ライター : 馬原 香織

料理家/料理教室主宰/調理師

和食の定番!南蛮漬けとはどんな料理?

Photo by macaroni

南蛮漬けとは、魚や肉を唐揚げにしたあと、赤唐辛子や長ねぎなどの香味野菜と甘酢に漬ける料理のこと。主にワカサギや豆あじ、鶏肉が使われることが多く、長く漬け込めば骨までやわらかく食べられます。

酢にしょうゆや砂糖などの調味料を加えて作る南蛮酢は、甘酸っぱく親しみやすい味わいです。温かいままでも冷やしてもおいしく、漬け込み時間によって変化する味わいを楽しむこともできます。

南蛮漬けの名前の由来

「南蛮」とは、16~17世紀ごろ始まった「南蛮貿易」からくる言葉で、当時の貿易相手だったスペイン、ポルトガルの人や物のことを指します。これらの国から伝わった、揚げた肉や魚を長ねぎや赤唐辛子と一緒に甘酢に漬けるエスカベッシュが南蛮漬けの起源とも言われており、それまで日本になかった調理法だったことから、「南蛮漬け」と名付けられたのです。

宮崎県発祥のチキン南蛮は、揚げた鶏肉を南蛮酢に漬けることから命名されました。また蕎麦屋さんで人気の鴨南蛮は、南蛮酢ではなく長ねぎに注目して南蛮と名付けられています。当時来日した南蛮人たちが長ねぎを好んで食べたことに由来して、鴨と長ねぎ入りの熱い汁をかけて食べる蕎麦を鴨南蛮と呼ぶようになりました。

南蛮漬けとマリネとの違いは?

南蛮漬けとマリネは、どちらも酸味の効いた味わいが特徴です。漬け込む工程は共通していますが、漬け込む前の食材の状態に大きな違いがあります。

南蛮漬けに使う食材は漬け込む前に油で揚げ、マリネに使う食材は生のものか軽く火を通して漬け込みましょう。マリネは漬け込んだ食材を焼いたり煮込んだりすることもあり、料理の下ごしらえとしておこなう場合もあります。

南蛮漬けの調理のポイント

  1. 魚は淡泊な白身を、肉は鶏が一般的
  2. 低温でじっくり揚げる
  3. 揚げたてをタレに漬け込む
  4. タレに入れる酢は煮立たせてまろやかに

魚は淡泊な白身を、肉は鶏が一般的

南蛮漬けは長ねぎや赤唐辛子の効いた酢に漬け込むため、クセや香りの強い魚は合いません。淡泊な白身魚がおすすめで、特に小あじやワカサギのような丸ごと揚げられる魚は、漬け込むことで骨までやわらかく仕上がりおいしく食べられます。

肉は鶏の唐揚げを漬け込むのが一般的で、もも肉でもむね肉でもおいしく食べられます。余った唐揚げを南蛮酢に漬け込めば、日持ちさせられるメリットもあり作り置きにもおすすめ。豚肉や牛肉でもできるので、お好みの肉で作れます。

低温でじっくり揚げる

小あじやワカサギなど魚を丸ごと揚げる場合は、160~170℃の低温でじっくりと火を通すのがコツ。7~8分かけて揚げることで、骨までやわらかく仕上がります。時々返しながら、全体にまんべんなく火を入れましょう。

揚げたてをタレに漬け込む

食材によく味が染みこむのは冷めていくとき。南蛮漬けを作るときも、揚げたての食材を熱いうちにタレに漬け込み、冷めていくタイミングで食材にしっかりと味を馴染ませるのがポイントです。漬け込んだとき、ジュワッと音がするくらい熱々の状態で漬け込みましょう。

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