ライター : 相羽 舞

管理栄養士

辛いものを食べるとお腹を壊すのはなぜ?

辛いものをたくさん食べると、胃の粘膜が直接刺激されて傷つきやすくなります。また、唐辛子をはじめとする辛い食べものに含まれる辛味成分の作用によって、腹痛を引き起こす場合も。

辛さの感じ方や感受性には個人差があるため、子どもや辛さに敏感な人は特に注意が必要です。それでは、辛いものによって腹痛が起こる具体的なメカニズムを見ていきましょう。(※1,2,3)

辛いものを食べたあとの腹痛・下痢の原因

腹痛の原因になる辛い食べ物や料理

  1. 唐辛子
  2. 白菜キムチ
  3. タバスコ
  4. カレー
  5. 麻婆豆腐
唐辛子そのものやを唐辛子使う食品・料理の食べ過ぎは、腹痛の原因になるおそれがあります。特に、市販品や外食での「激辛」をうたった商品には注意が必要

ひとりひとりの適度な辛さは個人差があるため、無理は禁物です。喉や胃の調子がよくないときは、辛さに対する感受性が高くなる場合もあるため、体調を考慮して食べましょう。(※1)

原因

  1. 辛味成分が胃の粘膜を傷つける
  2. 辛味成分が胃酸の分泌を促す
  3. 辛味成分が消化管の運動を促す

辛味成分が胃の粘膜を傷つける

辛味成分の「カプサイシン」は、少量であれば唾液の分泌や食欲を増進させ、食事をおいしく引き立たせてくれます。しかし、大量のカプサイシンを摂ると、喉や胃の粘膜を刺激し傷つけるおそれが。粘膜が傷ついて胃が荒れると、胃痛を引き起こすことにつながります。

一方で、低用量のカプサイシンの摂取は胃粘膜を保護する作用があるともいわれています。辛いものは食べ過ぎないことが大切です。(※1,4,5)

辛味成分が胃酸の分泌を促す

食べものを消化する胃酸は強力な酸で、通常、胃酸から胃の壁を守っているのが粘膜です。辛味成分であるカプサイシンの摂取は、胃酸を増やす原因に。

胃酸の分泌が促され、粘膜とのバランスが崩れると胃が荒れてしまい、胃痛につながるおそれがあります。(※1,4,6)

辛味成分が消化管の運動を促す

カプサイシンには、消化管活動を亢進させる作用があります。それにより、腹痛や腹部や焼けるような感覚を引き起こすことも。

また、カプサイシンを感じ取る受容体は消化管全域に存在し、辛みや熱感などを感知するため、痛みとして感じる場合があります。(※3,5)

辛いものを食べたあとの腹痛の対処法

ポイント

  1. 胃に負担をかけない食事をする
  2. 薄めの味つけにする
  3. 十分な睡眠をとる
辛いものを食べて腹痛が起きたら、そのあとは暴飲暴食を避け、胃に負担をかけない消化のよい食事を摂りましょう。辛いものはもちろん、塩分の多いものや酸味が強いものも胃に刺激となります。そのため、薄味の食事を心がけましょう。

また、消化管の活動は、自律神経によってコントロールされています。十分に睡眠をとったり、腹痛がある程度落ち着いたら適度に体を動かしたりして、自律神経のバランスを保つことも大切です。(※4,7)
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