ライター : ☆ゴン

鯉料理の歴史と食べられる地域

はるか昔、黒海・カスピ海周辺の東ヨーロッパや、東アジアに生息していた魚が鯉の祖先だとされます。現在は世界中の大陸に広がり、日本でも本州や四国、九州に分布する淡水魚で、おもに河川や湖、沼、ダム湖などに生息。

日本の鯉はマゴイ(真鯉)と呼ばれますが、古くからいる天然の在来種は絶滅の危機に瀕しています。いまの日本に分布する鯉のほとんどが、別名ヤマトゴイ(大和鯉)と呼ばれる品種。大和の名がつきながら、じつは在来種と外国種を交配させたものなのです。

奈良・平安時代から、貴重なたんぱく源として食べられてきた鯉料理も、いまではすっかり衰退。鯉はかなり泥くさく、清流にしばらく放たなければ食べられないのも、敬遠される理由のひとつです。そのため近年は、きれいな水で育てたくさみのない養殖鯉を食用にします。

鯉料理を食べるのが盛んな地域

すでに紹介したように、食用にされる鯉はすべて、養殖物といって過言ではありません。そんな鯉を養殖する地方は、鯉をよく食べる地域ともいえます。養殖鯉の2019年度生産統計では、1位が茨城県で2位が福島県。そのあとに宮崎、長野、山形県と続きます。

鯉食が盛んな地方は、関東以北では秋田や山形、長野、福島、茨城、群馬県など。関西以西では滋賀や島根、福岡、佐賀、宮崎県などでよく食べられています。とくに山形県の「鯉の旨煮」は、農林水産省の郷土料理に認定されているほど有名です。

鯉のおいしい食べ方と人気の料理

鯉のおいしい食べ方では、伝統的な「鯉のあらい(洗い)」がとくに人気です。見た目は刺身のようですが、調理法が違うのが特徴。薄く切った活け鯉の身を45~48℃のお湯に手早く浸し、流水で締めます。流水で洗うようにすることからついたネーミング。

そのほかに、骨までやわらかく煮込むみそ味の「鯉こく」、山形発祥の甘辛煮込み「鯉の旨煮」、なめろうのような「鯉のたたき」。鯉の甘露煮や塩焼きなどの料理もあります。

鯉を料理するおすすめレシピ7選

1. 圧力鍋で作る鯉こく

鯉は骨が硬いため、食べるときは注意が必要。そんな鯉をみそ風味の鯉こくにすれば、中骨までやわらかく安心して食べられます。本来は長時間煮込む料理を、圧力鍋で調理する作り方。隠し味に砂糖を加えるのがポイントです。

2. 鯉姿揚げの甘酢あんかけ

レシピは、中国語を日本語に翻訳したものなので、所々わかりにくいですが、要するに鯉姿揚げの甘酢あんかけです。中国山東省の中西部に位置する、済南市の伝統的な名物料理。婚礼の宴に提供される、縁起の良い料理として知られています。

3. 子持ち鯉の旨煮

鯉の旨煮は、山形県の郷土料理として農林水産省に認定されていますが、鯉食が盛んな長野県でも名物料理。レシピでは、長野のブランド鯉である佐久鯉で作ります。砂糖やみりん入りのしょうゆつゆで煮る、甘辛い味わいが特徴です。

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