ライター : 川島 尚子

管理栄養士 / パティシエ

雑穀米は危険って本当?

雑穀米は健康に良いと言われる一方で、含まれている成分のなかに人の体にとって危険なものがあるという情報も見かけます。しかし、いずれも情報が古かったり根拠としては弱いものも多くあったりするため、はっきり「雑穀米が危険」と断言できるほどではないようです。

ただし、食べ方や食べる量によっては健康を損なうおそれもあるため、それぞれの情報をしっかり確認して適量を食べるようにしましょう。

雑穀米が危険と言われてしまう原因とは?

雑穀米が危険と言われる理由

  1. アブシシン酸が含まれるから
  2. フィチン酸が含まれるから
  3. 食物繊維を摂り過ぎる場合があるから

アブシシン酸が含まれるから

穀米が危険だと言われる理由としてアブシシン酸の影響をあげている場合があるようです。アブシシン酸は植物ホルモンの一種で、植物体内に分布しているほか農薬としても使われます。このアブシシン酸がミトコンドリアを傷つけるという説があったようで、そこから雑穀米が危険と言われてしまったのかもしれません。

しかし、アブシシン酸は雑穀米に限らず、さまざまな食品にも含まれ、既に人や動物が広く摂取している成分です。農薬としての安全性の試験でも健康を損なうおそれはないという結果が出ています。(※1,2)

フィチン酸が含まれるから

フィチン酸は穀類や豆類の外皮に多く含まれる成分です。食材だけでなく、人や動物の細胞にも含まれ、細胞機能の制御に関わっています。その一方でミネラルと強く結合しやすい性質を持ち、ミネラルの吸収を阻害するおそれがあると言われたことから、雑穀米が危険と考えられたようです。

しかし、フィチン酸には強い抗酸化作用をはじめとした体にいいはたらきもあることがわかっています。フィチン酸が含まれるからと言って雑穀米を危険として避けるのではなく、食べ過ぎに注意しつつ、ミネラルが不足しないようにして摂り入れるとよいでしょう。(※3,4)

食物繊維を摂り過ぎる場合があるから

雑穀米に使われるあわやひえ、大麦などをはじめとした穀類は食物繊維が豊富な食材です。胃腸の状態によっては、食物繊維が豊富な雑穀米を摂り過ぎると不調が起こる場合があるため、雑穀米が危険と言われたのかもしれません。

日本人は基本的には食物繊維の摂取量が不足気味だと言われていて、食事からの摂取で食物繊維は摂り過ぎになることはほとんどありません。しかし胃腸の調子も考慮しつつ、一度に極端に食べ過ぎないようには注意しましょう。(※5,6,7)

雑穀米を危険なく食べるには

適切な方法で調理する

雑穀米を家庭で炊く場合、それぞれの雑穀を自分で混ぜなくても、今は手軽に使える雑穀ミックスも販売されています。

浸水が必要なくそのまま炊飯できるものもありますが、浸水が必要なものや水を追加する必要があるものなど、商品によって炊き方はさまざまです。しっかり雑穀を加熱できるように商品に合わせて調整しましょう。(※8)
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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