ライター : 川島 尚子

管理栄養士 / パティシエ

空心菜は危険?食べても大丈夫?

空心菜を危険とする情報は極端に食べ過ぎた場合や、海外で食べる場合などがもととなっています。そのため「危険」という表現は少し強すぎる内容が多いようです。

空心菜は中国野菜のひとつで、沖縄では古くから栽培されてきました。茎の中央が空洞になっているのが特徴で、名前の由来にもなっています。食物繊維やカリウム、β-カロテンなどを含み、栄養素を摂取するうえでもおすすめの野菜です。(※1,2)

空心菜が危険と言われるようになった理由

空心菜が危険と言われる原因

  1. 食物繊維を摂り過ぎるため
  2. 海外のものは汚染されているリスクがあるため
  3. シュウ酸が多いと誤解されたため
  4. 体を冷やすため

食物繊維を摂り過ぎるため

空心菜は食物繊維を豊富に含みます。日本人は食物繊維が不足しがちで、積極的な摂取が必要とされており、一般的に食事からの摂取で摂り過ぎにはなりにくい栄養素です。しかし、人によっては食物繊維を摂り過ぎた場合にガスが発生しやすくなる、便秘が悪化するといった症状が起こることもあります。

特に空心菜は加熱する料理も多くあります。加熱によってかさが減ると多くの量を食べやすくなるため、食べ過ぎると危険だと言われてしまったのかもしれません。(※2,3,4)

海外のものは汚染されているリスクがあるため

ベトナムの情報局によると、ベトナムの空心菜のなかには鉛や農薬で汚染されたものもあるようです。鉛で汚染されているものは茎が大きく葉がかたいのが特徴で、洗った際に泡立ったり、沈殿物が出たりすると注意喚起されています。

このような海外の汚染されている情報がもとになり、空心菜が危険と言われてしまったのかもしれません。(※5)

シュウ酸が多いと誤解されたため

シュウ酸は、ほうれん草をはじめとした一部の野菜に多く含まれるアクの成分の一種です。摂り過ぎるとカルシウムの吸収をさまたげるほか、結石を作るおそれがあることから、注意が必要な成分とされています。

しかし空心菜はシュウ酸が多い食品の一覧のなかには含まれず、食品成分表にも収載されていません。具体的なシュウ酸量を示した明確な情報がないことから、シュウ酸が多くて危険とは言いきれず、厳しく制限する必要はないと言えるでしょう。(※2,6,7)

体を冷やすため

漢方薬に含まれる生薬には、体を温めるものや冷やすものがありますが、食材にも生薬ほど強くはないものの、体を温めたり冷やしたりする作用をもつものがあります。空心菜は「寒性」と呼ばれる体を冷やす分類の野菜です。

この性質から、空心菜を食べることで体が冷え、危険と言われるようになった可能性があります。(※8)
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