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子育てフードライター

ぶどうが原料の酢「バルサミコ酢」

一般的にはぶどうを原料とした酢を熟成させたものをバルサミコ酢といい、日本でも多く流通しています。ですが、イタリアではバルサミコ酢の定義が原産地名称保護制度(D.O.P.)で定められています。

ぶどうの生産地はモデナかレッジョエミリア産、さらに着色料・香料・カラメルなどを使わないものだけがバルサミコ酢と呼ばれています。ほかにも、加熱時間や熟成期間なども細かく定められていて、D.O.P.認定のバルサミコ酢は非常に高価なことでも知られています。

バルサミコ酢の歴史

バルサミコ酢は、古代ローマ帝国の時代に誕生したとされています。古代ローマ人は、モストと呼ばれる調理したぶどう果汁を調味料や薬などに使っていました。11世紀には神聖ローマ帝国の皇帝が「高貴な酢」として所望したという記録も残っています。

19世紀初頭には、イタリア中北部のモデナで造られるバルサミコ酢がヨーロッパ各国のリーダーへ贈られたことから「公爵の酢」とも呼ばれるようになりました。

イタリアで伝統的に使われていた酢が広く知られるようになったのは1970年代頃。フレンチやイタリアンで多く用いられるようになり、現在では、イタリア以外でもバルサミコ酢が造られています。

バルサミコ酢の意味は?英語でどのように書く?

バルサミコ酢は、イタリア語で「Balsamico」と記します。正式名称は「Aceto Balsamico (アチェト/アチェート バルサミコ)」。語源は香油や香膏(こうこう)を意味する「Balsamo(バルサモ)」とされています。

伝統的な製法で造られたものは「Aceto Balsamic Tradizionale(アチェト/アチェート バルサミク トラディツィオナーレ)」と記します。

英語表記は「Balsamic vinegar(バルサミック ビネガー)」。Balsamicは、香りが良い、かぐわしいを意味するaromaticにニュアンスが近い言葉です。

ワインビネガーとの違いは?

バルサミコ酢と似ているワインビネガー。どちらもぶどうを原料とする酢ですが、どのような違いがあるのでしょうか?ここでは、製法や熟成期間などを比較しながら解説します。

製法

ワインビネガーは、ぶどう果汁にワイン酵母を加えて醸造します。そのため「赤ワインビネガー」と「白ワインビネガー」の2種類があるのが特徴。

醸造時にできた液体に酢酸菌を加え、さらに発酵させて造ります。できあがったワインビネガーにワインを継ぎ足しながら熟成を繰り返して完成させます。

一方、バルサミコ酢は煮詰めたぶどう果汁を木の樽に詰めて自然発酵させます。麹や菌などを加えない点がワインビネガーと異なります。熟成の途中で、種類の違う木材で造られた樽に移し替えるのも特徴のひとつ。樽に使う木材によって風味が異なりますよ。

熟成期間

ワインビネガーの熟成期間は、およそ1年程度。バルサミコ酢は3~5年ほどで、伝統的な製法で造られたものは最低12年以上も熟成させます。
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