ライター : mau_naka

調理師 / 漢方コーディネーター / 発酵食品マイスター

そもそもホルモンとは

Photo by Snapmart

ホルモンとは牛や豚、鶏の内臓肉を指し、「もつ」とも言います。焼いていただくことが多いため、ホルモン焼という料理名も定着していますよね。 今回は牛のホルモンに注目!タンやハラミなどに代表される赤物、小腸や大腸などの白物に分けることができます。小腸や大腸などの臓器だけでなく、正肉以外の部分がすべてホルモンと呼ばれることもあり、「放るもん(ほうるもん)」から名前が付けられたという説もあるんです。

定番系ホルモンの種類

1. ハツ

ハツは心臓のことで、ハートやこころとも呼ばれ、赤物に分類されます。常に動いている臓器なだけあって、筋繊維が細かく、コリコリした食感が楽しめます。味わいにクセはなく、あっさりといただけるホルモンのひとつです。たんぱく質やビタミンB1、B2が多く含まれます。

2. レバー

レバーは肝臓で、赤物です。こちらは食べたことがある方も多いはず。鉄分が多く含まれるので、女性におすすめとされるホルモンでもありますよね。焼くと独特のにおいがあるため、好き嫌いは分かれますが、たんぱく質やビタミンA、B2も豊富です。

3. ミノ

Photo by Snapmart

牛の4つある胃袋の中でも、いちばん大きく肉厚な第一の胃が、ミノです。味やにおいにクセはなく、しっかりとした弾力のある食感が楽しめるホルモンです。厚みのある部分は「上ミノ」と呼ばれます。

4. ハラミ

Photo by Snapmart

焼肉の定番とも言えるハラミ。お肉そっくりな見た目ですが、実は牛の横隔膜なんです。牛の横隔膜の背中側がこれに当たります。やわらかくて脂身の少ないホルモンのため、女性にも人気です。その人気ゆえ、焼肉だけに留まらず、カレーやシチューに使われることも。

5. タン

こちらも焼肉の定番メニューとなっているタン。牛の舌で、脂があるのにあっさりとした味わいが人気です。タン元からタン下など、部分によって硬さが違い、それぞれカット方法が異なります。焼肉でよく見る薄くスライスしたものはタン中やタン下、やわらかいタン元は厚切りでいただきます。

6. 小腸

Photo by Snapmart

お肉屋さんで「ホルモン」と頼めば、こちらが出てくることも。ホルモンを代表する小腸は、もつ鍋やホルモン焼、こてっちゃんでも使われる人気の部位です。甘みのある脂が人気で、皮部分の食感もよく、噛むほどに旨みが広がります。

7. 大腸

小腸よりも脂の部分が少なく、肉厚でしっかりとした食感が特徴のホルモンです。しま模様があることから、シマチョウと呼ばれることもあります。ていねいな処理が必要となる部分でもあり、おいしいお店を見極めるポイントとしても注目。

8. テール

テールは、その名のとおり牛のしっぽです。よく動かしている部分なので、筋肉が多くしっかりとした肉質が特徴です。またお肉の味も濃く、だしを取ってスープにする「テールスープ」でもお馴染みですよね。

レア系ホルモンの種類

9. マメ

腎臓をマメと言います。クセのある味わいですが、日本での流通が少なく、見かけた際にはぜひ挑戦していただきたいホルモンです。脂肪が少なく、鉄分やビタミンB2が豊富に含まれます。焼肉のほか、バター焼きやみそ煮、中国では火鍋でいただくことも。

10. ハチノス

牛の4つの胃のうち、第二の胃がこちらのハチノスです。蜂の巣のような網目状のヒダが特徴で、イタリア料理のトリッパなど煮込み料理によく使われます。ほんのりとした甘みのある脂の味わいが楽しめます。

11. センマイ

Photo by Snapmart

4つの胃のうち、第三の胃がこちらのトリッパ。小さな棘のようなものが無数にあるのが特徴で、見た目が苦手だという方も多いかも。ホルモンの中でも脂は少なく、食感を楽しむ部位です。多少においがあるホルモンなので、好き嫌いが分かれることも。

12. ギアラ

4つの胃のうち、最後の胃袋がこちらのギアラです。ほかの3つの胃に比べると表面が滑らかですが、いちばん味が濃く、噛むほどに肉汁があふれるジューシーさが人気です。見た目が赤身を帯びているため「赤センマイ」とも呼ばれます。

13. サガリ

横隔膜の下側部分で、ハラミより下についているのがサガリです。見た目もハラミによく似ていますが、比べるとあっさりとした味わいが特徴です。ハラミ同様、旨みも強く、人気の高いホルモンのひとつです。

14. ホホニク

その名のとおり、牛の頬部分のお肉です。ツラミやカシラとも呼ばれます。味が濃く、旨みたっぷりのホルモンですが、よく動かす部分でもあるので筋肉が多く、じっくり煮込むお料理がよく合います。カレーやビーフシチューなどでは、ホホニクを使うとよりおいしく仕上がりますよ。

15. ハツモト

心臓につながる太い血管、大動脈をハツモトと言います。見た目も管そのもの!噛み応え十分な食感も特徴で、コリコリとも呼ばれます。味わいやにおいなどのクセもなく、焼肉はもちろん、串焼きでいただくのも人気です。

16. フワ

牛の肺部分をフワと言います。ふわふわとしたやわらかい食感から名付けられたのだとか。食感に加えて、独特のにおいがあるのも特徴で、通好みのホルモンのひとつです。流通も少なく、見かけた際はぜひ、挑戦してみてはいかがでしょうか。

17. コブクロ

Photo by Snapmart

コブクロは牛の子宮です。脂が少なく、低カロリーで高たんぱく。希少価値の高いホルモンであり、コリコリとした食感が楽しめます。焼肉でいただくほか、串焼きや煮込み料理にされることも多いホルモンです。

18. テッポウ

牛の直腸部分をテッポウと言います。大腸よりもさらに脂身が少なく、肉厚で硬いのが特徴です。濃厚な味わいですが、大腸と同じくやはりにおいがある部分ですので、しっかりとした下処理が必要となります。

19. ノドスジ

牛の食道にあたる部分をノドスジと言い「ショクドウ」「スキミ」などとも呼ばれます。繊維の多い肉質で、コリコリとした歯触りが特徴。味わい自体にくせはなく、においもないので、食べやすいホルモンのひとつですよ。

20. アキレス

その名のとおり、アキレス腱の部分です。牛すじと同じく、焼くだけでは固いので、長時間煮込むのが基本です。繊維が崩れてとろとろのゼラチン状になるので食べやすく、甘い味わいが楽しめますよ。牛すじよりもしっかりしているので、おでんの具材に使われることも。

いろいろなホルモンの種類に挑戦!

ひとことでホルモンと言っても、その種類はとってもたくさんありましたね。定番の小腸や大腸のほかにも、ハラミやタンなど、焼肉の定番の部位もホルモンに含まれるとはご存知ではなかった方も多いはず。 中にはホルモン焼きの専門店に行かなければ、めったにお目にかかれないものもありますが、ぜひいろいろな種類のホルモンに挑戦してみてくださいね。食感も楽しく、きっとお気に入りに出会えるはずですよ。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

編集部のおすすめ