ライター : FOODIE

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この記事は、三越伊勢丹が運営する、「FOODIE」の提供でお送りします。
おせちの定番である数の子は、子孫繁栄を表す縁起ものです。その意味は数の子がにしんの卵であることから、「二親(にしん)からたくさんの子に恵まれる」とされ、昔からおせちに使われてきました。

何より、美しい黄金色をした数の子は、おめでたい席で食卓に華を添えてくれる心強い存在です。
そこで今回は、プロの技が満載の本格的な数の子のレシピを紹介します。教えてくれるのは、日本料理の銘店<よし邑>の冨澤浩一総料理長です。基本となる「数の子のだししょうゆ漬け」レシピに加えて、数の子のだししょうゆ漬けをベースに、昆布やするめいかをプラスした「松前漬け」レシピの2本立て。
知っておきたい数の子の塩抜きや薄皮のむき方など基本の下処理方法から保存方法までの解説に加え、ハレの日にぴったりな美しい盛りつけも紹介するので、「お正月に数の子料理を仕込む予定」という方は、最後までしっかり熟読するのがおすすめです!

<よし邑>総料理長が教える、数の子の下処理2つのポイント。なんと米のとぎ汁を使います!

おせちの数の子といえば、シンプルな見た目から、「あまり調理の必要がなさそう…」と思っている人も多いのでは? 数の子は魚卵で傷みやすいため、そのままの状態で出回ることはほとんどありません。
巷で手に入るのは味つけされた数の子を除き、ほとんどが塩漬けされたもの。たまに干し数の子も見かけますが、価格がとても高いのと、戻し時間が長いため、あまり一般的とはいえません。
今回のレシピで使うのは、塩漬けされた数の子です。塩抜きや薄皮のむき方など、下処理の丁寧さが、できあがりの味を大きく左右します。具体的に気をつけるべきポイントは以下の2つ!

ポイント① 塩抜きは米のとぎ汁に浸けて、味をしみこみやすく!

塩水を使って数の子を塩抜きする方法もありますが、冨澤料理長がおすすめするのは、米のとぎ汁に浸けて塩抜きする方法!

塩水を使うより、数の子に味が入りやすくなるのだそう。塩抜きは、塩気を抜きすぎると味気がなくなるので、ほどよく残すことも大切です。

ポイント② 薄皮は指でこすった後、水洗いして取り除き、口当たりを良く仕上げる!

数の子の表面には白っぽい膜(=薄皮)が覆っています。その薄皮を丁寧に取り除くことが、口当たり良く仕上げるために重要。薄皮はまず、指の腹でこするようにして、皮を寄せ集め、それを引っ張って取り除きましょう。
その後、水洗いし、取り残しを洗うようにすると、きれいな状態に。指でこするときに力を入れすぎると、数の子がポロポロと崩れてしまうので、やさしく作業するのが鉄則!
数の子の塩抜きを米のとぎ汁でしたほうがいいなんて、意外です! 確かにたけのこの下ゆでに米のとぎ汁を使うように、数の子のえぐみがおさえられて旨みも残りそう…。薄皮は、皮を寄せる→集めてから引っ張るの2ステップで取り除けばいいんですね!
それでは、実際にレシピを見ていきましょう。

【基本】下処理で差がつく!「数の子のだししょうゆ漬け」のレシピ

まずは、おせちでおなじみの「だししょうゆ漬け」のレシピを紹介します。数の子の塩抜きと薄皮の掃除さえきちんとできれば、あとは漬け汁に漬けるだけなので、意外と簡単! 漬け汁は追いがつおをすることで、だしの風味を際立たせます。
「数の子は、大きければ大きいほど歯ごたえがあっておいしいですが、少し小ぶりなサイズのほうがお重に入れやすいのでおせちには向いています。具体的には10〜12cm長さのものを選ぶといいでしょう」

<材料>(作りやすい分量)

・塩数の子(あれば10~12cm長さ)……80g×2本
・漬け汁の材料
だし汁(かつおだし)……630ml
酒……90ml
みりん……80ml
うす口しょうゆ……90ml
かつお削り節……10g

<作り方>

1. 塩数の子は米のとぎ汁につけて塩抜きする

保存容器に米のとぎ汁100ml(分量外)を入れ、数の子を浸す。表面にぴったりとラップをかけてふたをし、冷蔵庫に入れて1日おく。いったん取り出して米のとぎ汁を捨てる。

保存容器をきれいに洗い、水100ml(分量外)、塩小さじ1/3(分量外)と数の子を入れて浸し、ラップをかけてふたをして冷蔵庫でさらに1日おく。
「塩抜きできたかどうかは味見して判断してください。完全に塩を抜いてしまうと、数の子の味が引き立たないので、ほんのり塩気を残すのがポイントです」

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