ライター : 大瀧亜友美

取材&グルメライター

近年注目度が高まりつつある大豆ミートとは?

Photo by ryuhei kaiho

大豆ミートとは、高タンパクな大豆を原料とした100%植物性の加工食品です。肉を一切使用していないため、ベジタリアンやヴィ―ガン志向の人の間で、肉の代替品として重宝されてきました。近年では栄養価の高さや低カロリーな点が注目を浴び、消費者からのニーズがさらに高まってきています。

しかし、いくら肉そっくりに加工されているとはいえ、食感や味、使い勝手など気になるところが山ほどありますね。そこで本記事では、料理家のあまこようこさんに、大豆ミートの魅力や使い方を伺いました。大豆ミートの扱いに慣れたあまこさんならではの調理のコツも教えていただいたので、大豆ミートが気になっていたという人はぜひ実践してください。

栄養面に保存性!大豆ミートはメリットだらけ

フードコーディネーター・料理研究家 / あまこようこさん
大阪あべの 辻調理師専門学校卒業後、洋菓子店勤務や料理研究家のアシスタントを経て独立。テレビや雑誌など活動の幅は多岐に渡る。メディアで料理制作をするかたわら、amacoven料理教室を主宰。メニュー開発やケータリングサービスなどもおこなっている。代表著書は『おかずケーキ』(オークラ出版)、『砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案』(アスコム刊)
ーー大豆ミート、初めて食べたときの印象はいかがでしたか?

あまこさん(以下、敬称略) とてもおいしくて、良い意味でイメージが変わりました。というのも、健康志向の人や食事に気を遣う人が好んで食べるもので、味や食感には期待できないと思い込んでいたんです。

でも、見た目はほぼお肉ですし、食感もかなり近い。味はお肉とは似ていませんが、クセがないのでどんな料理にも使いやすいです。

ーー使い勝手の良さは魅力のひとつと言えそうですね。お肉ではなく大豆ミートを選ぶ利点、ほかにはどのようなものがありますか?

あまこ 栄養面でもメリットが多いと感じています。高タンパクで、食物繊維が豊富。また、コレステロールを含まないので、健康面を気にする人は重宝するでしょう。

そのうえ、お肉よりも保存が効き、加熱なしで食べられるので非常食としても優秀。味はついていませんので、サラダチキンのようなイメージで使うと良いでしょう。牛肉や豚肉に並ぶ“第4のお肉”として、食材の選択肢に加えてみてください。

ーー聞けば聞くほど魅力的な大豆ミートですが、上手に使う方法がわからないという声をよく聞きます。上手に食べるコツってあるのでしょうか。

あまこ では、大豆ミートでおいしい料理を作るためのポイントを5つ、ご紹介しましょう。

1. 下味をしっかりつけよう

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「大豆ミートを使うときはなるべく下味をつけましょう。大豆ミートはお肉に比べて吸収力が高く、なかまで味が染み込みやすいので、和えておけば調理の手間をぐっと省けます。お肉のように長い時間漬け込まなくて良いのは、大豆ミートを使うメリットですね。

下味をつけることは、加熱時間の短縮にもつながると感じています。たとえばお肉で炒めものを作る場合、先にお肉を炒めて臭みを取ってから野菜と調味料を加えますね。大豆ミートならお肉のような臭みはありませんから、野菜を炒めてから調味料と和えた大豆ミートを入れるだけ。お手軽です」(あまこさん)

2. 失敗いらずのレンジ調理推奨!

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大豆ミートは時短料理に向いている食材だとあまこさん。とくに電子レンジを使う調理とは相性が良いとのこと。

お肉は臭みやアクが出たり、加熱しすぎて硬くなったり、扱いにむずかしさもありますよね。大豆ミートならそうした心配がいりませんし、そのままでも食べられるので加熱時間を大幅に短縮できます。諸々の特徴を考えると、大豆ミートはまさにレンジ調理にぴったりの食材! レンジ調理なら失敗知らずで、使い勝手もいいです。

レンジ加熱なら、お子さんと一緒に調理する場合でも安心ですね。暑い季節、火の前になるべく立ちたくない人にとってもメリットは大きいのでは」(あまこさん)

3. まとめればサイズも自由自在!

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「大豆ミートは“サイズ”が小さくて使いづらい……」と思っている人は、このポイントに注目。大豆ミートはそのまま使うばかりでなく、まとめることで好きな形に成形できるんです。

「たとえばブロックタイプで唐揚げを作る場合、衣に使う小麦粉か片栗粉をつなぎにして固めることができます。大豆ミートに下味をつけたら、少し多めの小麦粉または片栗粉をまぶすだけ。あとはぎゅっとまとめながら好きな大きさに成形しましょう。しかも、そのまま揚げるだけなので手軽ですし、ちょっとした時短にもなります。

大豆ミートでハンバーグを作るなら、豆腐をつなぎに使う方法があります。大豆ミートはお肉のように生の状態でないぶん、まとまりにくいのが欠点ですが、つなぎになる材料を工夫すればどんな料理にも使えますよ」(あまこさん)

4. はっきりとした味付けをして失敗知らず

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大豆ミートの扱いのポイントは味付けにも。

「大豆ミートは味にクセがないので、基本的に和食・洋食・中華のどの料理にも合わせやすいです。でも、しいて言うなら一部の和食は少し難易度が高め。たとえば筑前煮のような鶏の旨味を活かす料理だと、最初はもの足りなく感じる人もいるかもしれません。お肉ならではの旨味は調味料で補えますが、シンプルな味付けだと大豆の風味がよく出るので苦手と感じてしまう人も。

初めて大豆ミートを使うなら、味のはっきりとした中華や洋食がベターです。大豆の風味も抑えられるので、お肉と間違えてしまうほど違和感なしの仕上がりに。我が家でも大豆ミートを使った中華料理は、家族のだれもが大豆だと気づきませんよ」(あまこさん)

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