専門家がソルトマイスターです。日常の生活に身近な食用塩を通じ、健康で豊かな食生活向上のために「塩」についての正しい知識を広く教授することを目的としています。
ソルトマイスターの資格は3種類。一般の方に広く塩についての知識をつけていただくきっかけとして開設されているのが「ソルトベーシッククラス」。「塩」について情報発信、研究開発、講演などを目的とした専門家レベルが「ソルトマイスター」。さらに塩の生産者やロの料理人の方、塩に関する研究家を対象に協会からのインビテーション(招待状)に基づく「プロフェッショナルソルトマイスター」があります。

一般社団法人日本ソルトマイスター協会では食用塩を通じ、「健康で豊かな食生活向上」のために、「塩」についての正しい知識と、それを広く教授する「ソルトマイスター」の育成に全力をあげています。

おいしい塩を食べて健康になろう!

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塩は高血圧の原因?

最近は減塩ブームですが、一方で塩分は人間の身体になくてはならない重要な成分です。熱中症対策としても適度な塩分摂取が必要なことは広く知られています。身体に代謝に必要なミネラル分は鉱物質なので、体内で作ることができません。だから食品から摂らなくてはなりません。

以前は「塩は高血圧の原因」と言われてきました。しかし近年では、塩の摂取と血圧の上昇はかならずしも結びついていないことが明らかになりました。専門的には「食塩感受性」「非感受性」という言葉で表現されます。塩の摂取量によって血圧の上下動が見られる人が「食塩感受性」ですが、全体の4割ほどに留まっています。厚生労働省は、1日あたりの塩分摂取量の目標値を男性:8g未満、女性:7g未満としています。
塩分の摂取量だけでなく、排出量にも注目しましょう。塩分を排出する働きがあるカリウムを含む果物や野菜・豆類(アボカド・納豆・ほうれん草など)をたっぷり摂り、水分もしっかり摂るなどのことを心がけてください。

塩分不足は、肌荒れや無気力の原因に

食塩に含まれるナトリウムイオンには細胞を活発にする働きがあり、このナトリウムイオンが不足すると低ナトリウム血症になり、新陳代謝が弱まってしいます。結果として肌あれを起こしやすくなったり、朝の目覚めが悪い、集中力が低下してボ~っとするなどの症状が出やすくなります。夏場に多い熱中症対策にも適度な塩分が必要なことは言うまでもありません。

良い塩の選び方、ここがポイント!

「塩専売法」の廃止によって海水から直接塩を造れるようになりました。さらに原料塩の産地も選択できるようになりました。結果的に現在はさまざまな産地・製法のお塩が流通しています。たくさんありすぎて、どれを選んでよいか迷ってしまいますね。

お塩は大きく分けて以下のように分類されます。
・天然塩……天日塩、平釜塩、岩塩、湖塩に分類されます。
・再生塩……海外から輸入した天然塩を洗ったあとに、ニガリなどを添加した物。
・精製塩……精製されて99%が塩化ナトリウムになってしまった塩。

天然のミネラル分などを取り除いた精製塩は「化学物質」といっても過言ではありません。海水本来に含まれているミネラル分やニガリをバランスよく含んだものがよいでしょう。化学加工していない自然海塩で、天日干しで、できるだけ加熱していない天然塩がもっとも体に良いお塩であると考えられます。形状や粗さなどはお料理に合わせて選んでくださいね。

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