ライター : ☆ゴン

赤西貝(あかにしがい)は2種類ある

上の画像は、石川県七尾湾で獲れる赤西貝の刺身で、真っ赤な身色が特徴です。現地ではその色からアカニシと呼びますが、じつはイトマキボラ科ナガニシ属に分類され、標準和名は「コナガニシ」。1kgあたり1万円を超えることもある、名産の高級食材として知られています。

一方で、「アカニシ」の標準和名を持つ赤西貝は、アッキガイ科チリメンボラ属に分類。北海道南部から本州、九州沿岸に広く分布し、産地ではニシまたはニシ貝、福岡ではケップやコーゲと呼ばれる貝です。この記事では、標準和名がアカニシの赤西貝について解説します。

赤西貝の特徴と味わい

上下に長く伸びたような七尾湾産アカニシに対して、一般的な赤西貝は画像のように、こぶし型の巻き貝であることが大きな違い。貝殻の中が赤いのが名前の由来ですが、身の色は赤色ではなく、外側が黒ずんだ乳白色でさざえによく似ています。

身はさざえよりもやわらかく、シコシコした食感が持ち味。ほどよい磯の香りと風味、貝独特の旨味と甘味があり、どんな調理法でもおいしい貝として好評です。

赤西貝の旬とおもな産地

赤西貝は5月に産卵期を迎えることから、3月から5月はじめにかけてが、もっともおいしい旬の時期。すでに紹介したように、北海道南部から日本全国の沿岸や内湾に生息する、わりとポピュラーな貝です。活けの貝がスーパーに並ぶことは少なく、大半が産地で消費されます。

愛知県の三河湾、熊本や福岡県などに面する有明海、瀬戸内海がおもな漁獲地。また、かつて黒海に移植された経緯があり、それが繁殖していまでは、ブルガリアやトルコなどで大量に獲れるようです。現在はそれらを加工・冷凍したものが、安価で日本に輸出されています。

さざえに匹敵!? 安くて旨い赤西貝

赤西貝の身はさざえによく似ていて、味もさざえに匹敵するほどおいしいという意見があります。具体的な違いを挙げると、さざえの硬くてコリコリした食感に対して、赤西貝はやわらかめでシコシコした食感。磯の風味はさざえに劣るものの、旨味や甘味はそん色ないという人が多いようです。

赤西貝のさばき方

赤西貝を生のまま刺身で食べる場合、生きている新鮮な活け貝であるのは、どんな貝でも同じことです。赤西貝は吸着力がたいへん強いので、フタ口から身を取り出すのは至難の業。つぶ貝のように殻に穴を開けて、身と殻の間に空気を入れてもむずかしいです。

一番手っ取り早いのが、かなづちで殻をたたき割る方法。赤西貝の殻はかなり硬いですが、もっとも効率の良い方法といえます。必ず軍手をはめて、手と中の身を傷つけないよう注意。身とヒダ以外、わた(内臓)は苦くておいしくないため、切り捨てるほうが無難です。

赤西貝は多くのつぶ貝と同じく、身の中に唾液腺と呼ばれる脂肪のようなものがあります。この中に毒性のあるテトラミンが含まれていて、食中毒を起こす原因に。身に切り込みを縦に入れ、手で開くとクリーム色の唾液腺が見えます。それを必ず取り除いてください。(※1)

赤西貝のおいしい食べ方

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