ライター : 川島 尚子

管理栄養士 / パティシエ

昔から知られる黒豆の効果

黒豆は正式には黒大豆と言われる大豆の品種のひとつです。古くから体に良いことが知られ、平安時代から栽培されていたと考えられています。咳や喉の痛みに黒豆の煮汁を飲む民間療法があるほか、漢方としては数千年前より生薬としてさまざまな症状に利用されていたようです。

おせちに黒豆を食べられる理由は「黒」が邪気を払い災いを避ける、健康を意味することから、マメに達者でしわがよるほど長生きができるようにという祈りが込められていると言われています。(※1)

黒豆に含まれる栄養素の効果

黒豆の栄養素とはたらき

  1. 腸内環境を整える「食物繊維」
  2. 酵素のはたらきを助ける「マグネシウム」
  3. 体の構成成分として欠かせない「たんぱく質」
  4. 抗酸化作用をもつ「アントシアニン」
  5. 女性に嬉しい栄養素「イソフラボン」

腸内環境を整える「食物繊維」

黒豆には可食部100gあたり20.6gの食物繊維を含みます。そのほとんどが不溶性食物繊維ですが、水溶性食物繊維も含んでいます。食物繊維は人の消化酵素の作用を受けずに小腸を通過して大腸に届く成分です。

便の体積を増やす材料となる以外にも、大腸内の環境をよくする腸内細菌に利用され、これらの菌を増やすことが知られています。日本人の摂取量は不足傾向にあることから、一日3~4gプラスできるように黒豆も活用するとよいでしょう。(※2,3)

酵素のはたらきを助ける「マグネシウム」

黒豆に含まれるマグネシウムは、リンやカルシウムとともに骨の形成に関わるミネラルの一種です。そのほとんどが骨や歯に含まれ、残りは筋肉・脳・神経に存在しており、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温や血圧の調整などのはたらきももちます。

マグネシウムは黒豆可食部100gあたりに200mg含まれ、それだけで成人女性の一日の推奨量の2/3以上を摂取できます。乾燥した状態の黒豆100gは調理すると多くなるため一度に食べることはないかもしれませんが、適度に摂り入れるとよいでしょう。(※4,5,6)

体の構成成分として欠かせない「たんぱく質」

黒豆は大豆の一種ということもあり、9種の必須アミノ酸がバランスよく含まれており、良質なたんぱく質源です。可食部100gに含まれるたんぱく質量は乾燥状態の黒豆で36.4g、煎ったものでは33.9gも含みます。

煮豆のように副菜として食事に摂り入れる以外にも、間食のスナック代わりに煎った黒豆を摂り入れるとたんぱく質を摂取できておすすめです。(※1,5,7)

抗酸化作用をもつ「アントシアニン」

黒豆に含まれるアントシアニンはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用をもつ成分です。疲れ目の対策になる作用や水晶体を紫外線ダメージから守る作用、視神経が酸化ストレスによって傷つくのを抑える作用など、視覚機能を正常に保つはたらきがあります。

ほかにも体内の酸化を抑えることで、しわやたるみ対策になります。紫外線によって作られるメラニンの生産量を抑えて、肌を白くみせる作用も期待できるため、肌の健康を保ちたいときにも積極的に摂り入れるとよいでしょう。(※1,8)
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